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松本幸四郎さんが体力キープのために幕間で食べるものは? (インタビュー/後編)

2018年から約2年間におよぶ襲名披露興行を7月に終え、その披露作品『女殺油地獄』がいち早くシネマ歌舞伎。映画館のスクリーンを通して、新たに十代目として受け継いだ“松本幸四郎”の舞台が観られる。

 

そんな幸四郎さんは、歌舞伎俳優として伝統を守るだけでなく、いつも新たなジャンルに挑戦しつづけてきた。40代半ばの今も、まだまだ若手に負けない体力がある。松本幸四郎という大きな名前を襲名したこれからが、本当にしたいことをするべき時だと、彼は言う。

 

撮影/萩庭桂太 ヘア&メイク/AKANE スタイリスト/川田真梨子 取材・文/岡本麻佑

服/ポロ ラルフ ローレン( 問合せ先 /ラルフ ローレン ℡:0120-3274-20)

十代目松本幸四郎を襲名してから、そろそろ2年。37年間名乗った市川染五郎という名前は、今や息子さんのもの。

「でもつい2~3日前にも、染五郎さん、と呼ばれてしまいました(笑)。自分では、あまり変化は感じていませんね。ですが襲名披露の興行では本当に多くの方たちに観ていただき、祝っていただいた。ありがたい時間でした。幸四郎になってこれからは、本当にやりたいことを、始めていくときなのかと思っています」

 

その演技力には定評があり、二枚目を演じればとことん美しく、女方を演じればたおやかで艶っぽい。『女殺油地獄』のような上方の和事も、はんなりと見事に演じる。しかも近年はたくましさも身について、お家芸の『勧進帳』の弁慶や『熊谷陣屋』の直実、『仮名手本忠臣蔵』の大星由良之助など、マッチョな男を演じても実にカッコイイ。40代半ば、これからが歌舞伎俳優として、正念場だ。

 

「これからもただただ『一生懸命やりますので、お願いします』と、それが本音なのですが、もうそれを言う歳じゃないのかな、と思います。『ぜひ観に来て下さい、楽しんでいただきますから』って、自信を持って言わなければいけない立場なんですよね。幸四郎なら面白い芝居をすると、信頼していただける役者にならないと」

 

体力勝負の舞台では、米を食べる!

歌舞伎俳優は、いったん公演が始まると、昼夜二公演が20数日続くのが当たり前。朝から晩まで一日に何役も演じ、休むヒマがない。

「ですから健康維持については、食事と寝る、それだけです。とは言っても規則正しく食事するのは無理なので、とりあえず、1日に3回、ちゃんと食べる。夜はできるだけ寝る。あと、疲れをなるべくためないように、ストレッチしたりマッサージしたり。それくらいですね」

 

10数年前、舞台『阿弖流為〈アテルイ〉』で共演したある俳優が、こんな証言をしていた。主人公を演じた幸四郎さん(当時市川染五郎さん)、舞台で激しい立ち回りをしながら、舞台裾に引っ込むとそこで平然と、当たり前のように納豆ごはんを食べ、すぐにまた舞台に飛び出していたとか。

「それは事実ですね(笑)。体力勝負の舞台のときは、幕間幕間で米を食べてました。そのおかげで結局、千穐楽のときには体重が増えていましたけど(笑)」

舞台のお供は、米。ご飯で活力をキープする。

そして声が枯れるのを防ぐためによく食べるものもあるという。

「馬刺しをよく食べます。スタミナがつく、即効性があると言いますし、消炎効果があるというので、声が枯れるのを防いでくれるらしいんです」

 

ストレス解消には、何をしてますか?

「結局、芝居なんです。先のことを考えるのが気分転換になりますね。こんなこと、やりたいな、とか、次はこうしよう、とか。芝居で貯まるストレスは、芝居で解消するしかないんですよ」

 

自身で企画&主演した『阿弖流為〈アテルイ〉』だけでなく、『江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)』や『陰陽師』など新作歌舞伎を上演したり、アメリカのラスベガスで公演したり、フィギュアスケートと融合させた『氷艶―破沙羅―』に出演したり。野田秀樹氏の新作歌舞伎の、常連でもある。伝統を継承するだけでなく、次から次へと新たな挑戦を続ける幸四郎さんはこれからも、いろいろな企画でみんなをびっくりさせてくれるはず。

 

「先日も劇団☆新感線の舞台を観に行ったんですが、若手俳優たちの若さには、腹が立ちました(笑)。若手の元気のいい俳優がどんどん出てきているので、あの人たちと対等に体力勝負したいと、今でも思いますね。立ち回りで魅せるような芝居がしたいし、映画にも出たい。シネマ歌舞伎だったら、『シャイニング』みたいなホラーとか、夢見るようなファンタジーをやりたいですね。あれもこれも、やりたいことだらけです(笑)」

 

●『女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)』

大阪で起こった実際の事件をもとに近松門左衛門が人形浄瑠璃として著した世話物。複雑な家庭環境でわがままに育った若者・与兵衛(松本幸四郎)。放埒な日々を送る中、借金の返済に追われて同業者の妻・お吉(市川猿之助)に金を無心するが断られ、衝動的に殺人を犯してしまう。

●【シネマ歌舞伎とは】

歌舞伎の舞台公演を撮影し、映画館で楽しめる映像作品。俳優の息遣いや衣裳の細やかな刺繍まで見ることができ、サウンドも舞台の臨場感を立体的に再現しているから、生の舞台とはまた異なる美しさと迫力を身近に堪能できるのが魅力。

殺しのシーンでは、お吉を刺そうとする与兵衛の目線を舞台横からとらえたり、床にまき散らされた油にまみれてもつれ合う二人を俯瞰でとった映像がスクリーンいっぱいに目前に迫ってくる。歌舞伎の舞台では決して観られない。©️松竹株式会社

11月8日(金)より 東劇ほか全国公開

シネマ歌舞伎第34弾 『女殺油地獄』

原作:近松門左衛門

監修:片岡仁左衛門(舞台公演)

出演:松本幸四郎 市川猿之助 ほか

監督:井上昌典(松竹撮影所)

撮影公演:2018年7月 大阪松竹座公演

制作・配給:松竹 https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/42/

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