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心のクスリ(5)/病気になって考えた。日々、楽しく在ることの幸せ!

草野いづみ

草野いづみ

帝京大学教育学部教授 臨床心理士

ライタ―として「女性の生と性の健康と権利」(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)に関するテーマの取材を多数経験。
40代で大学院に入り、教育・発達心理学、臨床心理学を学ぶ。教育学博士。
スクールカウンセラー等を経て現職。
著書に『みんなで考える家族・家庭支援論』(編著・同文書院)、『フランスにはなぜ恋愛スキャンダルがないのか』(共著・角川ソフィア文庫)など。

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すぐそこにある自然

 

お久しぶりです。慌ただしい4月が一気に過ぎ、心待ちにしていた5月の連休もいつのまにかおわり、子どもの頃に比べて年を取ると季節が過ぎるのがなぜこんなに早いんだろ、と思う毎日。ぼやっとしていると貴重な人生の時間がユビの隙間からこぼれ落ちてしまいそう。そこで、新緑の五月を味わうため、近くの緑地をお弁当を持ってハイキングしました。

 

 

町田市にある都立の小山田緑地は、私の家からも頑張れば歩いて行ける多摩の丘陵にある緑地公園。園内と周辺をゆっくり歩けば2〜3時間は散策を楽しめます。
野の草花の咲く山道や吊り橋、蛙に会える湿地帯や池、田んぼや畑など、昔ながらの多摩の里山の風景に出会えます。授業で“身近な環境”をテーマにしているので教材研究の意味もあったのですが、車通りや住宅地からちょっと入ったところにこんな自然があるなんて! と、宝物を見つけた気分でしたよ。

 

みんなの更年期

カエルちゃん、こんにちは

 

みんなの更年期

タチイヌフグリ(だと思う)

 

みんなの更年期

神秘的な池

 

20代からの子宮筋腫を40代で手術

 

緑地を一緒にお散歩したのは、このコラムにときどきご登場いただいているミナさんです。歩きながら、2年前の手術の体験をききました。

 

 

ミナさんが子宮筋腫があることを知ったのは20代のとき。長男の妊娠で産婦人科を受診した際、筋腫がいくつかあり、卵巣のう腫ぎみであることを医師に告げられました。でも、いずれも小さく、差し障りがあるほどではないので、そのまま治療しないまま出産。2年後に長女を出産した後、年1回の定期検診で様子をみていました。

 

 

月経の量が多くなったと感じたのは40代に入った頃。高校生の長男が野球部だった関係で母親たちが練習や合宿の手伝いをする機会が多く、トイレのままならない野外では、量の多い人向けの枕くらい大きな医療用のナプキンを使わないと間に合わないほどになり、また毎年受けていた人間ドックで「貧血」といわれたため、改めて産婦人科を受診することにしました。

 

夏みかん大になった子宮筋腫

 

貧血は月経過多による症状で、しばらくは対症療法として貧血を改善する薬を処方されていましたが、筋腫がどんどん大きくなり、数も増えていったため、医師から手術を提案されました。いずれ閉経すれば筋腫は小さくなるといはいえ、「それを待っていては何年かかるかわからないし、生理になるとナプキンから漏れないか、服にシミがつかないかいつも気になり、心配で旅行にも行けないの。通勤で自転車にも乗るので生活に支障が出てきて。それで手術する決心をしました」。ミナさん、40代半ばのことでした。

 

 

手術には筋腫部分だけ取って子宮を残す方法と、子宮ごと取る全摘手術との2つの選択肢があり、主治医には全摘を勧められましたが、別の病院にもセカンドオピニオンを聞くなどして検討しました。
「筋腫の1つがすごく大きく、夏みかん大にもなっていたので、筋腫だけ取るとしたら子宮に大きな穴があき、それを縫い縮める形になる。子宮をできるだけ温存する派の病院でも、どうしてもというなら残せないこともないけど、全摘してもいいのではと言われました。子ども2人産んでこれから産む予定もないし、無理してツギハギの子宮を残す必要もないと思って」と全摘手術を受けることにしたといいます。

 

 

「もともとある臓器をできるだけ取りたくない、という考えの人や、手術によって何か調子が悪くなるという人もいるだろうし、選択は人それぞれだと思います。そりゃあ手術はやだなと思ったけれど、卵巣は残すのでホルモン的にもそれほど問題ないということだし、自分の場合は全摘したほうがQOL(生活の質)が上がると思いました。昔いわれたような“子宮がないと女でなくなる”、みたいな感覚もないですし」

みんなの更年期

これもお散歩の途中で見つけた、キンランです

 

 

月経を止める薬の副作用で大出血

 

ここまではスムーズだったミナさんですが、手術が決まり、それに向けての準備治療中に“事件”が起こりました。
3月に予定されていた手術に向けて、数ヶ月前から月経を止めることによって子宮自体を小さくし、手術で切る部分を小さくするための薬(リュープリン)の注射を4週に1回受けていました。通常はこの注射によって月経が止まるのですが、なかなか止まらず月経量も減らず、医師も首をかしげていた矢先のこと。

 

 

手術の2ヶ月前の1月、ミナさんは大好きな韓国俳優キム・ナムギルのジャパンツアーのコンサートを観に行ったのですが、終わったあとのファン仲間とのオフ会の最中、なんと大出血を起こしてしまったのです。注射で止めているはずの生理が始まり、「慌ててコンビニで多い日用のナプキン4〜5個入り1袋買ったのですが、どんどん出血してナプキンを使い果たし、さらにひどくなってジャージャー流れる状態となり、トイレから出られない、と焦りました」。黒い服を着ていたのでまだ良かったものの、血液が靴にまで流れていくほどだったとか。

 

 

「このまま出続けたらどうなるの、と思ううちに、貧血でだんだん視界が狭くなってきて。もうダメ、帰ろうと思って席を立とうとしたときには顔が真っ青だったらしく、皆が椅子を並べて横に寝かせて、救急車を呼んでくれたんです」。近くの聖路加国際病院に運ばれ、点滴を受けてなんとか落ち着いたとのこと。

 

「あとで主治医にきいたら、フレアアップといって、注射の副作用でたまに起こる症状とわかりました。月経を止める薬で大出血するなんて、そんなこと何も説明されてなかったのでほんとにびっくりでした。筋腫はホルモンと関係がある病気なので、大好きなナムギルをみて、興奮したのかも(笑)。そのとき介抱してくださったファン仲間のご親切にはほんとに感謝してます」

 

 

その後も薬で月経は止まらないまま、予定通り手術を受けたミナさん。「手術直後はおへその形がちょっと変わったけど、半年くらいで元に戻りました。傷は5〜6センチくらい。とくに体調に変化もなく、生理がなくなって楽になり、むしろすっきり気分がよいです」

 

みんなの更年期

同じく、泰山木の花。こちらも神秘的、そしてちょっと官能的ですね

 

 

 

乳がんの友人と雨中のライブ

 

ミナさんには1歳下の友人がいるのですが、そのFさんは乳がん体験者。乳房にぴりぴり痛みを感じていたところ、一昨年秋の健診で乳がんがみつかり、手術と抗がん剤の治療を受け、いまもホルモン治療を続けています。

 

 

Fさんは音楽好きで、以前はザ・スミスなど英国ポップス、今はK-POPのファン。ミナさんはFさんと、近所のスタジアムでのシャイニーのライブで、大雨のなかをノリノリで楽しんだこともあり。よく一緒に遊びに出かけます。
Fさんは自身が乳がんになってから、体調を良くするためヨガに通うなどの一方、ホスピスのボランティアに携わるなど社会活動にも参加しています。

 

 

再発の不安を抱えていながら、むしろ充実した毎日を送っているFさんのモットーは、「日々楽しいことをするのが一番」。ストレスを軽くし、免疫力を上げる素になる、といいます。ミナさんもそれに大賛成で、まさに実行中。
ほんとですね。年を重ねるほどに、人生って思ったより短い、と感じます。同じ時間を過ごすのに、ちっちゃなことでも心躍る発見をしたり、ときめいたり、ワクワク楽しい気持ちになれる何かを持てるって、最大の幸せだな〜と思うこのごろです。

 

 

*ミナさんのお薦め:映画「パイレーツ」(キム・ナムギル主演)は東宝シネマズで全国ロードショー中です。

 

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