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三大栄養素は肝臓で代謝される!/Dr.根来の体内向上プロジェクト

根来秀行

根来秀行

1967年、東京都生まれ。医師、医学博士。この連載から生まれた『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(いずれも集英社)が好評発売中。ハーバード大学医学部客員教授(Harvard PKD Center Collaborator, Visiting Professor)、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界の最先端で臨床・研究・医学教育にあたる。

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いし こんにちは。ぐうたらライターのいしまるこです。
根来教授に「肝臓年齢を若く保つ」秘訣を教わっていますよ。

 

 

根来 ごきげんいかがですか。根来秀行です。
前回、肝臓の働きについて、主に3つの働きがあるとお伝えしましたが覚えていますか?

 

 

いし えっと、1「代謝」、2「解毒」、3「胆汁の合成」でしたよね。

 

 

根来 ピンポン! 今回は、肝臓での三大栄養素の代謝について解説します。

 

 

いし 三大栄養素といえば、糖質(炭水化物)、タンパク質、脂質ですね。

 

 

根来 その通り。では、まず糖質の代謝からご説明いたしましょう。

 

 

いし 糖質(炭水化物)は、ごはんやパン、いも類に含まれます。

Dr.negoro_Ill

根来 糖質は小腸でブドウ糖(グルコース)に分解され、肝臓で貯蔵しやすいように「グリコーゲン」という形につくり変えられます。

 

 

いし ブドウ糖→グリコーゲンですね。

 

 

根来 グリコーゲンは、必要に応じて全身のエネルギー源として使われ、余った分は肝臓内に蓄えられます。
空腹時などに血糖値が低下してくると、肝臓はグリコーゲンを分解してブドウ糖に戻し、血液中に放出します。

 

 

いし なるほど、肝臓が血糖値を調整しているんですね!

 

 

根来 はい。血糖値が一定に保たれるのは、肝臓の糖代謝のおかげなんです。
では、次にタンパク質の代謝についてお話ししましょう。
Dr.negoro_Ill

 

 

根来 肉や魚、大豆製品に含まれるタンパク質は、小腸でアミノ酸に分解され肝臓へ。アミノ酸は肝臓で人間の体に合ったタンパク質に作り変えられます。

 

 

いし ここでもまた肝臓の化学工場が活躍するわけですね。

 

 

根来 肝細胞ではさまざまな種類のたんぱく質が合成されますが、代表的なのは血管から水がしみ出すのを防ぐ「アルブミン」と、出血したときに血を固める「血液凝固因子」です。

 

 

いし おおっ、それは命にかかわる重要な働きではないですか。

 

 

根来 そうなんです。肝臓病が進んでこれらが作られなくなると、むくみや腹水がたまったり、血が固まりにくくなったりする症状が起こります。

 

 

いし ひとくちにタンパク質といってもいろいろな働きをしているんだなあ。

 

 

次ページでは「脂質の代謝」についてご説明します。

根来 最後になりましたが、脂質の代謝について説明します。

Dr.negoro_Ill

根来 油脂や肉の脂身に含まれる脂質は、腸で「脂肪酸」と「グリセロール」に分解され、肝臓に運ばれます。

 

 

いし そして肝臓でさらに分解されるんでしょ?

 

 

根来 わかってきましたね、いしまるこさん。肝臓では「コレステロール」や「リン脂質」「中性脂肪」に作り変えられ、そのほとんどは血液によって放出され、全身の細胞膜などの材料になります。

 

 

いし コレステロールや中性脂肪も必要なんですよね。

 

 

根来 そうです。脂肪酸の一部は分解されてエネルギー源として利用されます。
炭水化物でエネルギーとして消費されない余分なものは、肝臓内で中性脂肪に変えられ、体内の脂肪組織に貯蔵されます。

 

 

いし それが行き過ぎると、脂肪肝にもつながっていくわけですね。

 

 

根来 察しがいいですね。脂肪肝については次回にお話ししましょう。

 

それではみなさん、今日も素敵な1日を!

 

Dr.negoro_photo

 

 

 

取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン

 

 

(気になる脂肪肝のお話は次回へ。お楽しみに!)

 

 

 

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