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東京の中のトルコで 、ディープに異文化体験

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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寺社部長の?田さらさです。

コロナ禍で海外旅行ができない今、東京に居ながらにして異文化体験ができる場所は、とてもありがたい存在です。今回は、トルコ文化をより深く知るための興味深いイベントのご紹介です。

この日は2つのイベントに参加しました。午前中はトルコ料理教室、午後はトルコ映画鑑賞と解説、そしてトルコ料理を食べながらの懇親会です。会場は、代々木上原にあるイスラーム教の礼拝堂「東京ジャーミイ」の奥にある、「ユヌス・エムレ インスティトゥート東京」。こちらは「東京ジャーミイ」とは別の組織で、トルコ語講座をはじめとする各種文化講座やイベント開催など、文化を軸に日本とトルコの交流を目的として設立された施設です。

まずは、11時から始まるお料理教室。「ユヌス・エムレ インスティトゥート」の中にあるカフェで行われます。「美味しく学ぶトルコ料理」と名づけられた教室は、今回が2回目。参加者は、わたし以外は続けて出ている方で、みなさん、何らかの形でトルコ文化の勉強をなさっているようです。でも、気後れする必要はありません。この教室は、実際に自分で何らかの作業をするのではなく、お料理とそれにまつわる文化の解説を聞き、先生がお料理する過程を見学する形なので、はじめてでも大丈夫です。

 

先生は岡部誠一さん。日本でも有数のトルコ料理のシェフで、テレビ番組の出演も多い方です。が、それだけではありません。トルコ語もむろん堪能で、午後に見る予定のトルコ映画の字幕もこの方が担当されました。それ以外にも、キリム(トルコの織物)教室や、トルコ式弓矢の教室など、さまざまな講座の先生をなさっています。

本日教えていただくお料理は、トルコ語で、デューン・チョルバスという名前の、羊の肉が入った白いスープです。デューンは結婚式という意味、チョルバスはスープという意味です。結婚をイメージする白に、神への捧げものである羊を入れ、新郎新婦の永遠の愛を神に見守ってもらうため大量に作り、結婚式の参列者にふるまいます。

 

本来、大きな鍋を使って野外で作るものですが、今回は少人数なので、フライパンで作ります。また、近年では現地でも鶏肉を使うバージョンがポピュラーになっているとのことなので、日本でラムが手に入りにくい場合は、鶏肉で代用してもよさそうです。

材料 (4人分)

ラム肉 200g

ラム肉の下処理用:水 1000cc、ローリエ

スープ本体の材料:バター30g、小麦粉40g、コンソメ10g、水800cc、ヨーグルト80g、卵黄1個分、レモン1/2個

仕上げ用の材料:レモン、バター、唐辛子またはパブリカ  適量

まずは、小さく切ったラム肉をたっぷりの水で30~40分ほどゆでます。このとき、におい消し用にローリエを入れます。右がゆでる前、左がゆでたあとのラム肉です。ここで使われるラム肉は、イスラームの掟に従った方法で血抜きされているハラルフードなので、生の状態でもあまり血がなく、においも強くありません。

続いて、フライパンで湯を沸かし、コンソメキューブを溶かしてスープを作ります。

小麦粉・ヨーグルト・あらかじめ常温に戻しておいたバター、卵黄、レモン汁をよく混ぜ合わせます。これをスープに入れてよくかき混ぜ、なめらかになったら、ラム肉を入れて一煮立ちさせます。

別のフライパンで仕上げ用のバターを溶かし、辛いのが好きな人は唐辛子、マイルドな味がお好みの方はパブリカ、レモン汁を混ぜ、スープの上にかけます。バターがたっぷりでかなりハイカロリーではありますが、濃厚でおいしそうなスープができあがりました。

さて試食です。

ピラフ、鳥のケバブ、サラダ、ポテトなどをたっぷり盛り合わせたワンプレートランチと、先ほどのスープがセットになっています。こちらはカフェのランチでもあり、その分の代金をお支払いすれば、料理教室にも出席できる仕組みになっています。スープは、ヨーグルトとレモンの酸味とバターの風味が相まって、西洋料理のスープとは一味違います。

カフェには、一般の家族連れなども、ランチを食べに来ています。トルコのお菓子やパンもあります。

キッチンの見学もさせていただきました。

こちらはケバブを切り落とす道具です。近年では、お祭りの屋台などでもよく見かけますね。

 

さて、午後はトルコ映画を楽しみましょう。

ここからは、「トルコ発シルクロード・シネマ・トリップ」というイベントで、今回が15回目。ほぼ毎月、トルコもしくは中央アジアのシルクロード周辺国の映画の鑑賞会と、解説と映画にちなんだ現地料理を食べながらの懇親会が行われています。

本日の映画は、「ハッピーエンドができるまで」というラブ・コメディです。脚本家の男性と、すでに大スターとの結婚が決まっている女性が出会って惹かれ合い、いろいろあって最後はハッピーエンドというストーリー。トルコ随一の景勝地であるカッパドキアを舞台に、ハラハラ、ドキドキ、大爆笑の物語が繰り広げられます。普段見慣れているアメリカやヨーロッパの映画とはどこか違うエキゾティックな雰囲気も魅力です。

 

楽しく見終わったあとは、先ほど料理を指導してくださり、この映画の字幕担当でもある岡部誠一さんと、「ユヌス・エムレ インスティトゥート」と共同でこの企画を運営している「株式会社KeyNoters」の岩丸珠緒さんによる解説が行われます。

まずは、舞台となったカッパドキアとはどんなところなのかというお話から。わたしは何十年も前に一度行ったことがありますが、カッパドキアは、その当時よりも観光地化が進み、素敵なホテルもあるようです。そのうちいくつかが、今回の映画のロケにも使われています。

主人公の脚本家とヒロインがそれぞれに口ずさんでいた歌は、トルコの美空ひばりとも言えるほど超有名なセゼン・アクスという歌手の歌です。

映画の中で結婚式が行われる「愛の谷」というところでは、実際に結婚式ができるとのこと。

かつてオスマン・トルコ時代には40昼夜かけて行われるほど盛大であったトルコの結婚式は、日数が短くなった今でもたくさんの人を招き、料理がふるまわれ、歌ったり踊ったり、とても賑やかであるそう。そのほか、俳優たちの面白いエピソードや、映画中に登場したトルコならではの風習などについて、楽しく解説していただきました。

そして最後に、本日のメインイベント、「今回のスペシャル映画飯!」が紹介されます。

ひとつは、映画の内容にちなんで、先ほどお昼にいただいた結婚式の白いスープ、デューン・チョルバス。もうひとつは、タヴック・ギュベッチ。鳥と野菜のオーブン焼きです。

ピラフやサラダもセットされ、充実したお食事となりました。参加者の方々とお話ししながらいただきます。トルコの文化に関心がある人、中近東やアジアの料理に詳しい方など、話題は尽きません。海外旅行に行けなくても、東京の中で遠い世界を旅するような体験ができて、実に楽しい週末でした。

 

これらのイベントは、今後も予定されています。

詳細は、以下にお問合せください。

 

『美味しく学ぶトルコ料理』に関して

ユヌス・エムレ インスティトゥート

Tel :03-6452-9258
メールアドレス tokyo@yunusemre.or.jp
公式SNS https://www.facebook.com/yeetokyo/

 

『トルコ発シルクロード・シネマ・トリップ』に関して

株式会社KeyNoters

Tel:050-1008-0389 ウェブサイト https://keynoters.co.jp/

 

 

 

吉田さらさ 公式サイト

http://home.c01.itscom.net/sarasa/

個人Facebook
https://www.facebook.com/yoshidasarasa

イベントのお知らせFacebook

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