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ミツバチの不思議な力に魅かれて 2/ 人生の第4ステージはテーマをもって乗り切る―飯田典子さんのハニーな日々

草野いづみ

草野いづみ

帝京大学教育学部教授 臨床心理士

ライタ―として「女性の生と性の健康と権利」(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)に関するテーマの取材を多数経験。
40代で大学院に入り、教育・発達心理学、臨床心理学を学ぶ。教育学博士。
スクールカウンセラー等を経て現職。
著書に『みんなで考える家族・家庭支援論』(編著・同文書院)、『フランスにはなぜ恋愛スキャンダルがないのか』(共著・角川ソフィア文庫)など。

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お久しぶりです。個人的事情でいろいろあり、間があいてしまいました。私たちの年代は生死に関わるできごとが日常の中でさまざま起こりますね。あっというまに夏が終わり、季節が変わってしまいました。

 

 

 

さて、フォトジャーナリストで市民養蜂家の飯田典子さんの波瀾万丈ライフストーリーの続きです。これまでのことや更年期のことを話してくれました。

 

草野さん_DSC_0683_F

フォトジャーナリスト、養蜂家、そして……いくつもの顔をもつ、飯田典子さんです

 

 

フィリピンの女性と子どもたちを撮る

 

「私のこれまでの人生には3つのステージがあったと思うんですね」と飯田さん。
第1ステージは20代〜30代半ば。20代半ば編集プロダクションに勤めていた飯田さんは、一念発起して専門学校に入って写真を学び、プロの写真家を目指しました。そして当時、農村の「嫁不足」を背景に推進された国際結婚によって日本にやってきた、いわゆる「フィリピン花嫁」の女性たちをテーマに、フォトジャーナリストとしてスタートしました。

 

 

その後「フィリピン花嫁」の故郷であるフィリピンの村々を訪ねる取材を続ける一方、子どもの飢餓問題に取り組むキャンペーンの一環としての「フィリピン・ネグロス島の子どもたち」をテーマに現地で生活しながら撮り続けました。

 

 

じっくり腰を据えて、そこに暮らす人たちと信頼関係を築き、暮らしを丹念に追いながら撮るのが飯田さんの流儀。それらの作品は社会への問題提起となりました。

 

 

 

結婚でバルセロナへ

 

第2ステージは30代後半から40代初めまで。アメリカを一人旅していた飯田さんはヨセミテ国立公園で、あるスペイン人男性と出会います。東京とバルセロナとの電話とFAX での長距離恋愛の末、一回り年下の彼と結婚。バルセロナで新生活を始めます。

 

 

「そこで生涯暮らすつもりでしたから、スペイン語とカタルーニャ語を一生懸命勉強しました。バルセロナは創造的な環境で、いろんな刺激を受けました。でも、その後いろいろあって」4年で離婚。飯田さんは日本に帰ってきます。

 

 

ペ・ヨンジュン&韓流スターを撮る

 

日本に帰ってきたときすでに40代に入っていた飯田さんですが、「ほとんど1からの再出発」という第3ステージが始まりました。

 

 

「テレビもないワンルームに暮らしていて、たまたま実家に帰ったときに観た『冬のソナタ』に、なんだこれは?と」、俳優ペ・ヨンジュンに魅了され、「彼の写真を撮りたい」という動機から、韓流専門誌などに仕事を求めました。ペ・ヨンジュンをはじめ、次々と来日する韓流スターたちを撮影する日々。韓国語も勉強し、「もともと人を撮るのが好きなんですが、趣味と仕事が一致して楽しかったですね」という飯田さん。韓流ファンの私からみると羨ましい限りの毎日だったんですね。

 

 

 

いよいよ飯田さんの第4ステージ、50代は果たして……?

 

更年期の不調をきっかけに人生を見直す

 

50代に入った頃、飯田さんは体の変調に気づきます。
「まずですね。もともと近眼なのですが、老眼が進んで、すごく疲れやすくなり、パソコン用、運転用、韓国語学習用など用途に応じて4つのメガネが必要になりました。次に右耳が突発性低音難聴で聞こえにくくなり、治療がもう少し遅れたら治らなかったかもしれないと言われました。30代で子宮筋腫の手術を受けているのですが、卵巣は残していたので、卵巣ホルモンの減少によるホットフラッシュや手首の関節の痛みなどの更年期症状もしっかり出て。更年期と老化による機能の衰えの両方なんだろうなと思いました」

 

 

 

ちょうどその頃東日本大震災が起こり、飯田さんは若い頃から反核・反原発運動に関わっていただけに、原発事故などのショックによる心労が重なりました。続く不景気、そして韓流ブームも下り坂に。「出版業界も厳しくなり、だんだん仕事が減ってきた」のを感じた飯田さんは、生き方を見直そうと考えました。

 

 

 

バラ、ミツバチ、そしてシルク

 

韓流スターと平行してよく撮影していたのがバラの花。「仕事というより、自分のブログに載せるために花を撮り始めたんです。もともと植物写真が専門というわけではないのですが、韓流スターを撮る仕事で、美しい人たちをたくさん撮ってきたことで、そうしたジャンルの腕も上がったかな(笑)」

 

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バラの中央にミツバチがいるの、わかりますか?
©飯田典子

 

 

そしてバラの花に止まるミツバチと出会った飯田さんは、ミツバチに魅かれて養蜂家のもとに撮影に通い始めます。そして、ついに自分自身が養蜂を始めるまでになりました。

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愛らしいミツバチ。なぜカワいく見えるのかな……
©飯田典子

 

 

 

そんな飯田さんが、次に関心をもっているのは「シルク」。ミツバチが蜜を集める不思議さと同じように、蚕が絹の糸を紡ぎ出す営みに興味津々で、現在、東京農工大・科学博物館「友の会」の絹サークルで勉強し始め3年目。「日本の養蚕業は風前の灯。貴重な技術がなんとか引き継がれればうれしいし、ミツバチ同様、シルクは写真のテーマとしても、とても興味深いですね。じっくり時間をかけて取り組めたらと思います」

 

 

 

小さな世界は大きな世界

 

 

「私はフリーランスで写真の仕事をしているので、生業として考えると、一つだけでなく複数のテーマが必要なんですね。更年期にさまざま不調が出て以降、年取っても続けていける自分のテーマを探していました。テーマをもつことで更年期、そして老年期を乗り切れる、と思っています」
若い頃は「フォトジャーナリストとして世界を飛び回るのに憧れていました」という飯田さん。「でも今は、ミツバチを見ていると、小さな世界のなかにこんな大きな世界があるのか、と感動します。国立という生活範囲の中にこんなにすごい世界があったんだと、自分の中の世界が広がった感じがします」。

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ハチミツは砂糖よりもビタミン・ミネラルなど体に良い成分を含みます。食べるのもよし、保湿効果があるので、お風呂に入れたり、顔にぬってもお肌スベスベに。固まったハチミツもクリーミーハチミツとして、おいしく食べられますよ。

 

※ 注文は 国立ミツバチ日記 まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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