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豪華客船で優雅に日本一周の旅 その1、クィーンエリザベスってどんな船?

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。

今月は、日本をぐるっと一周する船旅のお話です。

船旅と言うと「高級」というイメージがありますが、近年では、日本でも船旅の人気が高まっており、さまざまなタイプの客船が、日本向けの航路を設定するようになりました。

今では、旅行シーズンともなると、いろいろな国の船が日本の回りを何隻も航海しています。

今回わたしが乗ったクィーンエリザベス号にも横浜発着の日本周遊の航路があり、飛行機に乗ることもなく、海外の高級ホテルのような雰囲気をゆっくりと味わうことができます。

どんな旅だったかをお話する前に、クルーズ船に関する基礎知識を簡単にご説明しておきます。最初に知っておきたいのは、ひとくちに「クルーズ船」と言っても、さまざまなカテゴリーがあるということです。

 

まずは、最近、テレビでもよくCMをしている「コスタクルーズ」に代表されるカジュアルクラス。料金がお手頃で、ドレスコードも比較的緩やか。フォーマルウェア着用を奨励される日や場所が少なめか、あるいは、毎日どこでもカジュアルウェアでOKという船もあります。そういう性質なので、家族連れで楽しむのに適します。ちなみに、わたしが昨年カナダで乗ったノルウェージャン・ドーン号は、このカテゴリーに入る、いたって気さくな船でした。

ノルウェージャン・ドーン号に乗ってのカナダ東海岸の旅の記事は、下のリンクからごらんください。

アメリカ・カナダ 東海岸 紅葉クルーズ

 

次に、「プリンセスクルーズ」に代表されるプレミアム・クラス。日本発着が多く人気が高いダイヤモンド・プリンセスなどがこのクルーズラインに所属しています。このクラスの船は、カジュアルクラスの船よりはフォーマルナイトが多いようですね。わたしは一昨年、アラスカでルビー・プリンセス号に乗りましたが、個人的な感覚では、それほど堅苦しくはなく、服装の点以外は、カジュアル船と大きな違いはありませんでした。

ルビー・プリンセス号に乗ってのアラスカの旅は、下記のリンクからごらんください。

はじめてのクルーズ旅でアラスカへ

 

そして、クィーン・エリザベス号を所有する「キュナード・ライン」に代表されるラグジュアリー船。飛鳥など日本の船も、このカテゴリーに入るようです。フォーマルナイトはプレミアム船やカジュアル船よりは多く、夕方5時過ぎはカジュアルな服装で公共の場を歩いてはいけないなどの決まりもありますが、日本人乗客がメインだったためか、「イブニングドレスに宝石をつけた華麗な人ばかり!」というほどでもなかったかな。船の内装は、確かに前記の二つの船よりは重厚でゴージャスですし、社交ダンスがたいへん盛んという点でも、確かに高級感がありましたけどね。

そんなクィーンエリザベスの旅は、いったいおいくらなのか。今回わたしは、9泊10日コースのツアーに参加したのですが、一番お安いランクの部屋なら20万円程度と、案外お手頃。新幹線や飛行機に乗って日本を一周したら、たぶん、もっとかかりますよ。もちろんこれは内側の窓のない部屋の場合で、窓付き、バルコニー付きと、条件がよくなるほどに値段は上がるわけです。

各社がツアーを組んでいますが、むろん個人でも予約できます。ツアーの条件は旅行会社によっていろいろ違うので(寄港地の観光ツアーがついているかどうかなどでも値段が変わる)、資料を取り寄せてじっくりチェックを。船旅の場合、添乗員つきのツアーであっても、こちらから求めない限り、実際に添乗員に会う機会はあまりありません。が、今回参加したツアーの添乗員は素晴らしく気が利く方で、前日に、寄港地の交通情報や気温などを詳しく調べて伝えてくれたり、知らないうちにレストランの便宜を図ってくれていたりと、まるで目に見えないアシスタントのよう。というわけで、わたしは、今回は添乗員付きのツアーでよかったと思いました。

ここでひとことご注意。クィーン・エリザベス号は、「世界で一番有名なクルーズ船」ではあっても、「世界一高級なクルーズ船」というわけではありません。現在では、もっと豪華な船がたくさんあり、それは、わたしどものような庶民には手が届かない世界。クィーン・エリザベス号に関しては、「お部屋のカテゴリーによっては手が届くラグジュアリー船」という表現がもっとも適切かなと思います。

さて、横浜港から船に乗り込みます。

クィーンエリザベス号はサイズが大きすぎてベイブリッジをくぐれないため、大桟橋に停泊できません。そのため、大黒ふ頭というところから発着します。そこまでは横浜の中心部から連絡バスが出ています。乗り場はこんな感じで、大桟橋に比べると華やかさに欠けますが、今後は大型客船の横浜寄港がますます増えるでしょうから、おいおい整備されて行くんじゃないでしょうか。

まずはお部屋です。

今回は、バルコニー付きのやや上のカテゴリーにしましたが、そんなに広くはなく、スーツケースを広げるスペースはありません。手前のベッドに黒い皮のカバーがかかっていますが、これは船室特有の備品で、この上で荷物を広げるのです。シャワールームもかなりきつきつで、体を洗うのもけっこう大変。でも、バスタブのあるお部屋はウン百万円もしますから、庶民としては、まあ、こんなものかなと・・・

シャンパンとチョコレートのサービスがありました。どちらもたいへん美味で、このへんはさすがという感じです。

 

出航は夕方ですが、クルーズ船に乗る時は、船上でランチをいただく計画で早めに乗りたいものです。たいていはお昼ぐらいから乗船可能になります。ただし、部屋のランクにより乗船時間が異なることも多いので要確認。初日のランチは、メインダイニングはまだ営業しておらず、ブュッフェ式のレストランになります。

これまで乗った船はどれもそうでしたが、メインのダイニングと、上の方の眺めがよい階に大きなブュッフェ式レストランがあり、朝昼晩どのレストランで食べてもよいことになっています。その他にいくつか別のレストランがある船も多いです。これは有料の場合もあれば、無料の場合もあります。クィーン・エリザベス号には、有料のステーキレストランと無料のパブ(飲み物は有料)がありました。

 

ランチを済ませても出航までたっぷり時間があるので、船内探検をします。

クルーズ船には、必ず甲板にプールとジャグジーがあります。温水ですが、今回は、まだ4月中だったので、泳いだり水着で日光浴をしている人はほとんど見かけませんでした。

眺めのよいところに巨大チェス盤がありました。イギリスっぽいですね。

バドルテニスやクリケットのコートもあります。ボールが海に落ちないように、網で囲ってあります。

クルーズ船は、ちょうど中央部分に、このような階段があることが多く、その周辺にフロントやオプショナルツアーの申し込みカウンターなどがあります。映画「タイタニック」でも、こんな階段に主人公の2人が立ってましたね。そうそう、クィーン・エリザベス号を所有する「キュナード・ライン」は19世紀に創業された由緒ある会社で、タイタニック号が遭難したときは、この会社の船が救助に行ったのだそうです。その後、タイタニックの会社は、このキュナードラインに合併されました。そんな歴史の古い会社の船なので、内装も、どこかアンティーク調で美術品のようです。

大人の社交場らしく、カジノもあります。

イギリス風にビールを楽しむパブ。ここでは、ランチタイムやディナータイムに、気軽なセットメニューも出してくれます。

毎晩、さまざまなショーが行われるシアター。これもクルーズ船のお約束。

美しい図書室。ほとんどが英語の本ですが、少しだけ日本語のコーナーもあり、寄港地のガイドブックも置いてあります。

カードやマージャンなどを楽しむゲーム室。

船内のあちこちに、このようなくつろぎコーナーが。飲み物の注文を取りに来ることもありますが、必要なければ「ノーサンキュー」でOK。

クルーズ船にはなぜか必ずある、絵画の展示販売をするコーナー。欧米の方々は、こういうところで絵を買ってお家に飾るのでしょうか。

これも、クルーズ船のお約束であるお写真コーナー。プロの写真家がご希望のポーズで写真を撮ってくれます。

 

全員が乗り込んだところで恒例の避難訓練が始まります。これはどの船でも初日に必ずあり、全員参加が義務付けられています。船室のクローゼット内に救命胴衣があり、ドアの裏に、「あなたの集合場所はここ」と書かれているので、合図があったら、救命胴衣を持ってそこに集まります。これは訓練ですが、実際に遭難した際も手順は同じです。皆がひとつの場所に殺到するとパニックになるので、船室のエリアごとに分散して、順番に救命ボートに乗り込むのだそう。わたしたちは、シアターに集合しました。

出航時間が近づくと、デッキにて出航パーティが行われます。

生バンドの演奏があり、日本酒やシャンペンのサービスが。

出航です。夕暮れの横浜港を出て、船はゆっくりと北に向かっていきます。

 

 

さて、お待ちかねのディナーです。

初日は、まだ荷物の整理ができていないということを考慮して、ドレスコードは特にありません。とは言うものの、ある程度きちんとしたかっこうで行くのがよいようです。

レストランはこちらです。

今回は、ほんの少しだけランクが上のお部屋にしたので、一般ランクのレストランとは場所が違います。わたしたち専用のテーブルがずっと確保されており、何時に行ってもいいという利点や、並んで待たなくてもよいという利点がありますが、料理の内容は同じと思われます。暗いのでお料理の写真がうまく撮れませんでしたが、日替わりで前菜、メイン、デザートが何種類か準備されており、どれをいくつ注文してもよいことになっています。まれに日本風や東南アジア風のアレンジが加えられることもありますが、基本はフランス料理です。

お給仕をしてくれるウェイターさんも、いつも同じです。フィリピンやマレーシアから来ている人が多いとのこと。

フルーツをその場でフランベしてくれるデザートが人気です。

こちらは一般ランクの大きなレストラン。2部制でスタート時間が決まっており、開始時間になると行列ができます。内装はとても美しく、明るくて雰囲気がよいので、朝食はこちらでいただくのもいいかなと思いました。

 

クィーンエリザベスの旅は次回に続きます。

 

吉田さらさ

公式サイト

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