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琵琶湖の美味を楽しみながら 、白亜の客船でクルージング

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。

今回は、先日参加した、「琵琶湖八珍の悦び」というイベントクルーズのルポをお届けします。

琵琶湖に浮かぶ美しい客船「ビアンカ」に乗って、滋賀県の食文化についてのレクチャーを受け、「琵琶湖八珍」と呼ばれる珍しい魚介類を使った料理をいただくプチクルーズです。

琵琶湖八珍とは、琵琶湖の特徴的な魚介類である、ビワマス、ニゴロブナ、ホンモロコ、イサザ、ウロリ(ゴリ)、コアユ、スジエビ、ハスの計8種の総称です。平成25年、滋賀県立安土城考古博物館が、来場者へのアンケートを基に、供給量なども考慮して選定しました。食べたことがないもの、名前すら聞いたことがないものなどもあり、興味津々です。

まずは、元安土城考古博物館の副館長で、琵琶湖八珍の提案者の大沼芳幸先生による詳しいレクチャーがあります。他の地方では、ウナギやアユ以外の淡水魚を口にする機会は少ないものですが、この地方の人々は、古くから、さまざまな漁法で手に入れた琵琶湖の魚介類をいろいろな形に調理し、豊かな食文化を築いてきました。その代表例が下の写真のフナズシです。

しかし近年では、水質の悪化や外来魚の増加などによって環境が変化し、魚介類の供給量が減ってきました。琵琶湖八珍選定の目的のひとつは、古くから伝わるこの地方の独特の食文化を絶やさず、未来につなげていくことです。

大沼先生は、食文化に詳しいだけでなく、お酒を飲みながら琵琶湖八珍を食べるのもお好きなようで、美味しそうな料理の写真とともに、興味深いお話をたくさんしてくださいました。

特に、ヒウオ(八珍のひとつのコアユの稚魚)が大好きで、どんぶりいっぱいの釜揚げを食べるのが夢だったとのこと。実際に召しあがっているこんな楽しい写真も見せてくださいました。琵琶湖八珍を愛する心が伝わって来ますね。

 

お勉強が終わったら、いよいよ食事タイムです。

次ページに続きます。

まずはお品書きをごらんください。八珍の料理以外にも、裏八珍と呼ばれるシジミやナマズを使ったものもずらりと並びます。では、代表的な料理をご紹介しましょう。

ビワマス

サケ科の魚で琵琶湖の固有種。琵琶湖に注ぐ河川で産卵・ふ化した後、稚魚は琵琶湖へ下って成長し、およそ2~3年で成魚となり、生まれた川へ戻って産卵します。つまり、ビワマスにとっては、琵琶湖が海のようなものです。今回はムニエルでいただきましたが、お造りや煮つけでも美味しいようです。

コアユ

琵琶湖のアユは、春に河川へ遡上するものもありますが、大部分は琵琶湖で成長し、小型のまま成魚となります。これがコアユです。通常のアユに比べて鱗が細かく滑らかで、口当たりが良いと言われます。冬に獲れる稚魚はヒウオと呼ばれ、釜揚げが絶品だそうです。今回は、成魚のコアユを、天ぷらや佃煮にしていただきました。

ニゴロブナ

琵琶湖周辺の美味の代表であるフナズシの原料です。その場合は、卵を抱いたメスが使われますが、オスの身も食味がよく、お造りやあらいとしても食べられます。フナズシは、地域によって少しずつ作り方や味が違います。今回いただいたフナズシは、琵琶湖汽船の料理人の方が、琵琶湖の有人島、沖島で漬け込んだものです。発酵食品のため、もっと刺激的な風味のものもありますが、こちらのフナズシは、まろやかで食べやすい味でした。

ホンモロコ

琵琶湖の固有種。コイ科の魚類ではもっともおいしいと言われ、特に春先に獲れるホンモロコは子持ちのため、より人気が高いようです。今回は、シンプルに素焼きでいただきます。

ハス

ハスと言ってもレンコンではなく、魚の名前です。コイ科の中では唯一、魚を餌とする魚で、主にコアユを食べます。今回は田楽でいただきました。

イサザ

ハゼ科の魚。頭の部分などが少し硬いが、揚げ物にすると骨が気にならないとのこと。今回は、から揚げに。

ウロリ(ゴリ)

ビワヨシノボリの稚魚。佃煮でいただきます。この写真では、薄いブルーの容器に入っている小さな魚がウロリ。赤茶色の容器に入っている大きい方の魚はコアユの佃煮。

スジエビ

日本全国に生息する在来種。このようにかき揚げにしたり、エビと一緒に炊くエビ豆が美味しい食べ方。

ナマズ

琵琶湖には三種類のナマズが生息しており、そのうちイワトコナマズがもっとも美味しいと言われます。しかし、漁獲量が少なく、あまり流通していないため、琵琶湖八珍には選定されませんでした。今回は、蒲焼にしたナマズを使ったちらし寿司を出していただきました。わたしはこのお料理が一番気に入りました。ウナギに似ているが、もっとソフトな口当たりです。

 

お料理に気を取られていましたが、クルーズですから、風景も楽しまなければ。

 

次ページに続きます。

この島は、近江八幡の沖合の沖島。日本で唯一、淡水湖にうかぶ有人島で、人口は270人ほど。島内には漁協もあり、琵琶湖の魚料理を楽しむことができます。

こちらは湖の中に鳥居があることで有名な白髭神社。湖側から鳥居を眺める貴重な体験です。

湖面に見える細い杭のようなものは、魚を追い込む仕掛けです。

こちらは、琵琶湖の西岸と東岸を結ぶ琵琶湖大橋。

ここまで来たら、終着点の大津港ももうすぐです。

 

琵琶湖汽船では、このほかにも、季節ごとのさまざまなイベントクルーズを企画しています。

詳細はこちらをごらんください。

http://www.biwakokisen.co.jp/

 

 

吉田さらさ

公式サイト

http://home.c01.itscom.net/sarasa/

個人Facebook

https://www.facebook.com/yoshidasarasa

イベントのお知らせページ

https://www.facebook.com/yoshidasarasa2

 


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