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ヨーロッパ縦断鉄道トライアスロンの旅 ③スロベニアの美しい街、ピラン

井原美紀

井原美紀

旅するコピーライター・エディター。

世界107ヶ国1300都市以上を旅してきた。 以前は海とヨットが大好きだったが 今は空を飛ぶことがなによりも好き。 趣味は仕事。

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<前回までのお話し>

軽い気持ちで参加したユーレイルプレスツアー。10日間でヨーロッパを4200km 縦断という無理めな旅は、イタリアからスタート。今回は2つ目の目的地、スロベニアの美しい村ピランを観光する。

 

スロベニアのピランに着く直前、ちょっと悲しい出来事があった。

 

「みんな、ユーレイルパスに日付を書かないと罰金を取られるぞ。今すぐ書きなさい」

 

と鉄道写真の大家、櫻井寛先生が全員に訓示を垂れているまっ最中に、車掌さんが見回りに来たのである。

櫻井先生の教えに従って全員日付を書き込んでいたのでセーフであったが、肝心の櫻井先生は日付を書いていなかった。

 

「50ユーロ払って」

 

氷のように冷たい声でイタリア人の車掌が言う。

 

「なんと・・・。どうしたらいいんだ」

 

櫻井先生が震える声で、地球の歩き方編集部のMr.ユーレイルパスこと鹿野さんに聞く。

 

「ここは払っておいた方がいいでしょう。罰金は最低50ユーロですが、罰金は車掌の裁量なんです。もめたら、100、200と上がる危険性があります。50ユーロすっぱり払った方がいいでしょう」

 

その光景を遠巻きに見守りながら、私たちの頭の中には、「弘法も筆の誤り」「かっぱの川流れ」「猿も木から落ちる」「まぢで罰金取られるんだー」といった格言や感想がぐるぐると回っていた。

 

鹿野さんは言う。

「イタリア人だけに女の子にはゆるいんですけどね。男にはだめっすね」

 

◎ユーレイルパスルール最重要ルール:電車に乗る前に日付を書こう!

 

 

紺碧のアドリア海を見晴らすピラン

 

井原さん ローラーブレード

朝のタルティーニエフ広場に爽やかに現れた推定70歳の陽気な男性。ローラーブレードの華麗なる技を次々と見せてくれた。

 

 

翌朝のピランは快晴だった。

窓を開けると、そこは紺碧のアドリア海。見よ、この美しさを。

井原さん アドリア海

「おはよーアドリア海!おはよーかもめたちー!」と朝からハイテンション。

 

 

ピランは、人口約4000人、スロベニア南西部に位置し、アドリア海に面した港町。ピラン出身の音楽家、ジュゼッペ・タルティーニの銅像があるタルティーニエフ広場から観光は始まった。

井原さん タルティーニさん

地元の名士、タルティーニさん。

 

井原さん 聖ユーリ教会

ドラゴン退治で有名な聖人を祀った聖ユーリ教会。

14世紀に作られた教会を17世紀に改築。

 

井原さん 鉄壁

10世紀に作られた城壁へ登り、街を見る。

 

 

 

ピランの次は、天然塩の産地へ。

天然塩の産地、セチョブリエ塩田へ

 

日本のテレビ番組でも紹介されたスロベニアのセチョブリエ塩田は、ピランから車で15分ほどの郊外にある。西暦804年から塩つくりが始まり、今も機械を一切使わず、袋詰めの工程も含め、すべて人の手で塩つくりが行なわれている。

井原さん セチョブリエ塩田1

井原さん セチョブリエ塩田2

井原さん セチョブリエ塩田3

井原さん セチョブリエ塩田4

井原さん セチョブリエ塩田5

4月から8月にかけて、のべ2000人もの人がこの塩田に集まり、塩つくりに携わる。

 

 

海水を取り込むにもポンプは使わず、潮流を利用。

塩田はアドリア海の堆積層である「ペトラ」を敷きつめ、3年以上の歳月をかけて塩床を作る。ペトラに含まれたバクテリアによって、海水が浄化され、豊富なミネラルを含んだ塩が形成される。

塩にもさまざまな色合いがあり、ピンクがかっていたり、黄色かったり、灰色だったりするが、白以外はすべて除外して、最高級の塩だけが袋詰めされ、世界各国へ輸出される。この地に生えている草は、塩分を好み、ほかの場所では育たないそうである。

 

と、熱心にガイドさんの話を聞いていたところで、はっと気がついた。みんながいない。

どこに行ったんだろう、と見回すと、トロッコの周りに集まって、写真を撮りまくっていた。動く乗り物が心底好きで、ほかのものには興味がないのである。

井原さん 鉄道

鉄道マニアたちが興奮して写真を撮りまくっていたトロッコ。と610mmゲージ。鉄道マニアは、塩田よりも動くのりものが好きなのだ。

 

 

 

鉄道の話ばかりの中で、うれしくて舞い上がったスロベニアワインとは?

バイオダイナミクス農法でつくられるスロベニアワインを求めて

コレニカ&モシュコンワイナリーへ

 

お昼は、バイオダイナミクスというオーガニックな方法でワイン造りを続けている『コレニカ&モシュコンワイナリー』へ。

井原さん コレニカ&モシュコンワイナリー

オーナーのマティ・コレニカ氏。父親が2000年に病で倒れたときに、学業を諦めワイナリーを継いだ。

 

 

「僕は、ワインは食べ物だと考えています。ワインには、酵素も含めて実に1600以上の栄養素が含まれています。ワインはアルコールを考えている人が多いけれど、実際は栄養価の高い食べ物なのです。それゆえ安全性には、とくに気をつかっています」

とマティ・コレニカ氏は熱く語る。

穏やかな酸と香り高い白ワインが特に美味しかったが、名前の読み方がわからなかった。

井原さん ワイン

名前の発音がわからないので、ラベルを撮影させてもらった。

 

 

熱心に取材していると、女子鉄アナウンサーであるともみんが不思議そうに

「美紀さん、すごい食いつきですねえ。ワインが好きなんですねえ」

と言う。

・・・すごい食いつきっていうか、この旅が始まってから鉄道の話ばかりしているマニアの間で、まったく話についていけない私が、「これならわかる!」とうれしくなって舞い上がってしまったのだ。

熱心にワインの取材をし、ワインを飲み、クロアチア産のトリュフがふんだんに使われた料理を堪能している横で、マニアたちはワインにはまったく興味がない様子で、相変わらず鉄道の話で盛り上がり続けるのであった。

井原さん 仲間

鉄道写真の大家、櫻井先生の「列車」の話に乗り出す仲間たち。この後もずっと、旅が終わるまで、彼らは鉄道の話しかしないのである。

 

井原さん 白トリュフ

クロアチアのリヴァデで取れた白トリュフ。リヴァデでは、毎年秋になるとトリュフ祭りが行われるという。トリュフの1kgの値段は、5000~8000ユーロ(約70万円~100万円)。

 

 

 

最後はインディ・ジョーンズ気分が味わえる世界遺産へ。

シュコツィアン鍾乳洞でインディ・ジョーンズ気分を味わう

 

スロベニアには1100の洞窟があり、公開されているのはそのうち20カ所。超高速観光の最後の目的地は、1986年に世界遺産に登録されたシュコツィアン鍾乳洞。見よ、大自然がつくりあげた神秘の鍾乳洞を!

井原さん シュコツィアン鍾乳洞1

井原さん シュコツィアン鍾乳洞2

井原さん ユニクロ

ヨーロッパの旅に欠かせないユニクロのダウンジャケット。内部の温度は約12度。

 

 

洞窟内は、最大で223mもの深さがあり、見学ルートは3km、所要時間約2時間。ちょっとだけ見て帰る、というわけには行かない。幸い滑らないように溝が彫ってあるコンクリートの遊歩道が整備されているが、かなりアップダウンがあるので、歩きやすい靴が必要だ。

入場料16ユーロの価値はある。ピランに来たら、絶対に行って欲しい。

 

旅のヒント:鍾乳洞観光には滑らない靴とコンパクトなダウンジャケットを持って行こう

 

鍾乳洞の観光を終えたあとは、バスに乗りトリエステへ。

「これから列車を乗り継いでハンガリーに行きます」

ユーレイルグループのPR担当、中川さんが宣言すると、バスの中にたちまち活気が戻った。私は美しい村を満喫した充実感と疲れで、ただただ眠りたかった。トリエステ発20:40のICN770にヨロヨロと乗り込み、アップルウオッチを確認したところ、この1日で16795歩、13.24kmほど歩いたことがわかった。

 

ここから夜行列車を乗り継ぎ、ウーディネ(イタリア)、ウィーン(オーストリア)を経て、ハンガリーの美しい街、ショプロンへと向かう。

 

 

 

取材協力 ユーレイルグループGIEスロベニア観光局

 

 

 

blog 世界1000都市ものがたり
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