美食王国ベルギーでビールを巡る旅 第2回 メッヘレン「病人に飲ませるビール」

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旅するコピーライター・エディター。

世界107ヶ国1300都市以上を旅してきた。 以前は海とヨットが大好きだったが 今は空を飛ぶことがなによりも好き。 趣味は仕事。

東京—ブリュッセル 9090マイル

oostduinkerke2 馬なし

イラスト:KOTO 

 

 

病人を救うために作られた醸造所

メッヘレン 「ヘット・アンケル醸造所」

 

ブリュッセルから電車で約20分のところに、しっとりとした情感にあふれた中世の街メッヘレンがあります。

12世紀から13世紀にかけて十字軍の遠征が盛んだったころ、この地に残された女性たちが集まってベギン会を作りました。ベギン会は修道院と混同されることがありますが、修道院ではなく、個人が財産をもつことを許された生活共同体です。この地区には、病人を助けるための病院も多く建てられ、人々が寄り添い支え合う地区として何百年もの間存続しました。

ベギン会でビールの醸造が始まったのは、ヨーロッパで黒死病(ペスト)が大流行したあとの1471年から。当時、飲料となる水が汚染されていたため、病人に与える安全な飲料として醸造が始まったのです。

ブルゴーニュ公シャルルは、病人のためにビールを与えるという条件でベギンで作られるビールに課税をしないことを決めました。

 

時が流れ、18世紀に入ったころヴァン・ブレーダム一族が醸造所を買い取り、現在は5代目の当主がビールとウィスキー作りに情熱を傾けています。

井原さん ヘット・アンケル醸造所

ヘット・アンケル醸造所 看板には、生産される地ビールの名前「グーデン・カロルスビール醸造所」と書かれています。建物は世界遺産に登録されています。

 

 

ここで作られるビールのうちもっとも有名なのは、シャルルの孫、神聖ローマ帝国カール五世の名前を冠した「グーデン・カルロス」。

カール五世は、太陽の沈まない国ハプスブルグ帝国の頂点を極めたことで知られていますが、大のビールファンとしても歴史に名を残しています。メッヘレンの統治者であったマルガレーテ王妃に預けられ、少年時代をメッヘレンで過ごした若き王は、何世紀を経ても、ベルギーの人々に愛されています。カルロス五世の誕生日である2月24日には、毎年最高級の素材で作った「グーデン・カロルス・キュヴェ・ヴァン・ド・ケイゼル」が作られ、その日を楽しみにしている人たちの間では、それこそ高価なワインのように飲まれています。

 

 

 

次のページではヘット・アンケル醸造所の内部をご紹介!

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第24回
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