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遠くが見える「過矯正」が目の老化を早める!?

梶田雅義

梶田雅義

梶田眼科院長。医学博士。日本眼科学会専門医。遠近両用レンズを使った目の調節機能(ピント合わせ)の補助を軸とした治療を行う。老眼研究のエキスパート。
www.kajitaganka.jp

40代、50代になると、目の"見え方"に関する悩みがぐんと増えます。年々見えづらくなったり、今までのメガネやコンタクトが合わなくなったと感じたり。なるべくストレスなく快適に"見える目"でいるためには、どうすればいい? 老眼研究とメガネ処方のエキスパート、眼科医の梶田雅義先生に教えていただきました。

 

目は脳の出張所。
人は脳で物を見ています

そもそも、私たちの目はどんな仕組みで見えているのでしょうか?

「目はいわば受像機のようなもの。キャッチした情報を脳に送り、脳というコンピュータが画像処理をしたものを私たちは見ています。だから、目は脳の出張所のようなものなのです」と梶田雅義先生。

 

目に入った光は、まずは水晶体でピント合わせられ、硝子体を通過して、いちばん奥の網膜で像を結びます。

「網膜はスクリーンの役目をしていますが、網膜が画像を作っているわけではありません。網膜には膨大な数の視細胞があり、それらが赤や緑などの色彩をはじめとした情報を電気信号に変え、視神経を経て脳に伝達しているのです」

 

梶田先生によれば、脳は自分の経験に照らし合わせて物を見るため、思い込みで見ていると、見間違いのエラーを起こすこともあるのだそう。

「目と脳は連動しているので、目を使うことが認知力の低下を予防することにもつながります。そのためにも近くの物がはっきりと見える目を維持することが大事。まずは目の疲れを蓄積させないことですね」

 

[眼球の断面図]

目の健康寿命 眼球断面図

目はカメラと似た構造をしています。虹彩はカメラの絞り、水晶体はレンズ、網膜の中心にある黄斑部はフィルム、視神経がケーブル、そして脳がテレビカメラの受像機の役割を果たしています。私たちは、脳内で映像処理された像を見ているのです。

 

多くの人は「遠くが見えるのがよい目」と考えていますが、実はそうではありません。遠くがよく見えるメガネは“過矯正”になりがち。

目は近くや遠くを見るとき、自律神経が働いてピント合わせをします(下図参照)。ただし、交感神経、副交感神経、どちらかに偏った状態が続くと、自律神経のバランスがくずれたままになり、体の不調や病気につながることがあるのです。

パソコンやスマホなど、近い距離に長時間ピントを合わせ続けると、副交感神経が優位になりすぎて、自律神経を乱してしまうので要注意。

 

「遠視の人ほど、スマホの画面を見続けると負荷がかかります。遠くは見えても、近くが見えにくいことが災いしてしまうのです」

 

一般的に「副交感神経が優位になるのはリラックスによい」とされますが、遠視の人の場合、副交感神経が優位になりすぎて、頭痛などの不調に悩まされることがあるのです。

 

「『メガネを遠近両用に替えたら不調が改善した』という人も多いです。遠近両用のレンズは、遠くと近くの中間地点“調節安静位”の幅を広く持たせてくれるため、ピント合わせが楽になり、目が疲れにくくなりますよ。40代になったら、遠くも近くも快適に見える遠近両用のメガネやコンタクトレンズを眼科で処方してもらいましょう」(梶田先生)

 

[自律神経が目のピント合わせの役割を担っている!]

目の健康寿命 自律神経

どこを見るともなく、ボーッと見ているときにピントが合う地点を「調節安静位」といいます。目のピント合わせは、この調節安静位を中心ポイントとして、近くにピントを合わせるときには副交感神経が優位になり、遠くにピントを合わせるときには交感神経が優位に働く仕組みがあります。

 

 

次回は「遠視の人こそ遠近両用メガネをかけるべき⁈」をご紹介します。

 

 

イラスト/かくたりかこ 取材・原文/大石久恵

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