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気づかぬうちにサビが進む肝臓の老化/Dr.根来の体内向上プロジェクト

根来秀行

根来秀行

1967年、東京都生まれ。医師、医学博士。この連載から生まれた『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(いずれも集英社)が好評発売中。ハーバード大学医学部客員教授(Harvard PKD Center Collaborator, Visiting Professor)、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界の最先端で臨床・研究・医学教育にあたる。

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いし こんにちは。ぐうたらライターのいしまるこです。
前回までは肝臓の働きについて、根来教授に教わってきました。
というわけで、今回は「肝臓と老化」についてのお話です。

 

 

根来 ごきげんいかがですか。根来秀行です。
7割切られても機能を維持する働き者の肝臓ですが、水面下ではじりじりと老化しています。40代くらいになると老化が進み、肝細胞の新陳代謝が落ちて、機能を果たせなくなった残骸のような細胞も出てくるんですよ。

 

 

いし ひょぇ〜、細胞の残骸!?

 

 

根来 また肝臓はフリーラジカル(活性酸素)が発生しやすい臓器です。

 

 

いし 出たっ、老化の元凶!

 

 

根来 肝臓では代謝でエネルギーがたくさん使われますが、エネルギーを生み出す過程では活性酸素がどうしても発生するんです。

 

 

いし 生きている限り仕方ないんですね。

 

 

根来 フリーラジカルを無害化するSOD酵素(スーパーオキシド・ジスムターゼ)は肝臓から分泌されますが、40代くらいから半分までに減少します。

 

 

いし 半分も……。

 

 

根来 すると発生したフリーラジカルが取り除かれず肝臓内に残ってしまい、肝臓の血管や肝細胞などに攻撃をしかけます。その状態がひどくなると肝細胞の残骸が増え、ちゃんと働ける細胞が減っていくのです。

 

 

いし でも、肝臓は「沈黙の臓器」といわれるくらいで、老化しても目立った症状に結びつくということはあまりないんですよね?

 

 

根来 確かに、肝臓は再生力が高くキャパがあるので、老化で肝細胞の半分が衰えても、残り半分の力を十分に生かせば、肝臓の働きに直接影響するような機能低下は起きません。肝臓がんにしても、そのほとんどはウィルス性肝炎によるもので基本的に加齢とは関係ないんです。

Dr.negoro_photo

 

いし ほっ。

 

 

ほっとするまるこ。だが根来教授からさらに…!?

 

根来 とはいえ、肝臓でつくられる消化酵素の働きも加齢とともに鈍くなるし、解毒作用が落ちてお酒に弱くなったり、脂肪に対する処理が落ちて胃がもたれやすくなるなど、消化機能が加齢とともに落ちる原因のひとつは肝臓のキャパが下がっているからです。

 

 

いし でも、よっぽど暴飲暴食しなければ大丈夫でしょ?

 

 

根来 暴飲暴食とまでいかなくても、変な時間に不規則な食事をしていると「脂肪肝」になっていることもあります。健康な肝臓でも、3〜5%の脂肪を含んでいますが、5%を超えた場合を脂肪肝といいます。

 

 

いし 脂肪肝って増えてるの?

 

 

根来 男女問わず一定の率で増えていて、健康診断でみつかる肝臓病のトップです。

 

 

いし でも脂肪肝をほうっている人は多いですよ。何が問題になるのですか?

 

 

根来 脂肪肝は脂肪の貯蓄量がマックスに達している状態ですが、やっかいなのは貯まった脂肪にフリーラジカルが結びつくと、肝臓が炎症を起こしやすくなってしまうこと。症状が進むと次第に肝臓が硬くなり、肝硬変に至ることも。

 

 

いし わっ、肝硬変は大変。

 

 

根来 健康な肝臓は赤くてツヤがいいのですが、肝硬変になるとどす黒くなって細胞の形も崩れてきて、元に戻ることはありません。

 

 

いし 黒くて硬い肝臓、怖い〜。

 

 

根来 脂肪肝は、肝臓にかかる栄養負荷を減らすことで改善されます。
食事だけでなく睡眠を十分にとり、適度な運動を行って、普段から肝臓に負担をかけず、細胞の再生を促すような規則正しい生活習慣を心がけることが、
何より大切ですよ。

 

 

いし キモに銘じます!

Dr.negoro_Ill

 

 

 

それではみなさん、今日も素敵な1日を!

 

Dr.negoro_photo

 

 

 

取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン

 

 

 

(次回は肝臓とお酒のお話です。お楽しみに!)

 

 

 

 

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