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オーガニック食材で身体をいたわる。東銀座「リタ オーガニック」

大滝美恵子

大滝美恵子

フードライター&エディター、ラジオコメンテーター。横浜生まれ。「Hanako」からスタートし、店取材を続けること20年。料理の基礎知識を身に付けたいと一念発起、27歳で渡仏。4年の滞在の間にパリ商工会議所運営のプロフェッショナル養成学校「フェランディ校」で料理を学び(…かなりの劣等生だったものの)、フランス国家調理師試験に合格。レストランはもちろん、ラーメンや丼メシ、スイーツの取材にも意欲を燃やし、身を削って(肥やして!?)食べ続ける毎日。

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身体を壊した経験からオーガニックの道へ

 

最近、以前にも増して、「野菜料理の店を知りたい」という声を聞くようになった気がします。たまたまビーガンの知り合いができたこともあり、彼女に聞くと「対応してくれる店は格段に増えている」とのことですが、まだまだ「対応してくれる」という「特別」な位置付けであることは間違いない様子。

 

サラダ専門店やカフェなどカジュアルな店の選択肢は確実に増えていますが、接待や会食など改まった席に適した野菜料理の得意な店はまだ多くないので、普段からチェックしておきたいものです。

 

 

昨年、東銀座にオープンした「リタ オーガニック」。昭和通り沿いのビルの12階にあり、夜の眺めは「裏銀座(いわゆる銀座の夜景を裏から見たような、という意味)」とでも呼びたい都会の美しさに、ちょっぴり感動します。店内には3卓のテーブルがゆったり配置され、静かな和める雰囲気がいいのです。

 

オーガニック食材をテーマにしたこの店の店主は、オーガニック料理ソムリエの資格も持つ、ブラジル生まれの丹野ラファエル明弘さん。以前は深夜に営業するバーに勤務していたのですが、店の成功とは裏腹に、不規則な生活がたたって身体を壊してしまったのだそうです。

 

今までの生活をリセットし、留学したアメリカで出会ったのが、オーガニック食材やそれを取り巻く考え方。

 

「食事に多様性があること、そしてそれを当たり前のように提供し、当たり前のように食している文化に驚きました」。

 

 

 

帰国後、開店の準備をするにあたり、オーガニック料理の勉強をしながら、数多くの農家を訪問したそうです。現在使っているのも自分の目で納得した無農薬、無科学肥料の有機野菜をメインに、安全な飼料や自然な繁殖方法などを用いて飼育された肉類、天然の魚介類など。オーガニックを謳う食材を使うということは、不揃いの大きさ、味や食感の違いなど、ひとつひとつの個体差を受け入れなければなりません。それゆえ、その違いを生かす調理方法や味付けを施すので、メニューはその日ごとに変わります。

 

ランチコースは¥4,000、¥5,500の2種類、ディナーコース¥9,000(ベジタリアン、ビーガン、グルテンフリーのコースを希望の場合は3日前までに要相談)。

 

 

店名の「リタ(利他)」とは「誰かの幸せのために何かをするという仏教用語から付けました」とのこと。「生産者、輸送業者、小売業者さんなど、その食材にまつわる様々な思いやストーリーを、テーブルで伝えるのが僕の使命だと思っています」との言葉とおり、ぜひ、丹野さんのお話も楽しみながらひとときを過ごしていただけたらと思います。

 

その際には、お店の名前のもうひとつの由来を聞くことも、どうぞ忘れずに!

 

 

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