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若さの鍵は胃腸粘膜にあり!/Dr.根来の体内向上プロジェクト

根来秀行教授

根来秀行教授

1967年生まれ。ハーバード大学医学部内科客員教授、パリ大学医学部客員教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界を股に掛け活躍する気鋭の医学博士。

 

いし こんにちは、ぐうたらライターいしまるこです。
前回に引き続き「胃腸年齢」を若く保つために知っておきたい基礎知識を、根来教授に教えていただきますよ。

 

 

根来 早速ですが、胃腸の若さは3つの要素が大きく影響するんです。
まずひとつめは「胃粘膜」。胃の衰えはココから始まります。

 

 

いし 文字通り、胃の内側をおおっている粘膜ですね。

 

 

根来 はい。胃の内壁は粘膜のひだでおおわれており、1日に約2Lもの胃液を分泌しています。胃液とひとくちに言いますが、主成分は3つ。食べ物を消化・殺菌する胃酸、タンパク質を分解する消化酵素、薄い膜状になって胃粘膜を守る胃粘液です。
胃酸は強力な酸性ですが、胃そのものが胃液に消化されないのは、胃粘液によって保護されているからなんですよ。

 

 

いし 胃液の絶妙なバランスによって、食べ物のみが消化されているんですね。

 

 

根来 ところが胃粘膜が老化してくると、胃液の分泌が減ってしまうんです。

 

 

いし 胃粘膜の老化って?

 

 

根来 健康な粘膜の細胞は1〜2日でターンオーバーしますが、年齢とともに新陳代謝が低下してくると、髪の毛が薄くなるように胃粘膜のひだも、ちびてきて、胃が消化吸収できる範囲が狭まってくるのです。

 

 

いし 頭がハゲるように胃の粘膜もちびてくるの!? とほほ……。

 

胃腸粘膜の比較図

 

 

根来 腸の粘膜も大事ですよ。なかでも注目したいのが「小腸絨毛」。
これが胃腸の若さの決め手となるふたつめの要素です。

 

 

いし 聞き慣れない言葉ですけど、小腸のひだってこと?

 

 

根来 そうです。小腸は十二指腸、空腸、回腸からなり全長6〜7m。内壁には絨毛と呼ばれる長さ約1mmの微小なひだが無数に折り重なり、栄養素はその表面から吸収されるんです。

 

 

いし へぇ〜。栄養吸収のメイン会場になっているんですね。

 

胃腸粘膜の小腸絨毛

絨毛の1本1本には毛細血管が走り、栄養分をたっぷり含んだ血液は肝臓へと運ばれます

 

根来 また小腸絨毛には免疫細胞が入り組んでいて、外界からの細菌やウィルスの侵入をブロックしているんですよ。

 

 

いし 腸粘膜が免疫の砦になっているんですね!

 

 

根来 そうなんです。胃腸粘膜は加齢だけでなく、ストレスによってもダメージを受けますよ。

 

 

いし 確かに、強いストレスを受けると、胃がキリキリしたり、便秘や下痢になったりすることがありますもんね。

 

 

根来 強いストレスで交感神経が優位な状態が続くと、胃腸の毛細血管がどんどん収縮して、胃腸粘膜の細胞が脱落してしまうこともあります。
そうなると、胃腸での栄養や老廃物の受け渡しが滞ってしまうし、外から栄養を吸収してくれるはずの胃腸粘膜の細胞も新陳代謝しないまま劣化していくので、ダブルの悪影響があるんです。

 

 

いし 胃腸の不調が続くということは、胃腸粘膜のターンオーバーがうまくいっていない証拠

 

 

根来 そういうことですね。

 

 

いし ひぃ〜ん。胃腸の粘膜を強くするにはどうすればいいんですか?

 

 

根来 自律神経のバランスを整えて、胃腸の毛細血管を十分に働かせること。そうすることで胃腸年齢が若返り、免疫力UPにつながります。

 

 

いし なんとしても自律神経を整えて、胃腸の毛細血管にしっかり働いてもらわなきゃ!

 

 

根来 自律神経は体内時計に従って働き、毛細血管のメンテナンスは夜、眠っている間に行われます。ですから、

早く起きて、三食規則正しく食べて、早く寝ることによって、体内時計を整える。

これが肝心ですよ。

 

 

いし なるほど。生活のリズムが整っていなければ、いくら「胃腸にいい!」といわれるものを食べても意味がないんですね。

 

 

根来 そうですね。とはいえ食事も大切ですよ。これはみっつめのポイントとなる

腸内フローラ」

に関係するのですがーー。

 

 

いし 「腸内フローラ」は最近とみに話題ですね!

 

 

根来 はい。ですが、時間がなくなってしまったので、「腸内フローラ」については次回にお話ししますね。

 

 

いし あ〜ん、先生のいけずぅ〜。

 

 

 

 

 

根来 それではみなさん、今日も素敵な1日を!

 

 

 根来秀行教授

 

 

 

取材・文/石丸久美子 撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン

 

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