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新型コロナウイルスの感染拡大防止のため取材撮影を一時中断しました影響で、MyAge次号は以下の通り変更いたします。ご理解のほどお願い申し上げます。

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https://ourage.jp/column/karada_genki/154148/

『ぼけますから、よろしくお願いします。』 ひとり娘が撮った母の認知症とは?(インタビュー/前編)

衝撃的なタイトルのこの映画、

ひとりでも多くの人に見て欲しい、ドキュメンタリーの傑作だ。

描かれているのは、ある老夫婦の暮らし。

妻が認知症を発症し、夫による老老介護が始まる。

シビアな現実が生々しく描かれているのだが、

それを見つめるカメラの視点は、どこまでも優しい。

撮影したのは、その老夫婦が愛して止まないひとり娘・信友直子さん。

56歳、OurAge世代の彼女が見つめ、記録する家族の姿は、

哀しくて愛おしくて、あたたかい。

 

撮影/萩庭桂太 取材・文/岡本麻佑

信友直子さん

Profile

のぶともなおこ●1961年生まれ。広島県呉市出身。1984年東京大学文学部卒業。1986年から映像制作に携わり、フジテレビ『NONFIX』や『ザ・ノンフィクション』で多くのドキュメンタリー番組を手がけてきた。『NONFIX 青山世多加』で放送文化基金賞奨励賞、『ザ・ノンフィクション おっぱいと東京タワー~私の乳がん日記』でニューヨークフェスティバル銀賞・ギャラクシー賞奨励賞を受賞。北朝鮮拉致問題、ひきこもり、若年認知症、ネットカフェ難民などの社会的テーマからアキバ系や草食男子の生態まで、現代社会のさまざまな様相を取り上げてきた。本作で劇場公開作品の監督デビューとなる。

 

プライベートで撮り続けていた両親の姿。

撮るのをやめるのは、認知症の母を否定することだと思った。

 

この映画の主役は、95歳の夫・信友良則さんと87歳の妻・文子さん(ともに撮影時の年齢)。広島の呉で、支え合うようにして生きている。

撮っているのは、娘の信友直子さん。業界では知る人ぞ知る、優秀な映像作家だ。

2001年にプライベートでビデオカメラを買い、家族の記録として、両親の姿を撮るようになったという。

 

母の言動がどこかおかしいと感じ始めたのが、2013年。アルツハイマー型認知症と診断されたのが、その翌年。直子さんのカメラは少しずつ病状の進んで行く母と、すぐそばで母を見守る父の姿を、刻々と記録していた。

 

2016年9月、『Mr.サンデー』(フジテレビ/関西テレビ)がその記録を『娘が撮った母の認知症』として2週にわたって放送。大きな反響を呼んだ。その後、継続取材を加えてまとめたものがBSフジで放送されると、さらにひとまわり大きな反響があった。

もう一度観たい、という声が殺到したという。そしてとうとう、追加取材と再編集を経て、このドキュメンタリー作品は1本の映画として、劇場公開されることになったのだ。

 

本作の中には、認知症になった母親が苦しむ姿が映し出されている。

『家族の邪魔になるから死にたい』と泣き、『私ばかり写さないで』と怒るシーンも。

娘であると同時に、作家としての冷静な視点がないと、作れなかったはずだ。

 

「プライベートビデオとして撮り始めたので、途中、母が認知症になったから撮るのをやめる、というのは、違うと思いました。撮るのをやめたら、認知症を悪いこととして排除することになり、それは今の母を否定することになるからです。

私が一番印象に残っているシーンは、母が溜まった洗濯をしようとするんだけどできなくて、洗濯物の中にごろんと寝転んでしまうところ。それだけでも衝撃なのに、そこに父が現れて、寝転んでいる母をひょい、とまたいでトイレに行くんです。

見方によっては悲惨なシーンかもしれませんけど、でもディレクターとしては、これが信友家の日常だ、いい絵が撮れた、と思ってしまう。そこは私が親不孝というか、業が深いところかもしれません。でもカメラを置くと、娘に戻ってちゃんと手伝いました。切り替えはできていたと思います」

上映会&トークイベントのあったこの日、直子さんは「高校時代、ゴダイゴのファンだった私に、タケカワユキヒデの衣装を真似て母が作ってくれた」という思い出のブラウスを着て登場。袖口や襟元には繊細な刺繍が施してある。

 

写っているのは衝撃映像ばかりではない。

穏やかに笑う母の姿もあれば、その母の代わりに買い物をし、生まれて初めてリンゴの皮をむき、やったことのない繕い物をし、母を落ち着かせるために、自慢のコーヒーを淹れる父の姿もある。

 

「認知症の映画を撮ったつもりはないんです。困った姿も映っていますけど、それを補うあたたかいシーンもある。

見えてくるのは父と母の絆というか、ああ、こんなに思い合っていたのだという、愛ですよね。すべてを映し出せば父や母は絶対に救われると、信じながら撮っていました」

 

『ぼけますから、よろしくお願いします。』というタイトルは、ユーモアを忘れない母・文子さんが、年が変わった瞬間に「あけましておめでとう」の挨拶とともに発した言葉だという。

 

「認知症というと、今はまだ直す薬もないですし、なったら終わり、みたいな悲観的な空気もあります。

徐々に進行するので、本人が1番恐いだろうし、辛いと思います。身近にいる人間も、助けてあげられないのがもどかしいです。

でもいざ家族がなってみると、認知症になっても母は母のままで、可愛いときはすごく可愛いし、お得意の毒舌を吐くこともある。母らしいなと思う瞬間はいっぱいあって、抱きしめたくなるんです。

母が認知症になったことで、今まであまり会話のなかった父とも仲良くなって、いろんな話も聞けました。母が認知症になって、家族が得たものも実はたくさんあるんです」

 

病状が進むに従って、信友家は介護のため、公的サービスを受け入れた。

 

「認知症の専門医の先生から、金言をいただきました。『介護はプロとシェアしなさい』って。なんで実の娘がやらないで他人に任せるんだって言う人もいますけど、プロはケアの研修を受けていますし、プロのほうがうまいことっていっぱいあるんです。

プロにできることはプロに任せて、家族は家族にしかできないこと、その人を愛してあげて、ぎゅっと抱きしめてあげることをし続けるのが本当の介護なんだよって、言っていただきました。

介護する人がキリキリしないために、プロの方に介護サービスをお願いするのは、大切なことなんです。

のめり込んで、気持ちが落ちてしまう前に、任せられるところは任せて、ちょっと深呼吸すればいい。自分たちの状況を、ちょっと視点を変えて見ると、楽になることもあるんです。私にとってカメラを持つということは、深呼吸だったような気がします」

 

(直子さん自身の乳がんについて語った、インタビュー後編はコチラ

 

 

『ぼけますから、よろしくお願いします。』

ひとり娘で典型的な母っ子だった直子さんは、文子さんが認知症になるまで、父親の良則さんとは、ほとんど会話もなかったそう。

11月3日(土)より、ポレポレ東中野ほか、全国の劇場にて順次公開予定。

(C)「ぼけますから、よろしくお願いします。」製作・配給委員会

公式サイト:http://www.bokemasu.com/

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