仏像好きの憧れの的、甲賀の大観音様が東京にやってきた

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寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

仏像好きの憧れの的
甲賀の大観音様が東京にやってきた

 

こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。
全国各地のお寺と神社を巡り、旅に役立つ情報をお届けしています。
今回は、上野の東京国立博物館の本館特別5室で開催中の
特別展「平安の秘仏‐滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」をご紹介します。

吉田さらさ仏像

櫟野寺(らくやじ)。

一般の方には聞き慣れない名前だと思いますが、仏像が好きな人にとっては、一度はお参りに行きたい憧れの寺です。
この寺は、滋賀県南東部の甲賀市というところにあります。
忍者の里で知られるあの甲賀ですが、市の名前の読み方は「こうが」ではなく、「こうか」だそうです。

櫟野寺のホームページはこちらです。
http://www.rakuyaji.jp/

 

吉田さらさ仏像

※「平安の秘仏‐滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」の図録より

 

この写真のように、里山に囲まれた田園地帯にぽつんと立つお寺です。
公共の交通機関で行くのはかなりたいへんである上に、
ご本尊の大観音にお会いできるのは、一年のうち何度かの特別開帳の期間のみ。
なので、そう簡単には会いに行けません。
この秋、櫟野寺の本堂・文化財収蔵庫(宝物殿)の改修に伴い、
大観音と平安仏19体が東京にお出ましくださると知ったときには、
多くの仏像ファンが大喜びすると同時に驚いたものです。
何しろ像だけでも3.12m、台座や光背も含めれば5mを超える大きさ。
一部は分解するとしても、これだけのものを東京まで運ぶのは容易なことではありません。

吉田さらさ仏像

※「平安の秘仏‐滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」の図録より

 

わたしもこの観音様が大好きですが、
なかなか日程が合わず、これまでお会いできたのは一度だけです。
しかも、次にお寺で見られるのは平成30年の10月以降とのこと。
このチャンスを逃してはならじと、勇んで内覧会に出かけました。

 

吉田さらさ仏像

十一面観音坐像

 

本館特別5室に入ってすぐ、大観音のお姿が目に入ります。

わたしがこの像を好きな理由はいろいろありますが、簡単にまとめると、以下の3点です。

 

1.大きいということ
より頼りがいがあるように感じるという理由で、わたしは大きい像が好きなのです。単純なようですが、このように大きな仏像が作られたのは、やはり昔の人々もそう考えたからだと思います。ちなみにこの像のサイズを「丈六」※と言い、これより大きいものを「大仏」と呼びます。

※仏像の背丈 (丈量 ) の基準。仏は身長が1丈6尺 (約 4.85m) とされるので、仏像は丈六が基準で、その5倍、10倍、または1⁄2などに造像された。坐像の場合の丈六像は、半分の約8尺 のことが多い。

 

2.表情が神々しく独特の威厳があること
観音像は慈愛の表情であることが多いのですが、この像の表情には、慈愛だけではない何か神秘的な力が感じられます。真下から見上げてみると、ちょうど視線が合い、卑小な自分の心の内を見透かされているような気がしてきます。

 

3.一本の木でできていること
この像は、腕や脚の部分を除き、頭部から体の中心部は一本の木でできています。これだけの大きさのものを一本の木で作るには、よほど太い木が必要です。その木は、太古の昔から、この像が作られてきた平安時代初期まで少しずつ成長し、それほどの巨樹になったのです。その木の生命力は、まだこの像の中に息づいています。

吉田さらさ仏像

十一面観音坐像、頭部のアップ

 

この像には、注目すべき点がもうひとつあります。

それは頭上にある十一の小さな別の顔です。
観音菩薩は、いろいろな形に変化することがあり、この像はその中のひとつである「十一面観音」なのです。

 

頭上の小さな顔は、よく見ると、ひとつひとつ表情が違います。優しい顔、牙をむきだした顔、怒った顔。これらは、お寺のお堂ではよく見えませんが、博物館のライトの下なら見分けることができます。後頭部には、大笑面と呼ばれる悪を笑い飛ばす顔があります。ただし、今回の展示では背後に光背があるため、この顔だけは、残念ながら、よく見えません。

 

 

大観音以外の見どころや、楽しいグッズ情報は次ページに。

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第43回
仏像好きの憧れの的、甲賀の大観音様が東京にやってきた

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