直木賞受賞作家が描く、頼もしくて痛快な龍馬の妻!

いろいろなケースがあると思いますが、この引用からおわかりのように、おりょうの場合は姉御肌的愛情だったよう。
龍馬への「子供っぽい人」「世話の焼ける弟」という印象が(これほど、愛しい人はおらん)という気持ちへつながっていったのです。

 

 

夫婦になったといえ、龍馬とおりょうにゆっくり過ごす時間はありませんでした。

 

 

龍馬は自分の未来を、そして日本の未来を変えるために、各地を駆け回る日々。一方おりょうは、龍馬が京都に帰ってくるといつも打ち明け話を聞いていたこと、当時過激派のアジトとなっていた民家と知り合いだったことなどから、自然と「機密情報の宝庫」になっていきます。

 

 

だとしても、おりょうがおとなしい女・口が堅い女だったら問題はなかった。
でも彼女は龍馬をして「頭に口があるような」と感嘆せしめたほどのしゃべり手。気の強さもあって、たびたび龍馬の同志をひやひやさせるような言動に出ます。おりょうとしては、夫を思う気持ちの自然な発露だったりしたのですが……。

 

 

このあたり、空気を読まずに堂々と意見を述べるおりょうが痛快!
彼女と一緒に、頭の中が思惑だらけの男たちに啖呵を切っているような気分になりました。

 

 

物語の中盤で、おりょうは寺田屋で襲われ傷を負った龍馬ととともに、湯治の名目で薩摩に滞在(これが日本初のハネムーン)。
その後龍馬は、長州征伐(幕長戦争)での長州藩の勝利や大政奉還の準備に貢献するなど、精力的に動いて名を上げていきます。

 

 

それなのに、彼に対するおりょうの気持ちは意外にも複雑なものになっていき……。

 

 

夫が世間から賞賛されれば喜びそうなものなのに、なぜおりょうはそうならなかったのか?
そしてそれからすぐ、あまりにも突然に龍馬を失ったあと、彼女は亡くなるまでの40年近くをどんなふうに生きたのか?

 

 

読み終わって感じたのは、よく泣きよく笑う龍馬にとっておりょうは、揺れ動く気持ちを支える柱だったのかも、ということでした。
同時に、おりょうと久しぶりに会うと「こんなことがあった!」とよくしゃべり、離れているときはマメに手紙をよこす龍馬ってカワイイ男、と思えてきて。

 

 

龍馬と一緒に幕末の最前線を駆け抜けたおりょうは、自分では気づいていなかったかもしれませんが、かなり愉快だったのではないでしょうか。

 

 

龍馬のことを「旦那様」と呼ばす、最後まで「坂本はん」と呼び続けた彼女は、今の私たちに近い感覚の持ち主だった気がしてなりませんでした。

 

書評_photo

『東京帝大叡古教授』 門井慶喜 小学館文庫 ¥770(税別) 門井作品が気に入った方にはこれもオススメ。舞台は明治の東京、主人公は東京帝大法科大学教授の宇野辺叡古。知の巨人と言われる彼の周囲で連続殺人事件が起きるが、容疑者はなんと夏目漱石!? 日露戦争終結直前の政治の動きが透けて見え、意外なラストと後日談に仰天させられる異色のミステリー

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第45回
直木賞受賞作家が描く、頼もしくて痛快な龍馬の妻!

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