病人のイチバンの特権

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 1968年生まれ。日本語教師を経て、ノンフィクション作家に。2012年『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(集英社)で第10回集英社・開高健ノンフィクション賞を受賞。他に『駆け込み寺の男 ―玄秀盛―』(ハヤカワ文庫)、『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』(早川書房)など

PHOTO©Hayakawa Publishing Corporation

卵巣を取る、取らないで悩んでいると、友人から「ホメオパシー」を勧められたので、さっそく調べてみた。

 

 

ネットの情報によると、ヨーロッパ発祥の民間療法のひとつであるホメオパシーは、「病気や症状を起こしうる何か(成分、薬)」を使って、その病気や症状を治すことができる」という考え方に基づくものだそうで、具体的には極度に希釈した、その成分を投与することによって、病気の治癒をめざすものだそうだ。

佐々さん_photo

 

その治療法のひとつである「レメディ」という丸薬(のようなもの)を、バングラディシュ旅行中に下痢をしたときに、日本人の女性にもらったことがあるのを思い出した。ちょうど米のような大きさと色をした半透明な粒で、なにが起きるか期待を込めて飲んでみたが、結論から言うと効かなかった。もっとも、そのときは正露丸も効かなかったので、一度きりでは何とも言えない。

 

 

わたしが皮肉るまでもなく、報道でも、ホメオパシーはプラセボ(偽薬)効果以上の効力は認められず、それどころか、有効な治療法を受ける機会を奪われるとして、批判の対象となっている。実際にも、子どもにきちんとした治療を受けさせないことによる具体的な被害が報告されているし、たちの悪い業者にひっかかると、治らない上に高額な治療費を請求されることもあるそうで、そうなると常軌を逸しているとしか言いようがない。

 

 

しかし、それでも、ホメオパシーを勧める友人は、わたしの周りにもいる。日々言説に裏付けを求められる同業者にさえ、ホメオパシー支持者は存在しているのだから不思議である。今までなら調べもしないで真っ先に選択肢から除外するところだが、今回、わたしはちょっと大人になった。

 

 

この「プラセボ効果にすぎない」とされる「気のせい」の効果が、人間には大事なときがあるのかもしれない。ジョー・マーチャント著、『病は気からを科学する』では、プラセボを投与しただけで、高山病における頭痛を軽減する効果があることが紹介されている。

 

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