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雅な京友禅の本格的手描き体験「京そめ塾」

小原誉子

小原誉子

「京都観光おもてなし大使」&旅ライター
アナウンサー、テレビ番組プロデューサーなどを
経て、集英社「エクラ」などのライターに。
2011年より京都在住。
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京の和服と言えば、「やわらかもの」と呼ばれる染めの着物。お茶会だけでなく、さまざまな神事、祭事などに出席する機会が多い女性たちが纏うのは、その季節を表現した雅で品格漂う「京友禅」です。紬など織りの着物を東京で着ていた私には、京の女性たちの京友禅の着こなしの美しさに、いつも見惚れてしまいます。

 

さて、京都の西に位置する西陣は、和服を扱う商家が軒を連ねるエリア。かつて1日の商いが「千両」におよぶと言われた今出川大宮の「千両ヶ辻」。今も大きな商家が並ぶエリアで、今回訪れた 京友禅染色作家の南進一郎さんの「創作着物アトリエ」があります。

 

築150年の町家のアトリエの中には、伝統と現代的なセンスを巧みに融合させた友禅で知られる南さんの見事な作品が並んでいます。南進一郎さんは、染色作家として、誂えの付け下げ、訪問着などを中心に、さまざまな作品を手掛けると共に、「エルメス」のスカーフデザイナーへの日本の意匠指導、またパリで個展を開催されるなど、「京友禅」の美しさを広めるための幅広い活躍をなさっています。

 

さらに「京友禅の美しさをもっと多くの方々に知っていただきたい」という南さんの強い思いから、西陣のアトリエを一般公開すると共に、「京そめ塾」という実際に京友禅の彩色ができる体験プログラムを2014年からスタートされました。

 

京都の伝統工芸に触れる体験プログラムは、いろいろありますが、「京そめ塾」は、体験後に手にする作品の完成度の高さに心惹かれます。

 

使用するのは、呉服の反物の幅の長方形の白生地で、着物に染められる上質の絹ちりめんです。そこには、南さんがデザインした京都の四季の風物の図案が、糊や金彩ですでに描かれていて、参加者は、そこにぬり絵のように彩色を施してゆくのです。

 

テンセルのような「摺込友禅」という技法の京友禅体験も多い中、「京そめ塾」の体験は、それとは異なる技法です。そして、京友禅作家である南さんの伝統を踏まえた品格ある図案の見事さが、体験者が手にする作品に素晴らしさをもたらします。

 

さっそくこの日の参加者といっしょに体験させていただきました。

 

次ページに続きます。

私が体験したのは、「金彩友禅体験」という初めて訪れた人向きのプログラムです。白生地にプリントされた金彩に、ぬり絵のように筆で染料を置いて行きます。図案の種類も多く、どれにするか迷います。

南さんが、参加者が選んだ図案に合う色彩を調合。「京友禅には、落ち着いた色彩がふさわしいと思います」と素人ではわからない微妙な調合が施されます。同じ図案でも、それぞれの人の色選びは異なるため、自ずと趣の異なる作品になるのだそう。

初めての体験…筆に染料を含ませ、白生地に筆先を落とします。思わず息を止めて集中。「そんなにビクビクしなくても大丈夫ですよ~」とそばで見守る南さん。「金彩の部分が縁になりますから、染料はそれを越えてにじむことはありませんから、大胆にやってみてください」と。なるほど、隣り合った部分は色が混ざらず、細かい部分も安心してぬることができました。

次第に筆運びもスムーズに、大胆に…。「多少失敗しても、私がカバーしますから…」という頼もしい言葉を頼りに、1時間ほどでぬり終えます。最後に余白部分に名前を描き、南さんの落款を押していただきます。そして仕上げにアイロンを掛け、色を定着させ完成です。

「これが、私が彩色した作品?なかなか素敵~」と思わず笑みが浮かぶ出来栄え。さすが南さんの図案の見事さに改めて感激します。もちろん選ぶ図案によって、彩色にかかる時間は変わりますが、完成までの全工程で3時間ほどが目安だそう。

 

作業中は、南さんのお話や参加者との会話なども楽しく、あっという間の時間です。

彩色中に、ふと目を上げれば、日本庭園の木々が…。築150年と言われる京町家での体験プログラムは、京都にいることを実感させる時間でもあります。

 

完成した作品は、額に入れて飾れば、日本の四季を感じさせるインテリアに。この「金彩体験」プログラムは、その日の内に作品を手にしたい外国人観光客の要望で生まれたそう。

 

作品をひとつ仕上げると、「次はお雛様にしようかな~」と四季折々の作品を手掛けたくなります。なるほど、リピーターが多いのも頷ける楽しさと作品への満足感です。

 

「京そめ塾」がスタートした当初は、本格的な友禅の作品づくりをする「本友禅体験」プログラムだけだったそう。こちらは、着物などを作る工程と同じく、図案の上に糊置きし、彩色します。

本友禅体験プログラムでは、すでに糊置きされた白生地に、着物に使う染料を彩色してゆき、その後、糊を洗い、蒸して色を定着させる本格的な工程を経るもの。分業制の京友禅では、その工程を別の職人さんが行うため、完成までに2週間かかります。

そうして完成した作品は、巾着に加工したり、また帯にする方もいるそう。

 

両方とも、事前に予約が必要。体験費用は、「金彩友禅体験」1~3時間3500円~7000円。「本友禅体験」3時間7000円。ひとりでの申し込みも可能です。体験は最大5名まで。

 

完成度の高い「大人の京都体験プログラム」としておすすめです。

 

 

京そめ塾

京都市南上京区大宮通元誓願寺下ル北之御門町575

075‐451-0325

営業時間:10:00~17:00 不定休

体験プログラムの申し込みは、インターネットで。

 

http://www.shin-ichirou.jp

https://m.facebook.com/kyosomejuku/

 

 

小原誉子

ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」

http://blog.goo.ne.jp/mimoron/

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