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退職金は今まで働いてきたことへのご褒美ではありません。退職金の正体、それは……

安田まゆみ

安田まゆみ

東京・銀座の「元気が出るお金の相談所」所長。FP歴24年目。これまでの相談件数は7000件以上、講演回数は1千回を超える。一男一女を育てあげた後、現在は義母と実母の介護に直面中。 お得な情報はより多くの人に知らせてあげたい!というおせっかいな性格。 モットーは「最後まで自分らしく生き抜く」。

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夜6時半。

ローストビーフに、まぐろのお刺身、炊き込みご飯、そしてワイン……

M美さんのお宅の食卓には盛り付けに凝った、ちょっと贅沢な料理が並んでいます。

 

ピンポ~ン♪

花束を抱えた夫M男さんが帰宅しました。

いつもより早い帰宅です。

M男さんは迎えに出たM美さんに持っていた花束を渡しながら「ただいまー」といつものように一言だけいうと、寝室に着替えに行ってしまいました。

その顔はとくに晴れ晴れしたものでもなければ、かといって寂しそうでもなく、迎えに出たM美さんはちょっと拍子抜け。

 

 

ふと受け取った花束に目をやると

「K田さん 長い間お疲れさまでした、今まで大変お世話になりました。

どうぞ素敵な人生のセカンドステージを!

××部一同」

と書かれたカードがあるのに気が付きました。

 

 

そうなんです。

今日はM男さんの会社人生最後の日。

定年を迎えた日なのです。

(主婦である私には定年はないけどね……

一言くらい〝ママも今までお疲れさまでした〟くらい誰かに言ってほしいなぁ)

ちょっとイヤミっぽく思ってしまうM美さん。

 

(ま、いいか。

私だってこれからは、少しくらい贅沢をさせてもらいますから)

 

自然と頭には来週の定年記念旅行のことが浮かんできます。

 

行先はハワイ。

飛行機はビジネスクラス、ホテルは5つ星!

予算は夫婦二人分でお土産代を含めドンと100万円!!

M美さんが主導権を握って決めた旅行プランです。

 

まさに素敵な人生のセカンドステージの幕開け。

 

「旅行の後は、家を素敵にリフォームしたいし、どうせなら家電も買い替えたいな」

M美さんの夢は膨らみます。

 

なぜかというと

なぜかというと

だって……

 

退職金が入ったんですから!

******************

こんにちは。

「元気が出るお金の相談所」所長の安田まゆみです。

 

さぁ、今回は「退職金」についてお話ししたいと思います。

 

退職金といえば、冒頭のM美さんのように退職金をもらって、「退職金ハイ」になる人は実に多いんですよ。

普段手にしたことのない額を退職金としてもらって、脳がマヒして、高揚感を感じてしまう……

まさにランナーズハイのように。

 

 

「この際、家電を最新のものに買い替えよう」

「退職祝いに、ちょっとくらい贅沢旅行をしてもいいわよね」

「キッチンをリフォームして一新したい」

「車をこの際、新しくしたい」

……などなど支出プランが次々と生まれてくるのが「退職金ハイ」です。

 

気持はよ~くわかります。

だって退職金は、今まで組織の中で頑張って働いてきた人とそれを支えてきたパートナーに支払われた〝ザ・ご褒美〟ですから。

……と言ってあげたいところですが、実は

退職金は人生のご褒美ではありません!!

 

この勘違いが「老後貧乏」へと続くのです。

 

 

 

 

退職金が人生のご褒美ではないなら、何なのか?

 

 

それは、

会社から支払われた老後資金への補助金なのです。

 

補助金????

それは一体どういうこと?と思った方。

 

まず日本には現在、100歳以上の方が何人いると思いますか?

なんと……

 

※気になる答えは次ページに

約65,000人です。

紛れもない長寿社会!

 

ですから老後のライフプランも、今や90歳まで視野に入れて考えたほうがよい時代なのです。

60歳で退職金をもらって、夫婦仲良く90歳まで生きたとします。

 

大学卒のサラリーマンの平均退職金は約2000万円。

それを60歳から90歳までの30年間で使うとした場合、ひと月にいくら使えると思いますか?

 

2000万円÷30年間÷12ヵ月≒55,555円

月々5~6万円ほどしか使えないのです。

 

この数字を見て、まだ

「退職金はご褒美だ~ヽ(*´▽)ノ♪」

なんて浮かれていられますか?

 

退職金で、今まで頑張ってきたことを少しくらい慰労するのは構いません。

 

でも、あれもこれも!っていう気持ちになる「退職金ハイ」には注意しまししょう。

 

一方、「私は〝退職金ハイ〟にはならないわ」と、思っていらっしゃる自称堅実派のあなた!

実は「退職金ハイ」とまではいかなくても、「退職貧乏」という落とし穴にはまる人もいるのですよ。

 

 

それではいよいよ退職金との上手な付き合い方を冒頭に登場したM美さんを実例にあげてご説明しますね。

 

 

ゴールデンウィークの前に、私のところへ相談に来られたM美さん。

58歳のパート主婦です。

 

「今日は住宅ローンの繰り上げ返済について、相談したいんです。

2年前に、夫の退職金が出たんですけど、そのまま預けていても銀行の金利が低いから、まったく増えないでしょう。

だからいっそのこと、住宅ローンの繰り上げ返済をしちゃおうかと思っているんです。

夫も〝再雇用されても給料自体低いしなぁ。だったらさっさと返しちゃえよ〟と言うし。

 

でも、この間お友達とランチしたときに、退職金で住宅ローンを繰り上げ返済してはダメって、テレビ番組でやっていたわよって言われたんです。

 

本当のところ、どうなんですか?

退職金でローンの一括返済って、まずいんですか?

でも毎月の利息を考えるとねぇ、、、、」

 

確かにM美さんご夫婦のように毎月のローンの利息と貯金をしても大してつかない金利を天秤にかけて、退職金でローンをきれいに片づけてしまおう、というご家庭は多いんです。

 

それに対する私の答えはこうです。

 

 

※退職金で住宅ローンの残債を一括返金するのは、まずいのか?

気になる答えは、次回をお読みください。

●明るく気さくな人柄の安田さんが所長の「元気が出るお金の相談所」↓

http://www.my-fp.net/voice/2016/03/voice-573.html

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