歯周病、実は全身病ってホント?


前回、歯周病はギネスにも登録されているくらい、世界で最も感染者数が多いということを知りました、実は歯周病は、全身に影響を及ぼす怖い病気。認知症の一因になることも。今回は、知られざる歯周病の恐ろしさについて、専門医にお話を聞きました。

 

お話を伺ったのは…

 

Kenji Wakabayashi

若林健史さん

歯科医師、若林歯科医院院長。日本大学松戸歯学部卒業。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや市民向けの講座も多数開いている

 

 

実は全身病って
ホント?

歯周病は、歯のトラブルだけではなく、全身のあらゆる部分に悪い影響を及ぼすことがわかってきています。

 

「高齢者の死亡原因上位の誤嚥(ごえん)性肺炎は、歯周病菌が肺に入ることで発生します。ほかにも、糖尿病とは相互関係があり、歯周病の人は糖尿病になりやすく、糖尿病の人は歯周病になりやすいといわれています。また、肥満、メタボリックシンドロームにも関係しています」と若林先生。

 

また、女性は骨粗しょう症、関節リウマチなどにも関係。さらに、歯周病を持つ妊婦は、歯周病を持たない妊婦に比べて、早期低体重児出産のリスクは2・83倍に! 早産では2・27倍、低体重児出産リスクでは4・03倍と、非常に高い数字が報告されています。

 

ほかに、アルツハイマー病を悪化させることもわかってきていて、がんなどのリスクも懸念されています。まさに、あらゆるところに関連する全身病なのです。口の中だけの問題ではない、という意識を持つべきです。

 

 

歯周病が及ぼす全身の症状

 

●動脈硬化・高血圧
歯周病菌によって炎症が起こり、炎症性物質が動脈などの血管壁を痛めてしまう

 

●認知症・脳梗塞
歯周病菌の毒素が、認知症の原因とされる脳のごみ(アミロイドβ)を増殖

 

●心筋梗塞・狭心症・心筋炎など
歯周病菌が血管に入り、血流にのって、冠状動脈でプラークを形成することも

 

●骨粗しょう症
骨粗しょう症と歯周病は関連し合い、骨粗しょう症があると歯周病を悪化させてしまう

 

●慢性腎炎・腎盂(じんう) 炎

腎臓と歯周病も相互関係があり、互いの症状を悪化させてしまう

 

●妊娠中の胎児の低体重・早産

歯周病による炎症反応が血流を介して全身に起こることで、胎児にも影響が出る

 

●皮膚炎
アトピー性皮膚炎、慢性じんましん、乾癬(かんせん)など皮膚疾患とも関係

 

●肥満
歯周病菌が出す毒素のリポ多糖が、肝臓の脂肪蓄積に関与しているとわかった

 

●肺炎
免疫力が低下している人や高齢者は、誤嚥することで歯周病菌が肺で増殖する

 

●がん
消化器系の食道がん、胃がんなどにも関係しているといわれている

 

●関節リウマチ・関節症

歯周病菌のポルフィロモナス菌が、リウマチの発症に関与しているといわれる

 

次回は、歯周病の治療方法についてお話を伺っていきます。

 

 

イラスト/内藤しなこ 取材・原文/伊藤まなび

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