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女性のセクシュアルヘルスを明るく深掘り! クラブハウスで「膣ケア」を話しました!

杉本佳子

杉本佳子

杉本佳子
ファッションジャーナリスト兼美容食研究家
1988年よりニューヨーク在住。1989年よりファッションジャーナリストとしてファッション、ファッションビジネス、小売りビジネスについて執筆。2013年より美容食研究家としても活動し始め、ブログ「YOSHIKOlicious Beauty」とインスタグラムを通じて、美肌効果の高い食材をなるべく使い、美味しくて見た目がお洒落な料理紹介している。見た目がきれいだと気分が上がり、食べて美味しいので嬉しくなり、美容と健康にいいのでさらにハッピーになる「3回ハッピーになる料理」がモットー。ファーマーズマーケットなどで買う生命力のあるオーガニックの食材をなるべく使う。食材の意外な組み合わせでも定評がある。

連載「負けない、メゲない。60代「NYでパートナー探し」の道」の関連トピックに特化した発信をThreadsでやっています。興味をもっていただける方は、是非フォローしてくださいね!

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会員制音声SNSの『Clubhouse』(=クラブハウス *文末に註)が人気を集めています。

 

アプリを入れて会員になると、誰でも開催自由、参加も自由の「ルーム」の場で、おしゃべりや聞くことを楽しめるツールです。大抵は何かのテーマについて自由に話し、知らない同士でも聞くことができて、質問や対話をしたい人は挙手して参加することも可能。距離を越え海を越えて世界中の人たちが、常に、それぞれに、盛り上がっています。

 

その中で、意外な盛り上がりを見せているな、と私が感じたのが、セクシュアリティに関する話題。なんと、Clubhouse上では、女性のセクシュアルヘルス、中でも「膣ケア」の話をするルームが頻繁に開催され、多くの女性の関心を集めているんです。

 

そこで、実は私も大変興味を持っているこの話題について、みなさんと考えや知識をシェアしあいたいと思い、先日、「女性性をまじめに明るく深掘り!」のタイトルで、ニューヨークに住む女性4人でルームを開催しました。通常は、Clubhouse上での会話は「持ち出し禁止」で、ルームの外では話したり書いたりしないという厳格なルールがありますが、参加者にアナウンスがあれば記事化なども可能です。そこで今回はアワエイジでの記事化を前提に参加された皆さんと、許可を確認しながら会話を楽しみました。具体的に話題の中心となるのは、私たち4人が今気になっている「膣」と「フェムテック」です。

 

Clubhouseでの「ルーム」開催の告知画面。当日は最大30名くらいが参加して、ホットな意見交換の場となりました。(登壇者全員の許可を得て掲載)

 

 

私が「膣トレ」を始めた、ある「理由」

私自身は、3年前に、当時ベストセラーとなっていた『ちつのトリセツ』(径書房)を読んだのが、自分の「膣」と向き合うことになったきっかけでした。その以前から尿漏れがあり、骨盤底筋が弱いことが気になっていたので、これだ、と思ったのです。

加えて、約10年前に離婚した後は、ティーンエージャーの息子と暮らしながら仕事をこなし、経済的に乗りきるだけで精いっぱい。息子が他州の大学に行き、1人暮らしを始めて生活に少しばかり余裕が出てきた時に思ったことは、「元気に歩き回れるうちにまた旅行をしたい」ということでした。

 

私は20代、30代は海外旅行が趣味というくらい、いろいろな国に行きましたが、経済的に大変だった時期は旅行の旅の字も考えられなくなりましたその頃は、テレビの旅行番組を見て、行った気になって満足していました。でも、いろいろなことが一段落した時に湧き上がってきたのは、「またいろいろな国に行って、見たことのない世界を自分の目で見てみたい。」という意欲。そして同時に閃いたのは、

「でも1人旅は嫌。新しいパートナーを見つけて、カップルで旅行したい!」。 

という思いだったのです。

 

となると、バラ色の老後、がイメージされますが、カップルになるということは、いろんなことが伴います。その中にはセクシュアリティに関することも。ニューヨークでパートナーをもつということは、一部の例外を除けば、年齢に関係なくセックスはつきもの、ないがしろにできないと痛感しています。

 

久しく使ってきてなかった私の膣(大汗)。〈膣ケアなんてまったく何もしてきていないし、パートナーができたところで使い物になるのかしら?〉と、急に心配になりまして…(滝汗)。そんな時に先に触れた『ちつのトリセツ』を知り、日本から取り寄せて読んでみて、膣ケアを始めようと決意したのでした。

 

みんながフランクに、貴重な知識や経験をシェア

以来3年間、私は本に書いてあった膣マッサージをずーっとやっています。いつのまにか、顔を洗ってスキンケアをするのと同じレベルで、お風呂やシャワーの後に膣マッサージをすることが習慣になりました。一方で、同じ本に書いてある「会陰マッサージ」は繁雑で時間がかかりそうで、「めんどくさい」「時間がない」と思って、やらなきゃと思いつつやってきていないのが実情です(ためいき)。

 

そんな中で最近、clubhouseのみなさんの発言を聞いていて、「私の膣ケアって、これでいいのかしら? もっといろんなやり方がある? いろんな専門家もいるみたい? もっと話が聞きたい!」と思ったのでした。

 

当日の参加者は、日米合わせて30人くらいと、プライベートな話題、しかも急な実施にしてはまずまずの盛況に。一緒にルームを開いた仲間は、マッサージセラピストの松ノ内和代さん、NYママサロンを主宰する直子フィッツジェラルドさん、ウエルネスのプラットフォームを日本で立ち上げようとしている近田知里さん。まず、3人の「膣ケア観」や、今時の「フェムテック」の進化ぶりに、大変刺激を受けました。

 

当日のモデレーター(緑色の印付き:主催者で運営者)、私を含む4名と、一部のスピーカーさん方。OurAgeからも、この連載の担当者REIKOさんが参加。この日のアイコンにしているのは、同じ編集部から出されている、この世代必携の「からだ」や「閉経」の参考書『「閉経」のホントがわかる本』ですが、その反響や、本で語られている膣ケアなどの情報、日本の現状について、話してもらいました。(一部登壇者のトーク部分切り取り。登壇者全員の許可を得て掲載)

 

 

松ノ内和代(clubhouseの表示名:Kazuyo *以下同)さんは、「膣ケアは自分との対話」と話してくれました。7年前からヒンズー哲学に基づく「タントラヒーリング」を学び、膣マッサージの施術も行っている和代さんは、膣ケアはただのエクササイズではなく、「自分と繋がり、どれだけ愛を感じられるか、自分の性器をどれだけ神聖なものと思えるかということ」だと思っている、と話してくれました。

 

直子フィッツジェラルド(Naoko)さんは、ご自身が開く「ママサロン」で話題になっている、膣ケアグッズのN Y事情を話してくれました。当地では、こうしたグッズは大手ドラッグストアチェーンでも売られているほどポピュラーで、たとえば女性のお友達との間で誕生日に「ヨニエッグ」(膣トレ用の卵形グッズ)や、ユーモアのあるSMチックなコスプレ衣装などのアダルトトーイをもらったりあげたりすることが多くなっているそうです。

 

リップスティックにしか見えませんが、こちらも振動機能のついたトーイです。プレゼントに確かにいいかも!©︎Hustler Hollywood

 

 

メタリックなネックレスは電動ではありませんが、使い方によってはセクシーなトーイに。ネックレスにしててもアピールするかも! いずれもハスラー・ハリウッドというチェーン店で販売されています ©︎Hustler Hollywood

 

近田知里(Chisato)さんは元々投資銀行とヘッジファンド業界に約20年いて、その後は文化芸術イベントのアドバイザーとプロデューサー、日米企業間のコンサルタントをされている方。世界中でウエルネステクノロジーのスタートアップがたくさん出現し、コンファレンスも活発に行われていることにビジネスチャンスを感じて、自らもウエルネスのプラットフォームを日本で立ち上げようとしているそうです。

 

普段からお互いのバックグラウンドは知っているものの、詳しく話を聞くと、それぞれの「膣ケア」「セクシュアリティ」との関わりがわかり、興味深いです。

 

ルームのみなさんも手を挙げてトークに参加!

ルームの「リスナー」の中から「スピーカー」として手を挙げて、トークに参加してくださった方もたくさん。いろんな声を伺ったうちのお二方の声をご紹介しましょう。

 

「膣は心とからだのあらゆる喜怒哀楽とつながっているセンサー」というのは、美ホルモン・セクシャルセラピストの三田靖子(三田)さん。

確かに、自分のからだを知り、愛して労わること、精神的にも肉体的にも自分を解放して気持ちよくしてあげることは、パートナーの有無や年齢に関係なく、自分の人生の質を向上させる上で大事なことだと、私も思いました。

 

カリフォルニア在住で助産婦をされている吉村亜希子(akiko yoshimura)さんも、仕事や女性たちとの関わりから、デリケートゾーンの悩みをもつ女性が多いことに気づき、「フェムテックで女性自身が内側からの美と健康を叶える会社」を現在立ち上げ中とのことです。ただ、「日本では投資家の多くは男性で、この分野の意義を理解してもらえない。世界の中で日本は遅れている」とおっしゃっていました。

 

確かに今、世界ではフェムテック市場にとても勢いがあります。バンクーバーにある調査会社、エマージェン・リサーチは、2019年現在で187億5千万ドルのこの市場は、2027年までに600億1千万ドル規模になると予測し、年間平均成長率は15・6%という試算も示しています。これだけ大きな市場になるのですから、是非日本の投資家の方々にも関心をもっていただきたいものです。

 

ウェブではもう普通!カジュアルで楽しい、セクシュアリティの情報共有

女性のセクシュアルな問題の解決が大きな市場になるということは、同時に「秘め事」という観念が薄らいでいく可能性もあるでしょうね。直子さんが教えてくれたのは、アメリカで人気の、Madge the vag(マッジ・ザ・ヴァグ )という動画シリーズ。ミレニアルズ世代の母親向け情報サイト「Scary Mommy(スケアリー・マミー:怖いママ)」内の「オリジナル番組」のひとつですが、PVが断然多いのです。ここでは、女性が直面していながらも口に出すことを憚ってきた性の問題を、ユーモラスに、かつ専門家の助言も交えながらていねいに、発信しています。

服装はレトロな50年代調、とりあげるトピックは「マスターベーションについて語られていることのすべて」「5つの膣のミステリー」などなど。思わずくすっと笑える、楽しいエンターテイメントになっているところがいいなと思いました。

 

メガネの彼女がMadge。楽しいトークと洒落た動画、  YouTubeやFaceBook、Instagram、TikTokと、オールラウンドに発信中(英語のみ ©︎Scarymommy

 

このサイトを教えてくださった直子さんは、「育児もするけど女性でもある」ということは自然なことで、性に興味をもったり実行したりすることはライフスタイルの重要な一環になっている、と話していました。女性たちが明るく楽しくオープンに情報交換する場が広がれば、それは男性のハッピーにも繋がっていくに違いありません。

 

こうして、ニューヨーク時間では夜、日本では平日の午前中に、約2時間ほど、海を超えて「女性のセクシュアリティ」の話でまじめに活発に盛り上がりました。そんなことができるなんて、面白い時代になったものですね!

 

私自身が得た気づきは、自分自身、膣とその周辺の「機能を回復させたい」という目的ばかりに頭がいってしまいがちだったな、ということ。皆さんとお話しているうちに、膣ケアには自分のからだと心を理解し、癒す側面もあることに気づきました。「スキンケアするより、膣ケアする方がきれいになる」といわれていることも、私が膣マッサージをしてきた一因ですが、もしかすると「きれいになる」のは、メンタルな効用のおかげもあるかもしれませんね。

 

人生後半戦に入りつつある私たち世代、セクシュアリティの話題となると、「今さら」「年甲斐もなく」という言葉が出がちかも、と思います。でも、女性たちがそうした「刷り込み」を少しずつ外していって、悩みや思い、情報を自由に共有していくことの素敵さに今回のトークで目覚めた気がします! ぜひ、またトークを楽しみたいと思っています。

 

*註 Clubhouse : 18歳以上を対象とする、アメリカ発で無料の会員制音声SNS。入会は会員からの紹介制、参加名は実名で、会話の場となる「ルーム」(「クラブ」とも言う)で交わされた内容については事前告知のない場合は外では話したり書いたりしない、などのルール(原稿執筆時)がある。現在、同アプリが利用できるのは iPhone のみと限られており、他社機版アプリは開発中と言われている。

 

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