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タフな心臓をも弱らせる冠動脈の老化/Dr.根来の体内向上プロジェクト

根来秀行

根来秀行

1967年、東京都生まれ。医師、医学博士。この連載から生まれた『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(いずれも集英社)が好評発売中。ハーバード大学医学部客員教授(Harvard PKD Center Collaborator, Visiting Professor)、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界の最先端で臨床・研究・医学教育にあたる。

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いし こんにちは。ぐうたらライターいしまるこです。
ハーバード大学医学部根来秀行教授による体内向上プロジェクトの新企画「心臓年齢を若返らせる!」の2回目ですよ。
心臓のことなんて普段まったく気にしていませんでしたが、前回の講義で、心臓に過酷な労働を日々強いていることを自覚して、なんだか申し訳ない気持ちになりました。

 

 

根来 こんにちは。根来秀行です。おっしゃる通り、からだって健気なんです。そして、本当によくできているでしょ。

 

 

いし そうですよねー。心筋細胞なんて130年くらいはもつんでしょ。
タフな細胞ですね!

 

 

…と、ここで突然ですが根来先生の近況をご報告。今はアメリカにいらっしゃいます。

 

Dr.negoro_photo

 

相当寒そうですね。顔に寒さが表れています。

「後ろに写っているのは、僕が勤めている、brigham&women’s hospital(ハーバード大学医学部の附属病院みたいな病院)です」

 

 

Dr.negoro_photo

 

 

 

根来 話を戻して、心筋細胞はタフではありますが、数は少しずつ減っていくんですよ。

 

 

いし 減っちゃうのかあ。

 

 

根来 はい。加齢とともに毛細血管の量が減ると、心臓に行く血液も減ってきて、酸素や栄養が不足し、脱落していく心筋細胞が出てくるんです。
それを補うために、残りの心筋細胞が大きくなって、心筋への圧を軽減させようとがんばる。そのため心臓は若干拡大し、心臓の壁が厚くなり、心房や心室が少しずつ大きくなる傾向にあります。

 

 

いし 心肥大ってことですか?

 

 

根来 はい。働きが悪くなった心臓を自らリモデリングするわけです。
しかし、しだいに対応しきれなくなり、心筋はだんだん柔軟さを失い硬くなり、血液を循環させる心臓のポンプ機能も低下します。
それでも、ほかに問題がなければ、致命的なことにはならないんです。

 

 

いし さすがに丈夫にできているんですね。
では、心臓のいちばんのネックはなんですか?

 

根来 なんといっても冠動脈ですね。
心臓が元気に働くには、心臓そのものにも酸素や栄養が必要です。
そのため心臓には自身を養うための血管が備わっています。その血管は花冠のように心臓の表面をとりまいているため「冠動脈」と呼ばれているのです。

 

Dr.negoro_Ill

心拍出量(心臓が1回拍動するとき押し出す血液量)の約5%は冠動脈へ送られています。冠動脈は3本あり、そこから無数に枝分かれしてさらに細くなり、毛細血管となって心筋のすみずみに血液を供給するしくみになっています

 

 

いし 心筋に酸素や栄養を送っているのは、心臓の中を流れている大量の血液ではなく、心臓の外側を走っている冠動脈から送られる血液なんですね。

 

 

根来 その通り。冠動脈は、いわば心臓の生命線です。
加齢や生活習慣によって冠動脈の動脈硬化が進み、心臓への血流が滞ると、心筋が血液不足に陥ってしまいます。
それによって、心筋が必要とする酸素や栄養が足りなくなり、心臓のポンプ機能に異常が生じる「虚血性心疾患」を招いてしまうのです。

 

 

いし 虚血性心疾患というのは、狭心症や心筋梗塞の総称ですよね?

 

 

根来 はい。虚血性心疾患にかかると、一気に突然死のリスクが高まります

Dr.negoro_Ill

いし 突然死怖い〜。

 

 

根来 次回は、心臓病による突然死を防ぐためのアドバイスをいたしましょう。

 

 

いし これは見逃せない!

 

 

それではみなさん、今日も素敵な1日を!

 

Dr.negoro_photo

 

 

次回は、「心臓病による突然死を防ぐには?」です。お楽しみに!

 

取材・文/石丸久美子 撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン

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