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小豆の美味しさが際立つ餡 「山梨製餡」

小原誉子

小原誉子

「京都観光おもてなし大使」&旅ライター
アナウンサー、テレビ番組プロデューサーなどを
経て、集英社「エクラ」などのライターに。
2011年より京都在住。
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京都の楽しみのひとつは、四季折々の美しい和菓子。ご存知の通り、和菓子は京都で発達した日本を代表する文化です。市内各所に点在する多くの菓子店は、それぞれの個性豊かな品で、移り行く季節を表現しています。京都を訪れたら、一度は、和菓子を味わいたいもの。

さて、東山三条の北「満足稲荷神社」のそばに大きな町家があります。暖簾が掛かるその店は、餡の専門店「山梨製餡」。和菓子店の多い京都は、昔から餡を専門に製造する店があり、大正9年創業の「山梨製餡」もその一軒で、長いお付き合いの老舗の和菓子店をはじめ、餡を使う京名物の菓子メーカーなどに、菓子作りの素材となる生餡(なまあん)や味付け餡など、いろいろな種類の餡を納めています。「え、和菓子店が餡を作っているんじゃないの?」と思われる方も多いはず。そもそも、和菓子に多く使われるこし餡の製造は、とても手間と時間がかかる作業。そこで良質の餡を安定して確保できる、専門性の高い技術をもつ餡製造業者が求められるようになったのです。

「山梨製餡」の町家建築の後ろには、大きな釜や餡を精製する水槽などが並ぶ衛生的な工場があります。餡づくりには多量の水が必要。この地域は、東山の良質な地下水が豊富で、美味しい餡ができる環境に恵まれているのです。ここでは、毎日朝5時から作業が開始され、それぞれの店に注文された餡が納められてゆきます。温度・湿度が管理された倉庫には、餡の材料となる丹波大納言や全国の産地から届く豆が、天井まで積まれ、その量にビックリ。なんでも年間の300トンを超える量の豆が餡や煮豆などに加工され、京都の和菓子店に納められるそう。長年にわたり、老舗の和菓子店などから注文される餡の味は、さぞや美味しいものと想像されます。

さて、町家の暖簾をくぐると、一角に袋詰めされたいろいろな餡が並んでいます。実は、私、この前を何度も通りながら、つい最近まで、ここが小売りをしていると知らなかったのです。「山梨製餡」が、一般の顧客向けに販売を始めたのは、30年ほど前から。その後、パンや和菓子づくりを教える学校などから、教材向けに少量の餡の製造を求められ、小袋入りの商品が増えていったのだとか。そして今は、オンラインショップも開設され、全国どこからでも注文できるようになっています。例えば、「大納言粒あん」は、300g 詰め324円からと手軽に買える品も登場。また、最中の皮もあり、つぶ餡、こし餡、抹茶餡を挟めば、家庭でできたての最中が味わえます。小さ目な最中なので、ちょっとしたお茶うけにぴったり。

ところで、こし餡、つぶ餡の材料の小豆は、近年、その優れた成分が注目されているのです。健康に不可欠なビタミン、ミネラルなどの栄養成分だけでなく、腸内環境を整える食物繊維も多く、抗酸化作用があるといわれるポリフェノール含有量は、赤ワインをしのぐそう。さらに鉄分や亜鉛など、女性が必要な成分も多く含まれることから、小豆は、アンチエイジング効果が期待される食材なのです。つまり餡を食べれば、小豆の働きを手軽に取れるということに…。

「餡と生クリームをパンにつけると美味しいのよ」と名古屋出身の友人。「お餅に絡めるだけでもいいわよ~」「やっぱりお汁粉じゃないの」「夏は氷あずきでしょ~」など、餡をめぐって飛び交う友人たちとの会話。「小豆は体にいいから、もうひとつ食べちゃおう…。お茶には、カテキンやポリフェノールも多いしね~」と言いつつ、つぶ餡の最中を作っては食べ、日本茶を飲むティータイム。風味豊かな餡が口に溶け、思わずうっとりするひとときです。「もっと早く、あの暖簾をくぐればよかった…」と、美味しい餡を味わいながら思ってしまいます。

 

山梨製餡

京都市左京区南門前町538

☎075‐761‐1146

営業時間:9:00~16:00  定休日:土・日曜、祝日

http://www.yamanashiseian.co.jp/

 

 

小原誉子

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