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おうちで楽しむ、京の味と物 ㊳デザインの手刷りのハガキやポチ袋など 紙雑貨「羅工房」

小原誉子

小原誉子

「京都観光おもてなし大使」&旅ライター
アナウンサー、テレビ番組プロデューサーなどを経て、集英社「エクラ」などのライターに。
2011年より京都に在住。
京都など、日本の文化・観光情報を伝える
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おうちで楽しむ、京の味と物          

 

京都も緊急事態宣言が続いており、感染再拡大も懸念されていますね。おうちにいながら京都気分に浸れる、『おうちで楽しむ 京の味と物』をご紹介しています。インターネットや電話などで、全国どこからでも注文できます。

 

 

第38回

愛らしいデザインの手刷りのハガキやポチ袋など

紙雑貨「羅工房」

 

なんて愛らしいデザインなんでしょ! これは西陣に工房をもつ紙雑貨専門店「羅工房」の夏のハガキ。金魚や朝顔、スイカといった日本の夏の風情などを大胆な構図で表現した夏のご挨拶に使いたいハガキです。

温もりを感じさせるデザインに心惹かれ、どんな方がこのデザインをなさっているのでしょうか?

それが知りたくて工房を訪ねました。

 

「いらっしゃいませ~」と工房から姿を現したのはOurAge世代の中尾憲二さん。正直、もっと若い方が描かれたものかと想像していて、ちょっとビックリしていると…。

「すみませんね~僕が全部デザインしてるんですよ~」と笑顔で応えられました。

 

 

滋賀県の信楽で陶芸家に生まれた中尾さん。子供の頃から、ものづくりが大好きで、大学ではグラフィックデザインを学ばれたそう。

「あ、それでこういうハガキなんか作るようになったんですか?」と伺うと、「う~紙雑貨の工房を始めたのは、20年くらい前からで、ここに至るまでには、いろいろな偶然が重なったってとこですかね~」と苦笑されます。

 

西陣の路地にある工房の1階は、昨年からオープンしたカフェ「天御八」になっていて、そこには「羅工房」の紙雑貨の品々が種類豊富に並んでいます。

小さな紙製の小箱や立体的なポチ袋、張り子の人形など見ているだけで、楽しくなってしまうものばかり。和紙のような温もり漂う紙を使った品々ですが、実は、これらの製品はすべてタイ、バンコクで作られています。

 

 

「あの~なんでバンコクで作ってるんですか?」と素朴な疑問を中尾さんに。

 

「それが~いろんなモノづくりの作品展なんかやっていた時に、飲食店を経営する知り合いから店舗のデコレーションを頼まれ、その方がバンコクでエステの店をオープンすることになり、それもお手伝いすることに。何度もバンコクに足を運び、そこで偶然出会ったのが手漉きの紙なんです。書に用いる和紙のように上質のものではなく、当時はもっぱら祭りの飾りなどに使う荒い材質の紙でした。

でも、なんかその素朴な紙づくりに心惹かれて…バンコクに滞在中に、現地スタッフと共に紙づくりを始めたんです。もちろんいろいろありましたよ~でもついに製品になる紙ができるようになりました」と中尾さん。

 

いろいろな偶然的な出会いに恵まれたお話は、なかなか興味深いもの。

 

 

さて、なんとも愛らしい絵が、ここの製品の最大の魅力。ハガキなどの表面に描かれた絵は、なんと友禅などの型染めの技法を応用しているそう。

「よくお客様からは、印刷ですか?と言われますが、実はバンコクのスタッフが、僕のデザインの型を使って、一色ごとに手刷りしているんです」と。

 

その作業はというと…まず中尾さんのデザインを色別にカットしたプラスチックボードを作ります。

それを、紙にのせ、インクで空いた部分を埋めてゆきます。

この作業を色別に行うわけですが、ずれないようにするのは、なかなか集中しなければならない作業です。

 

 

「え~一枚一枚すべて手刷りなんですか?」

「はい、そうです! 動物の目なんか小さなところも型染めなんですよ~」と。

三色使ったハガキなら、3回手刷りが行われます。

「手間がかかる作業ですが、印刷では出せない味わいがあって、僕はそれが好きなんです」とキッパリ。

 

なるほど、色の面積の広い部分には、微妙なインクの濃淡が感じられるのは、印刷では出せない味わいになっています。

 

 

ハガキやポチ袋、金封など相手に贈るものを作る「羅工房」。

それらはすべて贈る人の温もりが伝わるための品々なんだと納得。

「こういうの頂いたら、捨てられませんね~」と私。絵ハガキは、額に入れてインテリアにしたくなります。

 

 

シンプルなラインで構成されたイラスト。中尾さんがデザインに選ぶテーマがなんとも可愛いのです。

「とてもおじさんが描いているって、想像できませんね~」と思わず失礼な言葉が…。

「ハハハ~」とにこやかにかわしてくださった中尾さんです。

最近人気なのが、張り子の人形。「立体的なものも、もっと増やしていく予定です」と。

 

 

丸にネコやトラは起き上がりこぼし。もちろんこれらは手描きのもの。

 

「これからもバンコクで作るんですか?」と伺うと、「はい、現地のスタッフの技術も向上しましたし、現地の産業発展の一助にもなっているんです。京都でデザインし、販売していますから、京都産と思われがちですが…」と中尾さん。

 

「別に和紙とかにはこだわりません。だってデザインが素敵ですし、箱の作りもしっかりしてるし~」と思わず。

 

デザイナーの中尾さんの温かいとユーモアがあふれる作品に、心惹かれます。

 

 

夏の涼しさを誘う北極クマと南極のペンギンのハガキ。

 

 

オンラインショップには、小箱や張り子など可愛い品々がいろいろ揃う楽しいショップです。

 

また工房の1階のカフェ「天御八」では、ミニサイズのどら焼きなども頂けます。

京都に来たらぜひ一度訪れてはいかがでしょ。

「羅工房」 

京都市上京区千本通一条下ル西中筋町19-84

☎075-467-5301

カフェ「天御八」☎050-3776-6644

営業時間10:00~18:00 不定休

ホームページ

 

 

小原誉子のブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」

http://blog.goo.ne.jp/mimoron

 


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