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新連載!第1回 (後編) 乳がんはマンモグラフィで見つからないの? 自分で乳房のタイプを知り、検診方法について考えよう

増田美加さん

増田美加さん

1962年生まれ。女性医療ジャーナリスト。30年にわたり2,000名以上の医師を取材。自身が乳がんに罹患してからは、がん啓発活動を積極的に行う。著書に『医者に手抜きされて死なないための患者力(』講談社)ほか多数。NPO法人 日本医学ジャーナリスト協会会員

医療ジャーナリスト 増田美加さんの更年期女性の医療知識アップデート講座

この連載では、MyAge/OurAge世代の女性が知っておきたい最新の医療知識をご紹介していきます。教えてくださるのは、医療ジャーナリスト の増田美加さんです。

 

第1回 乳がんはマンモグラフィで見つからないの?(後編)

 

日本人女性に多い乳房は、“高濃度乳房”。しかしこれは、マンモグラフィでは乳がんが見つけにくいタイプです。高濃度乳房で乳がんの検診結果が“判別困難”であっても、国の検診指針では、本人に「要精密検査」か「異常なし」しか伝えません。そのためある日、突然、進行した乳がんが見つかることも…。現在、国は専門家の検討会などで、乳がん検診制度の見直しについて議論していますが、まだまだ時間がかかります。その間、検診を受ける人はどうすればいいのでしょうか。

 

 

自分の体を守るには自分で検診を選ばなければならない !?

 

国による制度の見直しが進まない中、実際に今、私たちは自分が高濃度乳房かどうかを知るにはどうすればいいでしょうか。

 

現状では乳がん検診後、「私は高濃度乳房ですか?」と自分から聞いてください。マンモ画像から、医師は高濃度乳房かどうかをチェックすることになっています。結果通知が郵送された後、この結果を問い合わせることもできますし、医療機関で検診を受け結果を聞く機会があれば、その場で質問してください。そして、もし高濃度乳房だったら、自己負担になりますがマンモに超音波検査を加えるという選択ができます。マンモと超音波を併用することで、マンモ単独の約 1.5 倍乳がんが見つかるというデータもあります。

 

ただ、超音波にもデメリットがあります。 超音波はマンモに比べて、治療の必要がない良性の変化を拾いすぎるため、乳がん検診後の精密検査が増えてしまう可能性が。超音波を組み合わせる場合は、これらのことを理解して行いましょう。また、どんな検診も完全ではなく、見落としは起こります。ですから日頃のセルフチェックも大事。検診で異常なしでも、セルフチェックで普段と異なることがあったら、乳腺外科の受診を。

 

今の日本では、自分で乳房のタイプを知り、そのうえで自分に合う検診の方法を考える必要があるのです。米国ではすでに、多くの州で高濃度乳房の告知が罰金刑を伴う法律で義務づけられています。今、日本女性の11人に1人が乳がんにかかり、女性のがん罹患率トップ。特に45歳から50代の女性の乳がんが最も多い中、私たちは正しい情報を得て、自分の体は自分で守らなければならないのです。

『The Japan Times』でも、国や専門家はなぜ女性に自身の個人情報である乳腺濃度を知らせないのか…と疑問を投げかけています

 

 

次のページに続きます。

米国ではすでに法整備が進んでいるのに、日本では…

 

2012年、高濃度乳房の理解を広げるため、乳がん画像診断医の戸崎光宏医師を中心に有志の医師たちと「NPO法人乳がん画像診断ネットワーク」を立ち上げました。何人かの医師からは「高濃度乳房は昔からわかっていること。何を今さら」と揶揄する声も受けました。そんななか、高濃度乳房に対して先駆的に活動する米国の乳がん経験者、ナンシー・カペロさんと連携。ナンシーさんも高濃度乳房で、検診を毎年受けていたにもかかわらず進行がんで見つかった一人。「発見が遅れたことを悔やみながら逝った仲間がたくさんいます」と打ち明けられ、日本でも声を上げなければと痛感しました。

高濃度乳房に対して活動するナンシーさんのサイト「Are You Dense?」。米国では31州で医師に罰則のある「告知義務」が法制化

 

 

がんは早期で見つかるのと、進行して見つかるのとでは、治療の大変さや経済的負担がまったく違います。国や医療者には、受診者目線の制度を早急に求めたい。どんな状況でもがん告知はつらいです。でも、もし制度の不備で発見が遅れたら、後悔や医療不信が増します。高濃度乳房はがん検診の問題のごく一部、ほかにも問題山積。でも、ひとつひとつ解決していかなければ。要望書を出した全国の乳がん経験者有志が共有するのは、「乳がんで悲しむ人を減らしたい」という願いです。

 

 

イラスト/堀川理万子

 

 

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