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更年期を熟知した素敵女医座談会①薬が効かない更年期のつらい日々

婦人科ドクター×アンチエイジングドクター座談会

 

更年期を熟知した素敵女医による

更年期とホルモン治療の今

 

 

知っているようで意外に知らない更年期のあれこれと、昨今のホルモン治療。
3人の女医に語っていただいた、ご自身の体験も含めた対処法と最新情報などを4回に分けてご紹介。

 

今回は、素敵女医たちの更年期の辛かった日々についてです。

 

 

 

 

土屋眞弓さん Mayumi Tsuchiya

myage_010_087-土屋眞弓さん

54歳 産婦人科・美容皮膚科

土屋産婦人科

 

50歳/閉経後、肌トラブルが

52歳/夫が急逝。夫婦で運営していた病院の院長にも就任。精神的不調に
53歳/精神症状はほぼ解消

 

 

 

まのえいこさん Eiko Mano

myage_010_087-まのえいこさん

62歳 皮膚科・美容皮膚科

マノメディカルクリニック
50歳/成長ホルモンを注射

51歳/声枯れ、過呼吸などの症状が現れ、抑うつなどの精神症状に発展

52歳/エストロゲン投与で自分を取り戻す

 

 

 

飛田砂織さん Saori Tobita

myage_010_087-飛田砂織さん

47歳 美容皮膚科・抗加齢医学
クリニックシュアー銀座
30代後半、PMSに悩む。漢方薬などで対処

43歳/疲れと冷えの症状改善のため、

ナチュラルホルモンを使ったホルモン補充療法を開始

 

 

 

どんな薬も効かない!
更年期のつらい日々

 

 

まの 私の更年期はひどかったですよ。50歳頃から不安感と疲労感、イライラ、微熱、手指・足の痛み、物忘れなどの症状に悩まされました。終始頭にもやがかかったような状態で、うつ病や認知症を疑ったくらいです。

 

土屋 おつらかったでしょうね。それらの症状には、どのように対処されたのですか?

 

まの 最初はアメリカから自費で成長ホルモンを輸入し、毎日両脚に1本ずつ打っていました。ところがまったく効果なし。それ以外にも各種ホルモン剤、抗うつ剤、SSRI(セロトニンの減少を防ぐ薬)、漢方薬、サプリメント、アロマオイル、
整体など、あらゆるものを試しましたが、症状は悪化するばかりでした。

 

飛田 日本でホルモン補充療法が注目されはじめた頃でしょうか?

 

まの そうです。私はアメリカのアンチエイジング科にかかっていたので、すすめられるまま成長ホルモン、甲状腺ホルモン、男性ホルモン(DHEA)を1年ほど使っていました。ところが男性ホルモンを試したら、あごにニキビがボコボコできるじゃないですか! 服用を中止したものの、治るのに1カ月かかりました。

 

土屋 その頃、エストロゲン(女性ホルモン)の数値はどうでしたか?

 

まの 十分でした。だから心身の不調と更年期が結びつかなかったのね。

 

飛田 どのようにして改善を?

 

まの ある日、プレマリン(エストロゲン剤)を1錠飲んでみたの。そうしたら30分ごとに頭の中がクリアになって。「やっぱり女性ホルモンがカギを握っているのね!」と実感しました。その前に黄体ホルモンも飲んでいたのですが、おりものが増えるのが不快でしたし、乳がんへの懸念もありました。HRT(ホルモン補充療法)としては、プレマリンを少しと、エストラーナテープ(エストロゲンの一種であるエストラジオールを補う貼り薬)ですね。

 

まの先生愛用の薬とグッズ。最も効果が高かったのはエストラーナテープですが、香水も役に立ったそう。「気持ちが落ち込んでつらかったときは、大好きな爽やかな香りの香水やコロンで気分を上げていました」

まの先生愛用の薬とグッズ。最も効果が高かったのはエストラーナテープですが、香水も役に立ったそう。「気持ちが落ち込んでつらかったときは、大好きな爽やかな香りの香水やコロンで気分を上げていました」

 

対談は次ページに続きます。

飛田 プレ更年期になると、女性ホルモンは減らないものの黄体ホルモン値がグッと下がり、そのアンバランスから不調が起こると言われています。それを防ぐため、黄体ホルモン値を上げる処置をすることもあるので、まの先生が受けられた治療は
そういうことかもしれません。一般的な合成ホルモンによる黄体ホルモンの場合、アメリカの研究では、1000人中数人のみ乳がんリスクが高まるという結果が出ています。

 

ただ最近では「ナチュラルホルモンの黄体ホルモンを使った場合、子宮体がんはもちろん、合成ホルモンの黄体ホルモンをエストロゲンと同時に使った際にリスクの上がる乳がんに関しても、ナチュラルホルモンの黄体ホルモンはそのリスクを上げな
い」という研究結果があります(注1)。

 

※注1:出典:公益社団法人 日本産婦人科医会 平成28年3月文書
Breast Cancer Res Treat. 2008 Jan;107(1):103-11. Epub 2007 Feb 27.
Unequal risks for breast cancer associated with different hormone replacement therapies: results from the E3N cohort study.
Fournier A1,Berrino F, Clavel-Chapelon F.

 

 

土屋 日本の婦人科の場合、一般的なHRTでは、まずエストロゲンのプレマリンかジュリナを21~28日間にわたって周期的に服用。最後の10日間だけ黄体ホルモンのデュファストンを重ねて飲み、1週間休むという流れになります。飛田先生は現在プレ更年期のような症状を感じたことがきっかけで、ホルモン治療を実践しているとお聞きしました。

 

飛田 43歳のときに、ナチュラルホルモンを使ったホルモン補充療法を始めました。話は更年期からそれますが、私は以前、救命救急の現場におり、当時はとにかく体の疲れが取れなくて。気分の落ち込みも激しく、検査を受けたところ、副腎不全になっていたのです。そのときは補助的にビタミンCや亜鉛、体を元気にするマルチビタミンなどをとることで徐々に回復しました。それを機に、アンバランスな病的老化を予防・治療して健康長寿を目指す「抗加齢医学」に興味を持ったのです。

 

まの 飛田先生ほど激務ではない女性の場合、朝起きられない、だるくて動けないというときは、まずうつ病、橋本病、甲状腺機能低下症、食生活の乱れ、この4つの可能性を考えます。副腎不全も、可能性のひとつとして知っておくといいですね。

 

 

 

 

【What’s S-Joy?】

S-Joyとは、素敵女医(SUTEKI JOI)からのネーミング。Over-45のOurAge世代で、若々しくイキイキと輝いている女性医師たちに、ずっと美しく健康で過ごす秘訣を伝授してもらうシリーズです。美容皮膚科、婦人科、歯科、形成外科など、幅広い科の先生方の専門知識を生かしたアドバイスや、ご本人が実践していることをお伝えします。

 

 

 

次回は、健康寿命を延ばすために何らかの対策を、と考えている人に有効と言われる、ナチュラルホルモンを使ったホルモン補充療法についてのお話をご紹介します。

 

 

 

撮影/ケビン・チャン 取材・原文/上田恵子

 

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