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寒いからこそおいしい、コラーゲンたっぷり鱈まるごとの庄内グルメと温泉満喫!

小野アムスデン道子

小野アムスデン道子

世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、旅の楽しみ方を中心としたフリーランス・ライターへ。

旅と食や文化、アートなどライフスタイルについての執筆や編集、翻訳多数。

日本旅行作家協会会員。

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こんにちは小野アムスデン道子です。都内まで積雪の今冬、雪国山形県の北西部、日本海沿いの庄内地域では、冬ならではの食と文化を楽しむ「食の都庄内 冬の三寒四温観光キャンペーン」が3月末まで開催されています。毎週、イベントが開かれ、「寒だら、寒ふぐ、寒ずわいの庄内三寒と 温泉、新酒、まつり、ひなの庄内四温」を楽しもうというわけです。コラーゲンたっぷりの冬の鱈(たら)と温泉が満喫できる庄内地方、山形への旅をレポートします。

 

 

 

まず向かったのは、JR東日本羽越(うえつ)本線の鶴岡駅。新潟駅から週末を中心に運行している「きらきらうえつ」は、乗って楽しい列車です。4両編成のうち、2号車はラウンジカーとなっており、「茶屋(売店)」、「ラウンジスペース」にプロジェクションマッピングまである情報コーナーが入っています。その他にも日本海の眺望が楽しめる簡易展望スペースや、ぬり絵コーナーまで。乗務員の方が企画したという鮭の焼き漬けや鯛めし、一夜干しイカなど沿線グルメぎっしりのきらきら弁当を買って、ラウンジの席で海を眺めながらいただくのは最高です。(2号車のラウンジは、茶屋で飲食品を買うと40分まで使えます)

 

 

鶴岡市は、日本初で唯一認定されている「ユネスコ食文化創造都市」です。これは、だだちゃ豆など50種類以上もの在来作物の継承、自然に恵まれた四季の郷土料理、歴史ある祭りの中での行事食などが評価されてのこと。海に山に食材の宝庫で、訪れた週は、ちょうど冬ならではの寒鱈を楽しむ「日本海寒鱈まつり」が開催されていました。

12〜1月にいちばん脂がのっておいしい寒鱈をまるごと使った寒鱈汁(こちらでは“どんがら汁”と呼びます)は、冬の風物詩。真鱈の身、どんがら(アラ)、あぶらわた(肝)、皮やぶつ切りにした骨、白子などすべてを入れて、ネギや根菜と共に味噌仕立てで煮込んだ熱々の汁は、五臓六腑に染み渡るおいしさ。驚くのはまったく臭みがないこと。港がすぐという庄内、前日に水揚げした鱈を使っているそう。目の周りや皮などもそのまま入っていて、ぷりぷりのコラーゲンたっぷり。鱈の概念が変わる味でした。

 

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庄内藩は、江戸幕府の譜代大名酒井氏が治め、お隣の酒田の大地主にして豪商である本間家にも支えられて栄えたところ。鶴岡にある「致道館(ちどうかん)」は、文化2年(1805年)に酒井家九代目・忠徳公が創設した藩校ですが、今でも学校教育の場として使われています。人間教育に力をいれる伝統は脈々と続いているようで、「親子で楽しむ庄内論語」という冊子が市内すべての小・中学校に配布されているそうです。

 

 

宿は、開湯1300 年という湯田川温泉へ。鶴岡駅からバスやタクシーで20〜30分。鳥海山、月山に囲まれて10 軒の宿が集まる落着いた温泉場です。そこで、「寒鱈膳」(2018年2月20日まで)を出している料理自慢の「九兵衛旅館(くへえ旅館)」が、今夜の宿です。

庄内では、北前船によってもたらされた京文化に端を発する雛飾りが盛んですが、九兵衛旅館の館内にもかわいい吊るし飾りがかけられています。温泉は、かけ流しで42℃ほどのちょっと熱めの湯が、雪に囲まれた宿ではちょうどよく、身も心もあったまる心地よさです。並びにある別館「珠玉や(たまや)」には、展望風呂や貸し切り風呂があって、「九兵衛旅館」のお風呂と双方で湯めぐりもできます。

 

 

さて、楽しみにしていた夕食は、鱈づくし。前菜から、新鮮でないと食べられない“胃袋と白子のポン酢”、ほんのり柚子が香る“肝とあさつきの酢味噌和え”、唐揚げになっているのはエラとまさに珍味。そして、温泉で炊いた特別栽培庄内ササニシキの鱈昆布〆の握り寿し。鱈の南蛮だれに鱈白子の朴葉焼き、そして再び寒鱈のどんがら汁。鱈すべてを使った味わい深い味噌汁に大根や人参など根菜も入って、ほっこりします。上品な味つけは、北前船の頃からの京文化の流れかもしれません。

直木賞作家の藤沢周平は、かつて湯田川中学校教師であり、九兵衛旅館の女将は教え子だったそう。藤沢周平が好んだ日本酒、辛口の“鯉川”をいただきました。水のきれいな庄内で地元の杜氏さんが造ったお酒は、すっきりとした味で料理が引き立ちました。

 

 

銀世界の美しい湯田川温泉。九兵衛旅館の朝ごはんでは、桶で冷やして出されるフレッシュな小松菜ジュースが雪の中の若芽のよう。朝からいかのお刺身、鱈の子煎りといった海の幸に長芋など山の幸、そして温泉粥がこれまた優しい味でした。

九兵衛旅館 http://www.kuheryokan.com

 

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鶴岡駅前には、ユネスコ食文化創造都市らしい食をテーマにした「つるおか食文化市場FOODEVER(フーデェヴァー)」があって、マルシェやフードコート、日本酒バーカウンターなどが集まっています。イタリアンで有名な奥田政行シェフのレストラン「ファリナーモ」や観光インフォメーションセンターもあって、日本遺産である出羽三山の展示などなかなか楽しめます。

 

 

鶴岡から北前船交易の港町、酒田へ移動しました。庄内グルメ食べ尽くしで、ぜひ味わいたいのが酒田のラーメンとフレンチ。まずは、酒田のラーメンの名店「花鳥風月 酒田本店」へ。2017 年にニューヨークで開催された「JAPAN Fes」に参加して地元テレビにも登場した話題のお店です。

 

上品な味わいの鯛干しをベースに丸鶏やもみじ(鶏足)も使ったスープに、自家製手もみ熟成麺、そして皮が薄くてつるっとしながらふわとろの、海老が丸ごと入った海老ワンタンが自慢。炙りチャーシューに角煮や煮玉子も入った花鳥風月ラーメンは880円。酒田はラーメンの自家製麺率が日本一で実に8割とか。腰の強い多加水熟成麺です。ワンタンも自家製の店が多くて、とにかく皮が薄いのが特徴です。スープ、麺、ワンタンの三味一体のおいしさに完食。

花鳥風月 http://kachou.jp

 

 

朝ごはんも食べ、ラーメンも食べと食い倒れですが、それぞれが素材を活かした味わいで胸にもたれることがありません。ちょっと遅めのお昼は、あの食通で有名な文豪開高健をうならせたという老舗のフレンチ「ル・ポットフー」へ。

「ル・ポットフー」は、映画評論家の淀川長治や荻昌弘が絶賛したというユニークな映画館「グリーンハウス」の館主だった佐藤久一が、映画館を退職してから支配人を務めていたレストラン。酒田市の酒造メーカー「東北銘醸」の2代目として生まれた佐藤久一は、贅沢という言葉の本質を知っていたようです。

 

酒田駅前のビジネスホテルの中に入っているのですが、エレベーターを降りるとそこは急に開店当時の1974年に時間が戻ったかのようなクラシックな雰囲気。ランチは、週替わりで魚か肉料理にサラダ、スープ、パン、コーヒーが付いて1620円。この日のお魚はやっぱり鱈。皮は香ばしく、上品な味わいの白身にバターソースが合います。添えられたトマトや芽キャベツの甘さ、マッシュルームの旨みがさらに味わいを深めてくれます。正統派でレベルの高いフレンチでした。

ル・ポットフー http://www.potaufeu.jp

 

北前船の交易で潤っていた酒田は、昔から贅沢なものを知り、進取な気質の人が多いのだとか。フレンチもいち早く人気だったのでしょう。「ル・ポットフー」以外にも洒落たフレンチレストランがあちこちあるそうです。

 

 

北前船で運ぶ米を納めた山居倉庫は今も米穀倉庫として使われていますが、一部は酒田市観光物産館となっていて、酒田のかつての栄華を物語っています。

山居倉庫(酒田市公式ウェブサイト) http://www.city.sakata.lg.jp/bunka/bunkazai/bunkazaishisetsu/sankyosouko.html

 

食の都をアピールする庄内地方の2大都市、鶴岡市、酒田市。ともに、その豊かさと食のレベルの高さに驚かされた旅でした。

 

 

取材協力/日本海きらきら羽越観光圏推進協議会 http://kirakirauetsutabi.net

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