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名曲『モルダウ』の調べを思い浮かべながら 、アートに触れるチェコの旅

小野アムスデン道子

小野アムスデン道子

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、旅の楽しみ方を中心としたフリーランス・ライターへ。
旅と食や文化、アートなどライフスタイルについての執筆や編集、翻訳多数。
日本旅行作家協会会員。
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こんにちは小野アムスデン道子です。オーストリアまでは何度か訪れているのですが、この夏初めて、念願だったチェコ共和国に行って来ました。ユネスコ世界遺産であるリトミシュル城で、夏に開かれる音楽祭でオペラを観ました。優雅でスラブの香りも高いチェコの旅をご紹介します。

 

アールヌーヴォーの画家アルフォンス・ミュシャや、大河を思わせる「我が祖国」の第2曲「モルダウ」の旋律が有名なベドジフ・スメタナなど、チェコ共和国のアーティストは日本でも有名ですね。

 

チェコ共和国の首都プラハは、世界で最も大きい城であるプラハ城や大河ヴルタヴァ川にかかるカレル橋など重厚な情景が思い浮かぶ大都市ですが、そこから車で2時間40分ほど走れば、緑の丘陵が広がるボヘミア東部の歴史ある町、リトミシュルに着きます。世界文化遺産に登録されているリトミシュル城を囲む小さな町は、かわいい街並が美しく整っています。

 

 

このリトミシュルは、スメタナの生まれ故郷。町の広場にはスメタナの像が立ち、毎夏「スメタナのリトミシュル」という大規模な音楽祭が開かれます。1949年から開催されている、チェコで2番目に古い音楽祭です。

なんと屋根付きの中庭と宮廷劇場まであるリトミシュル城の中で、オペラが開催されます。2018年は6月14日〜7月7日まで、いろんな演目が毎日上演され、スメタナの生家である城内のビール醸造所でも、世界中からアーティストを招いてコンサートを上演。日本からもピアニストの福間洸太朗さんが参加されていました。チケットは演目などによりますが、おおむね5,000円以下という信じられないお値段でした。

 

 

皆さんおめかしして、城でのオペラ鑑賞。私が観たのはオペラ「メフィストフェーレ」。とても現代的な演出で、バリトンが魅惑的なメフィストフェレス(悪魔)が、コートを羽織るだけで悪の魅力を発揮するのがとてもかっこよくて見入りました。

 

 

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リトミシュルは、世界遺産のリトミシュル城を中心に、スメタナの生家、リトミシュル地域ミュージアム、聖十字架教会、ポルトモネウム - ヨゼル・ヴァーハル美術館など、歴史やアートの目を見張るようなスポットが歩いて回れる、魅力がつまった町。見どころをピックアップしていきます。

 

スメタナ広場に500年前からあるアーケードは、約500mとチェコで1番の長さで、お店が続きます。

中世の町の脇道の壁には、ちょっとおどろおどろしいけれど独特な感じに見入ってしまう、白黒の絵が並びます。独特な画風で知られるチェコの版画家、ヨゼル・ヴァーハルの作品にインスパイアされたものだそう。

ズグラッフィートと呼ばれる、色違いの2層の漆喰の表面を搔き落とすことで絵を描く技法で、リトミシュル城の壁にもこの技法が使われた約8,000枚もの絵柄が描かれています。

 

 

広場からリトミシュル城に向って歩いて行くと、正面にピアリスト教会(聖十字架発見教会)と右手にリトミシュル地域ミュージアムが見えて来ます。18世紀に建てられたバロック様式の教会は、4回の火事や共産主義の時代を乗り越え、近年の再建で内部も美しい姿を見せています。屋上からは町が一望できます。

 

 

地域ミュージアムは、19世紀の町娘や貴婦人などへの仮装コーナーやその頃のリトミシュルの暮らしがのぞける広場の模型やら、展示が工夫されていてとても面白く、一見の価値ありです。

 

 

スメタナの生家は、父が経営していたリトミシュル城内のビール醸造所。スメタナの生まれた部屋やリビングなど、当時の裕福な暮らしぶりを再現した展示がされています。

レプリカの家具が多い中、机とインク壺は本物。

 

 

 

リトミシュル城は1568年から14年の歳月をかけて築かれた、ルネサンス様式の城です。音楽祭「スメタナのリトミシュル」のステージで民族衣装を着てフィドルを演奏する人を見ようと、中庭の芝生は座っている人たちでいっぱい。

 

城の内部で開催の企画展では、オペラの豪華な衣装を部屋に飾っていました。城内には、騙し絵の舞台のある18世紀に建てられたバロック様式の小さな劇場もあります。

 

 

ランチは、城のすぐ近くにある家族経営のビール醸造所でいただきました。

スメタナの顔がラベルにも。味が濃い牛肉のシチューやチキンのグリルとラガービールはぴったり合います。

 

 

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中世の町並みが多く残るリトミシュルですが、現代アートも積極的に取り入れ、中世と現代の芸術が調和。ユニークな現代アートの美術館をご紹介します。

 

スメタナ広場近くにある、ミュージアム“ポルトモネウム- ヨゼル・ヴァーハル美術館”は、チェコの芸術愛好家ヨゼフ・ポルトモンが以前住んでいた家を一般開放しているもの。

インパクトのある壁画が有名な、ヨゼル・ヴァーハルの作品のシュールさに目が釘付け。ポルトモンのためにヨゼルが部屋中に描いた神秘、オカルト、悪魔、ホラーなどをテーマにした極彩色の壁画がそのままミュージアムになっています。

庭を飾るコレクションも、これまた独特。

 

 

リトミシュル城の地下のセラーに隣接して、彫刻家オルブラム・ゾウベクの作品が多数飾られています。プラハの春に抗議して自殺した人のデスマスクを作ったことから長らく城に幽閉されていたゾウベクは、その間に次々と作品を作ったそう。こちらもかなりユニークな作風です。

 

 

世界遺産のリトミシュル城を中心に見どころいっぱいで、アートや音楽に囲まれたチェコらしい旅を堪能。歴史的な建物の内部を改装した「ホテル・アプラウス」の部屋のスタイリッシュさにも驚き、食も滞在も含め、プラハとはまた異なる珠玉の魅力にあふれた町でした。

ホテル・アプラウス Hotel Aplaus  http://www.hotelaplaus.cz/en

 

 

取材協力/

チェコ政府観光局 https://www.czechtourism.com/

リトミシュル観光局 https://www.zamek-litomysl.cz/en

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