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“肝腎要(かんじんかなめ)”の腎臓はオシッコを作るだけじゃない!/Dr.根来の体内向上プロジェクト

根来秀行教授

根来秀行教授

1967年生まれ。最新刊『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業「毛細血管」は増やすが勝ち!』(集英社)が好評発売中!ハーバード大学医学部内科客員教授、パリ大学医学部客員教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界の最先端で臨床・研究・医学教育にあたる。

いし こんにちは。ぐうたらライターいしまるこです。 前回予告した通り、知っておきたい腎臓の働きについて根来教授にわかりやすく解説していただきます。

 

 

根来 こんにちは。根来秀行です。 実は僕の専門のひとつは「腎臓」なので、この機会に是非、みなさんに腎臓に親しんでいただきたいです。

 

 

いし 腎臓って、「オシッコを作る場所」くらいの認識ですけど、〝肝腎要(かんじんかなめ)〟というくらいですから、とっても重要な臓器なんですよね。

 

 

根来 そうですよ。そもそも、尿がどのように作られるかについて、知っている人も少ないと思うので、まずはオシッコができるまでのメカニズムを簡単に説明しますね。

 

 

いし よろしくお願いします!

 

 

根来 全身を巡る血液は腎動脈から腎臓に送られ、「糸球体(しきゅうたい)」でふるいにかけられ、体に必要な水分や成分を含んだきれいな血液が腎静脈を経て心臓へ戻ります。 糸球体でろ過され取り除かれた老廃物や水分は、尿のもと「原尿(げんにょう)」となり、1日に約180Lも作られます。

 

 

いし えっ、180Lも!?

 

 

根来 ただし、原尿には体に必要な成分が多く残っているため、その約99%は「尿細管」で再吸収され、残りの1%にあたる1.5Lほどが、膀胱へ送られ、尿として排泄されるのです。

 

 

■血液をろ過し、老廃物を尿として出す

Dr.negoro_Ill

糸球体は直径0.1〜0.2mmほどで、毛糸玉のように丸まった毛細血管でできています。血液をろ過して尿のもと(原尿)を作り、原尿は尿細管を通るときに必要な成分だけが再吸収されます

 

 

根来 腎臓にはほかにも素晴らしい働きがあります。 水分や電解質(ナトリウム、カリウムなど)の排出量をコントロールすることで血圧を調整しているんですよ。血圧が高い時は塩分と水分の排出量を増やして血圧を下げ、血圧が低いときは逆に排出量を減らして血圧を上げます。

 

いし なるほど。血圧をコントロールしてくれているんですね。

 

 

根来 そうです。糸球体から分泌されるホルモンには、血管を収縮させ、血圧を上昇させる働きがありますし、腎臓の髄質から分泌されるホルモンには、血管を拡張させ、血圧を下げる働きがあります。

 

 

いし へぇ〜、知らなかった。

 

根来 また、腎臓は血液を作る司令塔でもあり、腎臓から出るホルモンは、骨髄に作用して赤血球の生成を促しています。

 

 

いし 腎臓が血液を作らせていたんですね。

 

 

根来 腎臓は丈夫な骨を作るのにも一役買っています。 腎臓には、カルシウムを体内に吸収させるのに必要なビタミンDを、活性化させる働きがあるんです。

 

 

いし ということは、腎臓の働きがないと、活性型ビタミンDの生成が減って、丈夫な骨がつくられなくなってしまう?

 

 

根来 はい。腎機能が著しく低下して活性型ビタミンDが減少すると、カルシウムの取り込みが悪くなり、骨粗鬆症を招くこともあります。 また、活性型ビタミンDは、尿中のカルシウムの再吸収を促して、血液中のカルシウム濃度を維持しています。カルシウムの血中濃度が低くなると、手指や唇のしびれ、けいれんを引き起こすこともあります。

 

 

いし 腎臓が本当に大切な臓器だということがよくわかりました。 そんな重要臓器である腎臓が老化していくと、どんな不具合が起こってくるのか気になりますが……。

 

 

根来 それはまた次回ということで。

 

 

それではみなさん、今日も素敵な1日を!

 

 

Dr.negoro_photo

 

 

取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン

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