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酪酸菌、FODMAP、スマートトイレって知ってる?/話題の「大腸」最新キーワード(後編)

前回に続き、ぜひ覚えておきたい、

あなたの健康に役立つ「大腸」最新キーワード(後編)です!

 

 

04 酪酸菌

腸の機能を支える「酪酸」の力

100歳以上の人口が全国平均に比べ2.8%も高いことで話題になっている、京都府京丹後市。そこに住む高齢者の腸内環境を調べると、代謝物質として酪酸を産生する腸内細菌がとても豊富でした。この酪酸産生菌が作り出す「酪酸」が、医学界でも注目されています。

 

酪酸は短鎖脂肪酸のひとつで、がん細胞の増殖抑制や、便通をよくするぜん動運動の促進、大腸の上皮細胞のエネルギー源になるほか、食べすぎの抑制やアレルギーの予防や改善、血糖値上昇の抑制などさまざまな働きをすることがわかっています。酪酸を増やすには、ごぼうや玄米などの不溶性食物繊維と、海藻や果物などの水溶性食物繊維を両方とることが必要で、京丹後市の高齢者は玄米などの雑穀を日常的にとっている人が多かったそう。

 

酪酸の働きはとても多様。アレルギー、インフルエンザ、肥満、うつ病など、さまざまな症状を抑制する作用があるといわれています。

 

 

05 FODMAPとMAC

過敏性腸症候群の人が避けるべき食品とは?

検査をしても異常が見つからないのに、下痢や腹痛、便秘、腹部の張りなどに悩まされる過敏性腸症候群(IBS) 。その有病率は人口の14.2%にも上るそう。原因としてストレスが関係しているといわれていますが、現在、決定的な治療法はありません。そこでIBS症状を緩和させるために考えられたのが「FODMAP(フォドマップ)」制限食事法です。フォドマップとは小腸内で消化吸収されにくい発酵性の糖類(オリゴ糖、乳糖などの二糖類、果糖などの単糖類、糖アルコール)の総称。

 

「FODMAPを含む食品は大腸にすんでいる腸内フローラのエサになりやすく、代謝活動に使われることにより、短鎖脂肪酸とともにガスが発生します。これがIBSの症状を一時的に引き起こすと考えられます」(福田真嗣さん)

 

IBS症状緩和のためにFODMAPの摂取を制限する治療が行わ る場合がありますが、一般的にこれらの成分は腸内環境にいい働きをするものが多いので、制限を長期間行うと逆に腸内環境の悪化につながる可能性もあり、医師の指導のもとで行うのが鉄則。

 

一方、腸内環境のために注目したいのが、「MAC」(Microbiotaaccessible carbohydrates)。腸内フローラのエサとなる種類の難消化性炭水化物のことで、大麦やオート麦、昆布やわかめ、果物、前述のイヌリン、穀物や大豆などの豆類に含まれるような食物繊維がこれにあたります。FODMAP食品も含まれるため、IBS症状のある人には慎重な判断が必要ですが、疾患のない人は、高MAC食品をとることで腸内環境の改善効果が期待できます。

 

 

06 スマートトイレ

便をチェックして健康体をつくる、未来のトイレ

腸内環境の最新研究を進める福田真嗣さんが、現在構想しているのが「スマートトイレ」です。

【腸内フローラ最新知見】のページでも触れましたが、便には無数の腸内細菌が含まれていて、その種類やバランスは人により異なります。腸内環境と健康との関係、疾患リスクなどが明らかになってきた中で、今後、より簡単に健康状態をチェックするツールとして便が使われるようになると考えています」。

 

でも、採便をするのはやはり面倒。そこで福田さんは、排便後、自動的に便を採取して腸内環境を調べることができるトイレを構想中だというのです。「簡単に便を採取できて評価できる仕組みが作れれば、腸内環境の変化を日々チェックすることができ、その結果次第で食生活をどう改善すべきかなどをフィードバックすることも可能になると考えています。これまでの健康診断に、自宅のトイレで新たに腸内環境を調べる項目が追加されるかもしれません」

©2020 Metabologenomics,Inc.

 

便を自動で採取し、そのまま腸内環境の評価 をするというのが、福田さんが考える未来のトイレ。実現は決して夢ではないといいます。

 

 

 

福田真嗣さん

福田真嗣さん

慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授。明治大学大学院農学研究科博士課程修了。

便から生み出す健康社会を目指すバイオベンチャー企業、メタジェン代表取締役社長CEO。専門は腸内環境制御学、統合オミクス科学。著書に『もっとよくわかる! 腸内細菌叢 健康と疾患を司る 〝もう1つの臓器〞』(羊土社)。テレビ出演も多数

 

 

インフォグラフィック/ZOE 取材・原文/伊藤 学

 

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