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上手なおつきあいのための「心得」/しきたり55:集合住宅で暮らす際には、利点と欠点をよく把握する

阿部 絢子

阿部 絢子

生活研究家。消費生活アドバイザー。

新潟県生まれ。 共立薬科大学卒業。 料理や家事など生活全般にわたる豊富な知識と合理的なア ドバイスで、出版・講演など幅広く活躍中。 著書に『「やさしくて小さな暮らし」を自分で作る』(家の光協会)『始末な暮らし』(幻冬舎)『快適に暮らす小掃除術』 『すぐにできるエコ家事』(ともに集英社be文庫)

気持ちよく暮らす「生活のしきたり」/55:集合住宅で暮らす際には、利点と欠点をよく把握する

 

季節の行事のすごし方や、親戚・ご近所とのおつきあい。恥ずかしくなく普通に暮らすため、カジュアルな決まり事を覚えましょう!

 

ここでは、各テーマごとに全部で84の「しきたり」をご紹介します。

教えてくださるのは、生活研究家の阿部絢子さんです。

 

 

このパート【上手なおつきあいのための「心得」】では、心地よいつきあいに関するしきたり44~61をご紹介します。

今回は、しきたり55:集合住宅で暮らす際には、利点と欠点をよく把握する、についてです。

 

 

●上手なおつきあいのための「心得」●

 

家族、友人、恋人、親戚、子ども同士、仕事など、人と人とのコミュニケーション=つきあいほど難しいことはありません。電車の中で肩が触れた、触れないの言い争いから喧嘩となり、重傷を負ってしまった、近所のピアノの音がうるさいと、近所づきあいが疎遠になってしまったなど、つきあいはときとして争い事にもなり、そのために人を傷つけてしまうことだって起こりかねません。

 

我慢すべきときは我慢、言うべきときは言う、そして、かかわりのないときにはかかわらない、といったように、つきあいにはほどよい距離感を保つことが欠かせません。すべて自分の価値観と同じと思うのではなく、人には人の考え、思い、思惑などがあり、無理してつきあっても決してうまくいくとは限らないのです。

 

しきたり55

集合住宅で暮らす際には、
利点と欠点をよく把握する

 

30年以上を集合住宅で暮らしています。集合住宅といっても、20年間は賃貸集合住宅暮らしでした。最初の集合住宅では不慣れなこともあって、住人とは挨拶程度だけでした。

 

そこでは、姉妹で暮らしていたせいか、あるいは若かったせいか、とにかく人の出入りが多く、いつも家の中はガヤガヤしていました。また、仕事柄、帰りが遅くなることもあって、夜中に音を出すこともあり、しかも賃貸集合住宅という建築環境が手伝い、ほかの住人にとってはとても迷惑な暮らしぶりであったに違いないと思っていました。引っ越しをするとき、家主さんから「うちはお宅に一番近く、いつも音がうるさかったですよ」と言われたほどでした。

 

次に引っ越しした賃貸集合住宅では、音をできるだけ立てないよう、それだけは気をつけていましたが、それでも集合ですから、ほかのことでも住人に迷惑をかけない暮らしにはなかなか至りませんでした。書籍が多くなって物置をベランダに設置してみたり、鉢植えを共用通路に置いたり、部屋の改装をしたりと、賃貸でできるだけ快適に暮らそうとやればやるほど、家主さんの注意を受けることになりました。人生でもっとも長い場所がこの賃貸集合住宅ですから、集合住宅で暮らすことの原点がここにはたくさんあったと考えています。

 

そこで集合住宅で暮らす利点はどんな点かあげてみました。

 

①安全性の自己管理の範囲が少ない 自らの責任で安全性の管理を積極的にしなくても済みます。持ち家では家を管理するとなると、まずは自分で診断しなければなりません。そして実際に点検、修繕、維持などをしてくれる業者を自分で探したり、自己判断で選んだりしなければなりません。いってみると家の安全性の管理は、すべて自分で行わなければならないということです。それが集合では家主、あるいは管理組合が定期的に行い、大規模な修繕はもちろん、小規模な点検・調査・修繕に対しても行ってくれるのですから、探す・選ぶという気持ちの負担が少なくて済みます。ただし、室内の安全性の管理は、どちらも一緒ですが。

 

②つきあいを狭められる、あるいは広げられる 挨拶は、集合であろうとどこであろうと当たり前ですが、こと親しいつきあいを狭めることができます。挨拶だけで終わりにできるのです。鍵ひとつですから、シャットアウトしてしまえばいいのです。近所づきあいといったものがないのです。昔から同じ地域に長く暮らしていると、古くからの慣習に従ったつきあいがあるものです。友人が新しく暮らした地域では近所づきあいに入るようなお誘いがあり、近所づきあいも新参では難しいと言っていました。そういったことは、古い地域にはありがちだと思いますが、これが苦手、面倒といった人には集合住宅は利点だと思います。

 

また、つきあい範囲を広げたい人にも利点です。集合住宅では大勢の人たちが暮らしているのですから、きっかけさえあれば、多くの人たちと知りあうことができるからです。友人は集合住宅に暮らし、自然と触れあう会を設立し、呼びかけました。すると、数十名の参加があったといいます。これは持ち家ではなかなかできないことです。

 

③機密性が高く冬に快適 機密性が高いのは集合住宅の利点です。集合住宅の建築種類にもよりますが、機密性が高いと室内の空気が逃げにくい、音が漏れにくい、また外の空気や音が入りにくいといった利点があります。地域にもよることですが、北の地域では暖を逃がさないので、冬は快適に過ごせるのが利点です。寒がりにも利点となります。ただし、夏は機密性が反対に作用しますので、暑くなります。持ち家建築は土に接触しているので、夏は涼しいのですが、冬が寒いのが難点になります。

 

④対策があれば盗難が少ない 盗難被害は持ち家が狙われやすいようです。というのも、庭があるので、家との距離から中が死角になりやすく狙われる確率が高いそうです。集合住宅も狙われないわけではありませんが、ロッククライミングをするように登らなければならず、それはリスクが高いということのようです。

 

⑤助けあいの精神が生まれやすい 集合住宅は住人がひとつ屋根の下で住む洋風長屋みたいなものですから、いざという火災、地震、台風などの瞬間では、住人協力の得やすさがあります。長屋の助けあいとでもいったようなものです。持ち家でも、向こう三軒両隣での助けあいもありますが、屋根が一緒でないので、どこまで助けあいがあるでしょうか。

 

 

欠点について、次ページへ続きます!→

 

一方、欠点もあります。

 

①庭=グリーンがない 狭いところで有効な土地活用がされているのが、集合住宅です。それは、上へ高く伸びる建築にしているわけですから、土地を利用した庭などは当然ありません。庭=グリーンの少ない閉塞的な環境しかないことになります。
最近の集合住宅では、屋上庭園や壁面を緑にする、チームマイナス6%(二酸化炭素の排出量を90年レベルまで減らす目標値6%の合言葉です)対策型も進んでいます。私の集合住宅でも居住者と壁面を緑にしようと10年間ツタ(壁面に影響のないことを確認)を育て、夏は涼しく、冬は暖かい状態をつくりました。ところが次の②にもあげますが、チームマイナス6%がわからない人にとって、集合住宅の価値は資産価値でしかなく、管理組合で「資産価値のないツタは撤去」と決定し、取り除かれたという経緯があります。緑の欠如は決定的欠点です。

 

②独自にことが運べない 集合住宅は自前のものであっても、その所有権利は一部にしかすぎません。建て替えをしたい、一部に物置を造りたいなどといっても、独自ではできません。そこに住む共同住人の了承をいちいち取らなければならないのです。例えば、ソーラーパネルを設置したいと思っても、ベランダは共有権となり、自分だけの判断では何事もできないのです。みんなで考えてことを運ぶ仕組み(管理組合・管理組合理事会)はいいのですが、その考えが偏っていては、物事は悪い方向に進んでしまうのがよくない点です。

 

③犯罪の巣窟になりやすい いま、横行している「振り込め詐欺」は、つきあいが狭められる集合住宅が巣窟になりやすいものです。それは集合住宅のイメージを悪くしやすいものです。もし自ら所有する住宅なら、犯罪の巣窟になったときの価格変動も覚悟しなければなりません。

 

④夏、梅雨は快適が得にくい 機密性が高いことは寒いところでは快適ですが、暑いところ、湿度が高くなるところでは、不自由です。機密性が高いから熱がこもりやすく、湿気も逃げず、暑苦しく、ムシムシすることになります。夏、梅雨の快適性が得にくいことです。

 

などといったことがあげられますが、集合住宅の利点を満喫し、また欠点をできるだけ理解して、より快適に、ほどほどのつきあいをしながら暮らしていきたいと思います。

 

 

しきたり55イラスト:集合住宅の利点と欠点

 

 

 

次回は、しきたり56:賃貸集合住宅と家主とのつきあいは話し合いが大切、についてご紹介します。

 

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