直木賞受賞作家が描く、頼もしくて痛快な龍馬の妻!

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出版社勤務を経て、ライターに。『MORE』『COSMOPOLITAN』『MAQUIA』でブックスコラムを担当したのち、現在『eclat』『青春と読書』などで書評や著者インタビューを手がける。

今年1月に直木賞を受賞した門井慶喜さんの『銀河鉄道の父』。

 

 

詩人として童話作家として天賦の才を見せながら、37歳で亡くなった宮沢賢治の悩み多き人生を父の視点で描いて新鮮でしたが、今回ご紹介したいのは同じく門井さんの『ゆけ、おりょう』。この小説も、主人公は実在した有名な人物の家族です。

 

 

 

それは、武士の妻としては型破りだったと言われる、坂本龍馬の妻・おりょう。

 

書評_photo

『ゆけ、おりょう』 門井慶喜 文藝春秋 ¥1600(税別) 結婚したら家で“旦那様”を待つことが当然だった江戸時代に夫・坂本龍馬と薩摩へ新婚旅行、その後軍艦に乗って長崎へも行ったおりょう。周囲からは悪妻と言われがちだった(!?)女性の生きざまを描いた、エンターテインメント時代小説

 

 

 

幕末の志士・坂本龍馬はいろいろな小説で描かれているし、ドラマにもよく登場するので、おりょうについてもある程度ご存知の方が多いかもしれません。

 

 

例えば、京都の船宿・寺田屋で伏見奉行所の捕吏に襲われた龍馬が難を逃れたのは、仲居のおりょうの機転のおかげだったとか。
龍馬とおりょうの薩摩行きが、日本初のハネムーンだったとか。

 

 

ふたつとも「おりょうって魅力的な女性だったのでは」という気がしてくるエピソードですが、作者の門井さんはそれらの史実をもとに思い切り想像の翼を広げ、生き生きとしたおりょう像を作り上げています。
大酒飲みで、自立心と負けん気が強くて、家族思いの、たくましいおりょう像を。

 

 

さて、そんなおりょうと龍馬がどのようにして出会い、夫婦になり、絆を深めていったのか?

 

 

そこが小説の主軸ですが、一方で複雑な幕末の流れ――幕府や薩摩や長州にどんな思惑があり、偶然や必然があって時代が動いたのかなど――が龍馬やおりょうの言葉としてわかりやすく書かれているので、読みながら「あ、そういうことだったのね」とたびたび思いました。

 

 

高校時代、日本史の幕末のところで頭がこんがらがった自分に説明してあげたい!

 

 

 

ところでこのふたり、最初から好意を寄せあっていたわけではありません。むしろ最初は龍馬の片思い(飄々とした男なので、告白もどこか冗談めいていましたが)。ふたりの関係が変わったのは、蛤御門の変にともなう洛中の大火災がきっかけでした。

 

 

医者の父が亡くなったあと、一家の家長的存在だったおりょうですが、自分も家族も働き先を火災で無くし、失意のどん底に。
気を張りっぱなしだった彼女は、偶然龍馬と再会すると(やっぱり、男の人を、頼りたい)と一瞬思います。
なのに龍馬は、ある理由からおりょう以上に心が弱っていたのです。

 

 

(あきれた)
おりょうは、すうっと心がさめるのを感じた。
胸のなかで切れた糸も、ふたたび張りを取りもどしている。いつしか洟をすする音を立てはじめた龍馬を見おろしつつ、おりょうは、一瞬前まで想像もしていなかったことを口走った。
「ほんにまあ。坂本龍馬は、だめな男ぞえ」
「言え。もっと言え」
「夫婦になりまひょ」
「え?」

 

 

女性はどんなときに男性に愛情を感じるのか?

次のページに続きます。

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第45回
直木賞受賞作家が描く、頼もしくて痛快な龍馬の妻!


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