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春の訪れとともに-新しい時代を生きる-

竹村和花

竹村和花

ミネラル水鑑定士協会(イタリア)公認水ソムリエ&水鑑定士(n.2689
2004年より 社)日本温泉協会にて6年間温泉コラムを連載。取材活動を通して日本の温泉が抱える源泉問題を知る。
2008年EUの地下水源の実情と法環境を取材調査するため現地に活動拠点を移す。
2019年フィレンツェ大学法学部で就学後、一時帰国中にミラノがロックダウン。
現在は日本からイタリアの生活で培った情報を発信中。
【所属】 社)日本旅行作家協会・正会員、温泉学会・理事

 

 

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春の訪れとともに-新しい時代を生きる-

 

https://rebornskincare.com.au/

ボンジョルノ!皆さま、お変わりありませんか。水ソムリエ&水鑑定士の竹村和花です。

コロナ一色だった2020年、皆さまはどんな風に過ごされましたか。

私にとって昨年は、年明けイタリアに向かう飛行機を予約するタイミングでミラノが都市封鎖され、

イタリアに帰ることもできず、せっかくの日本での時間をクリエイティブな気持ちで過ごすこともできず、

世の中がどんどん閉塞していくような息苦しい一年でした。

 

<コロナによって変わったもの>

コロナの感染拡大による衝撃は大きく、今も社会全体に深刻な影響を与えています。

そんな中で、暮らしや仕事の在り方そのものを、大きく変えざるを得なかった方も沢山おられたと思います。

今まで普通にできていたことが、何もできなくなる。

 

私にとっても、これまで当たり前にできていたイタリアでの暮らしや日本との往復は完全に遮断され、従来通りの生活を取り戻すのは、コロナが完全に収束するまで難しいだろうなと感じています。

そして、この完全収束というものが果たしてあと何年で決着するのか?

さらにヨーロッパの専門家たちによる「今後、継続的に何年かおきに同様の感染症が発生するだろう」という警鐘。

 

こうした現実の中で、私もイタリアに戻れないでいる時間を、ただ悶々と過ごすのではなく、コロナ時代にあった生き方・暮らし方、さらには仕事のスタイルに進化するべく、まずは今いる日本での暮らし時間を整えていこうと思うようになりました。

 

イタリアの家のことは気にはなるけれど、心配したって何も前には進みませんものね。

再び安心してイタリアに戻れる日まで、今生きている日本での時間を大切にしたい。そう思います。

 

私の場合、まずは帰国中の仮住まいにしていたオフィスから引越し、自分の棲家をつくること――それが最初の課題となりました。

昨秋から数か月かけて、広さや間取り、光の入り方などリクエストに合う家を探し始め、それから年が明け、今、春になってようやく大ものの移動を残し、新しい部屋でキャンプ?のような生活がスタートしました。

食器棚やキャビネットなど大きな置きモノが全く無い部屋は、空間が大きく、リラックスでき、やがて冷蔵庫や洗濯機がやって来ることすら、少し残念なくらいです。

 

<職場を離れ、暮らし時間を楽しむ時代へ>

竹村 新居8203

これまで、ヨーロッパ勤務の駐在員や帰国子女の方に会うたびに、耳にしたのは

「ヨーロッパで暮らす時間が長くなるにつれ、日本での生活が息苦しく感じる」という言葉でした。

同じように思うことが、私にも沢山ありました。

でもこの1年。コロナによって、その息苦しい日本の人間関係や社会構造は大きく崩壊したように感じます。

 

リモートによる働き方は、企業側の苦渋の選択としてスタートしたものの、そのことで新しい生き方、新しい暮らし方、今までにない価値観に出会えた方も少なくなかったのではないでしょうか。

 

感染の拡大とリモートワークの浸透によって、郊外に引っ越された方が増えた。

通勤によるエネルギー・ロスがなくなり、ワーク・バランスが取れるようになった。

不登校だった子供たちが、学校を意識することなく学べるようになった。

そんなニュースを耳にするたびに、日本の中で“日々の暮らし時間”の方に重点が置かれ始めたことを感じます。

 

どんなことがあっても、決して悪いことばかりではない--イタリア暮らしの中で学んだ、1つ1つの大切なことを思い出しながら。

まだまだ決して便利とは言いがたい新居ですが、不便を楽しみながら、フィレンツェに居た時と同じように、無いなら無いでモノではなく知恵を使う。

有り余る時間と、まばゆい太陽の光に包まれたイタリア暮らしを、今ある環境の中で再現する。
日本でのささやかな暮らし時間を楽しんでいこうと思います。

 

 

<暮らしを見直す>

竹村 ベランダ8204

新居への引っ越しと合わせて、始めたことがあります。

約1か月かけて、オフィスの中で封印されていた段ボール箱の山を整理すること。

 

長らく日本を離れている間に、使わなくなってしまった資料や書類、取材ノート。

使わなくなったファブリック、捨てられなかった旅先の思い出の品。

それらが段ボール箱に入り、オフィスの一角を占拠していました。

 

でも結果から言うと、ほとんどの箱は整理するというより処分するものばかりでした。

コロナによって出国を足止めされなければ、永久に開けることのなかった段ボールの山。

 

今回コロナをきっかけに、日本での時間を仮住まいから棲家づくりへとシフトしたことで、日々の時間や、暮らしの質そのものも大きく変わり始めました。

心に浮かぶフィレンツェの家は、テラコッタの床と旧市街の屋根が連なる心地よいベランダ。

窓も扉も開放し、風が通り抜けたくるくる回って踊れた爽やかなリビング。

だから日本での暮らしも、日本らしさを大切にしながら、空間や空気の広がりを大切にした家にしたい。

 

何も増やさない、持たないことをベースに、今ある現状の中で、どこにいても生きることを楽しむ姿勢を忘れないこと――それらを軸にした棲家造り。

 

ただ、暮らしにまつわるすべての物の値段が高いヨーロッパに比べ、安くても高品質で便利なモノにあふれている日本。

その中で、本当に自分に必要なものだけを見極め、モノを増やさずに暮らすということは至難の業。

それでも、できる限り理想の棲家を形にするべく、暮らしの在り方を見直しながら今ある場所、今という時間を大切にしていきたいと思っています。

 

 

<新しい時代を生きる> 

竹村 山並み朝8205

新しい一年が始まり、春になって、日本でも今ようやく長らく負担の集中していた医療従事者の方々や、福祉施設などで勤務される皆さまへのワクチン接種がスタートしました。

 

先行してワクチン接種が始まっていたイタリアでは、まだまだコロナの勢いが衰えておらず、感染拡大という課題の解消には程遠いのが現実です。

それでも、具体的な予防策が前に向かって進み始めたことは、先の見えないトンネルの向こうに、小さな明かりが見え始めたような、ささやかな安堵があります。

新しい時代の、新しい旅のスタイルが見えてくるまで、あともう少し。

 

暮らしの軸となる住まう場所を、強制的に変えざるを得なかった私も含め、このコロナと共に始まった新しい時代は、世界中の人々の暮らしや働き方だけでなく、価値観や社会システムの全てに大きな影響を与え続けています。

でもその反面で、時間や暮らし方や人とのかかわり方など今まで重視されていなかったもの、気にも留められずにいたものが、注目されるようになったのも事実です。

 

コロナをきっかっけに、誰もが予想しない形で、新しい時代が始まった今。

強制的に変化させられた世の中の多くのこと。

生きることが人と人とのリレーションであることを、強く、強く実感する今。

新しい時代を、しなやかに、たくましく、そして豊かに、皆さんと共に生きてゆきたいと思います。

 

2021年が、皆さまにとって素敵な一年になりますように。

どうぞ宜しくお願い致します。

 

2021年3月 日本にて

 

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