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四季とつきあうための「習わし」/しきたり1:正月事始めは12月13日、煤払いから

阿部 絢子

阿部 絢子

生活研究家。消費生活アドバイザー。

新潟県生まれ。 共立薬科大学卒業。 料理や家事など生活全般にわたる豊富な知識と合理的なア ドバイスで、出版・講演など幅広く活躍中。 著書に『「やさしくて小さな暮らし」を自分で作る』(家の光協会)『始末な暮らし』(幻冬舎)『快適に暮らす小掃除術』 『すぐにできるエコ家事』(ともに集英社be文庫)

 

気持ちよく暮らす「生活のしきたり」

 

 

季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!

 

ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。

教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。

 

 

 

 

最初のパート【四季とつきあうための「習わし」】では、日本の四季にまつわるしきたり1~21をご紹介します。

今回は【四季とつきあうための「習わし」】

しきたり1:正月の事始めは12月13日  煤払いから、についてです。

 

 

 

【はじめに】

 

自然災害を防ぐ、村祭りを執りおこなう、結婚式や葬式を仕切る、共同で農作業を行うなど、地域全体がひとつにならなければ暮らしもスムーズにまわっていかなかった昔。そこでは、みんながまとまり、気持ちをひとつにして、力を合わせて協力していかなければ、自然相手の農業中心の暮らしでは、生きることさえ難しかったわけです。

 

そこでは、生きるため、地域で連綿と引き継がれてきた習慣を取り入れての暮らしを成り立たせてきたのです。それが、家、村、地域、地方に根づいてきたしきたりなのです。

 

新しい年を祝う、体力が衰える厳しい寒中を見舞う、無事な農作業の始めを祭る、お盆に先祖を祭る、秋の収穫を祝う、ほっと一年を感謝して歳暮をするなど、多くの習慣を先達者たちは編み出してきました。そのどれもが、昔の農事中心の地域での暮らしを円滑に進めるために生み出され、時代が変わっても受け継がれ、踏襲されてきました。

 

 

こうした、家や地域にいまも残るしきたりを、私たちは、次第に現代風にと、やり方は当然ながら解釈までも変えてつなげ、いまの暮らしに根づかせて、この先にも伝えていこうとしています。なかには忘れられてしまって風化した、本来の意味が違ってきた習慣もあるでしょう。本来の意味を、解釈を、やり方を探りながら、現代に息づくしきたりを考え直してまとめてみました。気持ちよく暮らすためにおおいにお役に立てることと確信しています。

 

 

 

 

●四季とつきあうための「習わし」●

 

 

季節が移り変わる日本では、季節を暦代わりにし、移りゆく季節の変化を愛でながら日々を過ごしていました。四季は暦代わりですから、四季折々が暮らしの節目ともなり、また暮らしに、その四季を取り入れる風流さも持っていたのです。着るものには、季節の模様、桜、菖蒲、花火などを描き、併せて帯にもマッチした模様を使いました。食では、必ず旬を味わい、盛りつけにも季節が感じられるよう工夫を凝らしていました。住まいでは、 、障子をうまく使いこなし、風、雪、雨などの季節を音で聴き、眺めることで、楽しんでいました。

 

季節の節目を祝う行事も、四季を暦代わりにした暮らしには、欠かせないイベントだったのです。こうして、四季に合わせた折々の行事を行うことで、暮らしは続けられ、マンネリ化しがちな日々に、変化とけじめをつける役割をも果たしていたのです。四季の変化は暮らしの変化に結びついていたのです。いま、季節感や四季を愛でることが次第に薄れつつあるようですが、すっかりなくなってしまったわけではありません。

 

季節を感じることは、充足した暮らしをおくることです。暮らしに変化をつけるためにも、季節の行事、季節を愛でる工夫を、暮らしに取り入れてみてほしいものです。

 

季節行事は、季節に合わせていますから、暮らしの節目が感じられるばかりでなく、季節を楽しむ日本人の心の表れでもあるのです。

 

季節の移り変わりや自然の色や香りを、暮らしの中に取り入れながら、ゆとりを持って、暮らしを楽しむようにしたいものです。

 

 

 

しきたり1

正月事始めは12月13日、煤払いから

 

 

正月は五節句(季節の節目。年中行事の特定日)の中でも最も重要な節句です。この一年を家内安全に、家族が健康で過ごせるよう、年神様にお願いをしなければならないからです。そのためには、我が家に年神様をお迎えし、神様に供物を捧げ、神祭をして「おめでとう」と祝うわけです。

 

年神様を我が家にお越しいただくためには、我が家を綺麗に清めてお迎えしなければなりません。それには、清めの行事である掃除が欠かせないのです。特に神様が滞在するであろう、リビング、床の間、仏間、キッチン、トイレなどを清めておくことが必要です。この正月を迎える「正月事始め」の行事は、十二月十三日から始まります。事始めの始めは、掃除、次に正月支度の買い出し、お節料理作り、正月飾りつけ、年越し祝い、新年と続いていくのです。事始めの掃除は、年神様を迎えるための大切な最初の行事となっているのです。

 

 

しきたり1

 

 

ところで、現在のように食生活が油料理中心となると、汚れも油汚れが多くなるのはやむをえないことですが、掃除の最初はまずホコリを落とす煤すす払いから始まるのが習わしです。ホコリが多いリビングは天井から壁、床、照明器具にソファに至るまで徹底して、隅々までくまなくホコリを除きます。

 

ホコリといえば、その正体は寝具やカーテン、衣類、ソファなどに使用されている繊維から脱落した細かい毛羽です。ホコリは移動しやすいものですから、吸引したり、吸着させたりします。吸引するには掃除機が簡単ですが、これだけでは細かいホコリは取りきれません。掃除機使用の前に床用モップを使って細かいホコリをあらかじめ取り除いておきます。その後、掃除機を使用すればより効果的です。

 

また、掃除機を使用しづらい場所、例えば照明器具、本棚などには、吸着効果を利用した作業用手袋が便利です。作業用手袋に吸着剤(水100㏄、キッチン用中性洗剤数滴、食用油大さじ1/5杯を加えてよく振り、混ぜ合わせたもの)を20㎝ほど離してスプレーし、手にはめて照明、棚、ソファなどをなで、ホコリを吸着させていきます。このように「正月事始め」現代版煤払いを進め、年神様を迎えます。

 

 

 

次回は、しきたり2:お節料理は自分流のアレンジでよい、についてご紹介します。

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第2回/四季とつきあうための「習わし」/しきたり2:お節料理は自分流アレンジでよい

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