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ウィーン一人旅 :前編 街歩き情報 

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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ウィーン一人旅

前編 街歩き情報

 

こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。

今月は、先日行ったウィーンへの一人旅のルポをお届けします。

わたしはクラシック音楽が好きで、ウィーンはすでに何度か行っております。

完全な一人旅も、これが2回目。ウィーンは、中心部ならば、夜ひとりで歩いていても、あまりこわい感じがしないところです。交通網も発達しており、観光がしやすい。ということで、一人旅をしてみたい女性にお勧めできます。

今回の旅は、ウィーン国立歌劇場でのオペラやコンサート鑑賞が主な目的でしたが、 昼間もあちこち歩きまわりました。 上手に旅をするコツは、どこの街でもそうでしょうが、ホテル選びがもっとも重要です。 とくに女性一人旅の場合、ウィーンでは、街の中心であるウィーン国立歌劇場近辺がよいです。

こちらは、夜の歌劇場。周辺は繁華街で遅くまでにぎやかです。周辺にはホテル・ザッハをはじめとする超高級ホテルが立ち並んでいますが、ネット上の予約サイトを丹念に探せば、比較的お手頃なホテルもあります。わたしは今回、リンク通りをはさんで歌劇場のはす向かいのダス・オーパンリンクというホテルを予約。オペラがはじまる10分前にお部屋を出れば間に合う素晴らしいロケーションでした。お値段は、朝食付き、税込み、立派なバスタブとエアコンもついていて、1泊2万円弱。これはこのエリアでは破格です。

こちらは宿泊したホテルの朝食です。ウィーンでは、パン、チーズ、ハム、ソーセージ、野菜などを好きなように取っていただくビュッフェ形式の朝食が一般的。ジャムやジュースも充実しており、なかなか美味しいです。

 

 

このあたりを足場にすると、王宮、美術史美術館、シュテファン寺院、ケルントナー通りなど、観光のメインになる場所がほとんど徒歩圏内。さっそく歩いてみましょう。歩き始める前に、観光案内所に行って「ウィーンシティカード」を入手することも忘れずに。有効期間によって、24時間、48時間、72時間などの種類があり、これを持っていれば、地下鉄、トラムなどが乗り放題になるほか、美術館などさまざまな観光施設の入場料が割引になります。購入時にもらえる小冊子によれば、レストランやお店の割引もあるようです。使いこなせば、かなりお得ですよ。

 

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スタートは、栄華をきわめたハプスブルグ家の王宮から。

広大でさまざまな見どころがありますが、もっとも人気なのは、実質的に最後の皇帝となったフランツ・ヨーゼフ一世の居室である「皇帝の部屋」と、その妃であるエリザベート(愛称シシィ)の博物館です。どちらも、それぞれの人物の生活ぶりがよくわかる展示が多く、ひじょうに興味深いです。とりわけ、美容体操とダイエットの元祖とも言われるシシィの、ぶら下がり健康器のような体操道具や、肉を絞ってエキスだけ取り出すための道具が有名ですね。

 

 

今回わたしは、王宮礼拝堂で行われるミサに参列しました。日曜日には、あちこちの教会でミサが行われますが、中でもこの王宮のミサは、ウィーンフィルの演奏でウィーン少年合唱団が歌うという素晴らしいものです。これはコンサートとは違うのですが、チケットを購入しなけば入れません。座席も指定です。むろん、たいへんな人気なので、チケットは出発前に入手しておく必要があります。また、三階か四階の最前列の席でなければウィーン少年合唱団の姿は見られません。チケットの入手方法は、次回「ウィーン一人旅:後編 郊外観光と音楽鑑賞」で説明いたします。

 

 

ウィーンでは音楽鑑賞とともに、美術鑑賞が大きなテーマとなります。

美術館は数々ありますが、ひとつだけ選ぶとすれば、ブリューゲル、フェルメール、ラファエロ、ルーベンスなど、ヨーロッパの名だたる画家の傑作が並ぶ「美術史美術館」です。絵画だけでなく、階段を上ったところの壁面にあるクリムトの大壁画も見どころです。

そのお隣には、10軒以上もの美術館やギャラリーなどが集まる「ミュージアムクォーター」というエリアがあり、中でも素晴らしいのは、レオポルド美術館。エゴン・シーレ、クリムトなど、ウィーンの世紀末を彩った画家たちの作品が充実しています。

ミュージアムクォーター周辺には野外カフェやアーティスティックな椅子も並んでおり、天気のよい日は、皆さん、太陽の光を浴びながら、のんびりと過ごしています。

 

 

クリムトがお好きな方は、ベルヴェデーレ宮殿も見逃せません。こちらは、中心部からトラムで15分ほど行ったところにあります。プリンツ・オイゲン公の夏の離宮で、内部は美術館として使われています。「接吻」をはじめとするクリムトの代表作があることで有名ですが、観光バスがたくさんやってきて混雑するので、ゆっくり絵画鑑賞をしたい方には、前述のレオポルド美術館の方がお勧めかも知れません。

 

ウィーンは教会も見どころです。オペラ座から、目抜き通りであるケルントナー通りを歩いて行ったところに聳えるシュテファン寺院は、ウィーンの象徴として有名ですね。

今回わたしは、18世紀のバロック建築の傑作である「カールス教会」を訪ねました。こちらの真ん中の丸いドームの裏側には華麗な天井画があり、現在は、その修復のためのはしごとエレベーターがあります。観光客もそれに乗って天井画の間近まで行けますので、この機会をお見逃しなく。

 

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トラムに乗って、ウィーンが誇る現代アーティストのフンダートヴァッサーの作品を見に行くのも楽しいです。建築家で画家、百水という俳号を持つ俳人でもあるマルチな人物で、代表作は、「フンダートヴァッサーハウス」と呼ばれる、この公共住宅。こちらは1986年に完成したもので、今も一般の人の住宅として使われているため、内部見学はできません。しかし、外観を見るだけでも十分インパクトがあるし、近くには、フンダートヴァッサーの作品をモティーフにしたお土産を売る店が何軒もあります。

そこから5分ほど歩いたところに「クンストハウスウィーン」という美術館があり、フンダートヴァッサーの絵画や版画が常設展示されています。カラフルで独特な世界感を持つフンダートヴァッサーの魅力を堪能できます。

一階にあるカフェもユニークで面白い。

 

 

そうそう、ウィーンと言えば、カフェ巡りも忘れてはなりません。

ウィーンがはじめての方は、ホテル・ザッハとデーメルの、二つのザッハトルテの食べ比べがお約束ですが、わたしは今回は、それとは違う老舗カフェを試してみました。 ウィーンのカフェは、ケーキだけでなく、食事メニューも充実しているところが多く、一人旅のランチにもぴったりです。

ディグラスは、シュテファン寺院の裏手にある1875年オープンのカフェ兼コンディトライ(ケーキと甘いパンの店)で、食事メニューも充実しています。わたしはウィンナシュニッツェルをいただきました。仔牛肉(豚肉や鶏肉も使われる)を薄く伸ばして衣をつけて揚げ焼きしたもの。ウィーン名物で、たいていどこに行っても食べられます。しかし、ごらんのようにかなり大きく、女性ひとりで食べきるのはたいへんな場合もありますね。

ハヴェルカは1939年にオープン。創業100年を超えるカフェがたくさんあるウィーンの中では新しい方ですが、内装が創業時と変わっていないのがポイント。観光名所的な店でもあるので、いつも混んでます。こちらでは、ちょっと名前が聞き取れませんでしたが、何かの魚のフライをいただきました。

こちらは、美味しいケーキとお茶を楽しめるオーバーラー。ウィーンのケーキは、日本人の観点からすると、見た目がやや古めかしく、少し甘すぎると感じる場合もありますが、こちらでは、日本と同じような、上品なケーキがいただけます。こちらにもおしゃれなランチがあるので、ゆっくり過ごすのもお勧めです。

 

次回、ウィーン一人旅の後編は、郊外観光と音楽鑑賞についてのお話です。

 

 

吉田さらさ

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