言い訳ばかりの孤独なハリネズミは、あなたや私にちょっと似ている!?

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出版社勤務を経て、ライターに。『MORE』『COSMOPOLITAN』『MAQUIA』でブックスコラムを担当したのち、現在『eclat』『青春と読書』などで書評や著者インタビューを手がける。

50数年生きているのに、自分の性格がイマイチよくわかっていないのですが、ひとつ確かなのは「喜びや悲しみに襲われるとき、感情の成分を分析しようとする」という、素直とは言いにくい傾向です。

 

 

例えば、甥っ子の受験がうまくいったときは「うれしい!ただ、なぐさめの言葉を探さずにすんでほっとした気持ちのほうが強いかな」と感じたり、かつて愛犬を亡くしたときは「悲しみより、テキトーな飼い主でごめんという気持ちが大きすぎる」と思ったり。

 

 

つまり、何かにつけ言葉で説明(言い訳?)したい性格という気がしますが、私を上回りそうな人、ではなくて生き物に出会いました。

 

 

それはオランダの作家トーン・テヘレンが発表した大人向けの〈どうぶつたちの小説〉シリーズの1冊『ハリネズミの願い』の主人公。
特に名前はなく、「ハリネズミ」と呼ばれていますが、彼の自己弁護っぷりというか、“説明したがり”はかなりのものです。
そしてそれはすべてマイナス思考なのだから、同情もするけれど思わず突っ込みたくなるというか……。

 

書評_photo

『ハリネズミの願い』 トーン・テヘレン 長山さき/訳 新潮社 ¥1300(税別) 臆病で自分に自信がなさすぎるハリネズミ。果たして彼に友だちはできるのか? 作者のトーン・テヘレンはオランダの作家・詩人・医師。幼かった娘のためにつくったお話が編集者の目にとまり、最初の本を出版した。大変な恥ずかしがりや&インタビュー嫌いで知られ、担当編集者は「ハリネズミはトーン自身のこと」語っているのだとか

 

 

そもそもなぜハリネズミがそんなにもマイナス思考なのかというと、いつもひとりぼっちだから。

 

 

「訪ねてくるものはだれもいないし、偶然だれかが通りかかり、(ああ、ここにハリネズミが住んでるんだったっけ)と思ってドアをたたいても、ハリネズミは寝ているか、あまりにも長くためらってからドアを開けるものだから、そのだれかは通りすぎてしまっているのだった」
こんな状態なのです。

 

 

あまりにもひとりぼっちなので、みんなを招待する手紙を書いたものの、最後に「でも、だれも来なくても大丈夫です」と書き足すほど臆病なハリネズミ。
結局、手紙を出すことはありませんでした。

 

 

なのに、クジラやサイ、ゾウにカミキリムシにカタツムリにカメ、ヒキガエルにダチョウにクマなど、思いつく限り(!?)の動物が自分の家にやってきたときのことを想像してしまう。

 

 

そしてもれなく、それぞれの動物が自らの特徴をふまえたもてなしを期待すること、ハリネズミがそれに応えられないだけでなく自分自身も迷惑をこうむること、つまり残念な結果になることを勝手に思い描くのです。

 

 

なぜここまで性格がこじれているのかというと、ハリネズミが“刺すと痛いハリ”をからだじゅうに持っているという、自分の特徴にしてコンプレックスの問題があるようなのですが……。

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第40回
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