「あなたのからだのことはあなたが決めていい」

思い切って、ジェントルマン医師に聞いてみた。
「子宮、取らずに残しておいてもいいですか?」
そう聞くと、
「うん、いいよ」
と言われた。あまりにあっけなくOKが出たので、
「えっ、いいの?」 と再び聞いてしまった。

 

 

「そりゃ、あなたの身体ですから、あなたが選んでいいですよ。でもね、卵巣を取ったあと、不正出血が続くこともあるし、その後どうなるかは予測がつきません。確かにあと数年我慢すればいいかもしれませんが、もしかしたら、子宮を取ったほうが、生活の質は上がるかもしれません。取った方がいいんじゃないかなあ」

 

 

そう、彼は言ったあと、ロマンスグレーの頭でやや上を見ると、
「でも、あなたのからだのことはあなたが決めていい」
と、言った。

 

 

かつてポールマッカートニーは、聖母マリアがLet it beという智慧の言葉をささやいたと歌った。私は、総合病院の婦人科の診察室で、真珠のような言葉を授けられた。

 

佐々さん_photo

 

「わたしのからだのことはわたしが決めていい」。その選択の重みをずっしりと感じながら、同時に晴れ晴れとした自由を感じた。もし、私がネイティブアメリカンだったら、感謝の踊りを踊り出していたかもしれない。その踊りの意味はこうだ。「私のからだを私に返してくれてありがとう」

 

 

みな、旅の途中だ。こうやって迷いながら、それでも分かれ道で歩く方向を決めて歩いている。そして、その道程を振り返ってみて「これがわたしの人生だ」と思うのだ。

 

 

 

自分の選択を大事にすると、世の中の人々のそれぞれの人生が、ほんのりと光って見える。思いもよらない病気になって、望まない時間を、待合室で過ごしている。でも、その中で精いっぱい、右に行くか、左に行くか、選択しながら生きている。

 

 

 

わたしはわたしの選択を大事にするように、他人の選択を大切にしようと心の中で誓った。そして、心の中でつぶやいた。

 

 

「おかえりなさい、わたしのからだ。わたしのからだのことは、私が決める」

 

 

心が嘘をつかずにいると、ちゃんとからだと心はつながる。
今回切除が決まった右の卵巣は、「あなたの好きなようにすればいい」と、ささやいた。

 

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