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再読っておもしろい!大好きな小説を13年ぶりに読んでみたら…

山本圭子

山本圭子

出版社勤務を経て、ライターに。『MORE』『COSMOPOLITAN』『MAQUIA』でブックスコラムを担当したのち、現在『eclat』『青春と読書』などで書評や著者インタビューを手がける。

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ところで、なぜ私はそんなにもショックだったのか。

 

 

今考えれば、「人生は何が起きるかわからない。それって因果応報じゃない」と予言されたように感じたから、だと思います。
もしかしたら、当時の私の日常は比較的平穏続きだったから、“理不尽な何か”が起きることをものすごく怖がっていたのかもしれない。

 

 

でも、久しぶりに読み返してみたら、最初のときのようなショックはなかったのです。

 

 

もちろん、あらすじを知っていたから、という理由は大きいでしょう。
この13年の間に、起きるかどうかもわからない理不尽を恐れて残りの人生を過ごすなんて!という“もったいない精神”が出来たから、という気もします(笑)

 

 

その代わりに強く感じたのは、「登場人物たちはもうすぐ出ていく社会を“砂漠”と呼び、生き抜く術や奇跡を起こす方法を考えているけれど、それって全然青臭くないよ。永遠に大事なことだよ」ということでした。

 

 

そして、ある種の切なさ。
彼らが巻き起こす出来事はマジメな動機だったり、そうでもなかったり、どこかゆるい感じがしますが、それらは大学時代にしかできない類のもの。
だから、どこかに「こんな感じで過ごせるのは4年間だけ」という切なさが、彼らにも読み手にも共通認識としてある気がしたのです。

 

 

そうそう、私が切なくなった理由がもうひとつありました。それは“携帯”。

 

 

この小説の舞台は携帯が普及し始めた頃で、全員が持ってはいなかっただけに、誰かの居場所を知りたくてもすぐにはわからなかったりする。
もどかしいような、だからこそ面白いことが起きるような……もうこんな時代には戻れないんだな、としみじみ。たった13年前なのに。

 

 

 

伊坂ファンなら、他の作品とのつながりを察知するのも楽しいはず。
とにかくこの本は「いまさら青春小説なんて」と敬遠している方にこそ読んでほしい。
じゃっかん向こう見ずで、でも芯の部分はしっかりしている彼らに、改めて夢を見ることの素晴らしさを教えてもらえると思います!

 

書評_photo

『フーガはフーガ』 伊坂幸太郎 実業之日本社 ¥1400(税別) 伊坂さんの最新刊。常盤優我はフリーのディレクター・高杉に、自分と双子の弟・風我の過酷な生い立ちについて語り始める。彼らが誕生日だけある特別な行為をしたこと、それが人生に大きな影響を及ぼしたことも。『砂漠』とリンクする箇所にも注目!

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