アロマショップに入れない!

そもそもセルフイメージというもの自体があやしくて、ものすごく古い時代から更新されていない。からだもこころも変わっていっているのに、いつまでも20代の頃や、30代の頃の自分の持っていた自己イメージを捨てきれていない。

 

 

からだは貧血でふらふらで、駅から家まで歩くのもしんどいのに、マインドはいまだに体育会系で、頭では(いつの時代なのか)「ビリー・ザ・ブートキャンプ」のビリー隊長が、「オウ!ダメダメ、スクワット50回!休むな!働け!」と叫んでいる。なんで、そんなイメージを、いつまでも心に置いているんだか。

 

佐々さん_photo

 

 

……とは言っても、アロマショップでの場違い感はぬぐえない。いろんな葛藤に打ち勝ち、やっと入ってみたものの、おじさんが化粧品売り場に迷い込んだみたいに、ドキドキしてしまった。

 

 

ボトルがいっぱい置いてあって、どうチョイスしたらいいかが、ぜんぜんわからない。しかし幸運なことに、売り場の人がとても親切な人で、懇切丁寧に使い方を解説しながら、いくつもの香りを嗅がせてくれた。

 

 

これが、面白いのだ。香りというのは不思議なもので、「とても人気があるんですよ」と紹介された香りでも、まったく自分にはピンとこないものもある。

 

 

また、集中力を養いたいと思って香りを手に取ると、「これじゃない」感がして、そもそもからだは集中よりもリラックスを求めているのだという率直な本音があらわになったりもする。

 

 

こころ、というより、もっと深い本能的なものと結びついた何かが、「これは違う」「これは必要」と、よりわける。お店の人が言うには、「友達でも、相性がありますよね。それと同じようにその人にしかわからない相性というのがあるんですよ。体調が悪いならなおさら、そのときのからだに必要な香りがあるのかもしれませんね」。

 

 

 

いろんな香りでいろんな気持ちになった。

 

 

昔住んでいた家の、北側の庭を思い出させる香り、

洗いたてのタオルケットにくるまったような香り、

交響曲を聞いているときのようなゴージャスな香り、

夏休みが終わったときのさわやかで、ちょっと寂しい秋みたいな香り、

友達以上恋人未満だった人が恋人になって安定し始めたころの完璧な幸福感をイメージさせる香り、

月光浴をしているような神秘的かつおごそかな香り。

 

 

 

色や音より、もっと深いところにアクセスをする体験だった。喩えるなら、顔も忘れてしまったのに、とても懐かしい人から「やあ」と言われたような。あるいは、まるで前世の記憶を呼び覚ますような。

 

 

ものの本によると、視覚や聴覚よりも、嗅覚は人の記憶を呼び覚ましやすいものだそうで、感情と密接に関連している。マルセルプルーストの「失われた時を求めて」で、主人公が紅茶に浸したマドレーヌの香りによって、昔の記憶を取り戻すことから、嗅覚によって記憶が呼び覚まされることを「プルースト効果」と呼ぶそうだ。

 

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