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引退も考えた宮沢和史さんが再び歌い始めるまで(インタビュー/前編)

長年苦しんできた頸椎のヘルニアが悪化し、2016年の1月に歌手活動の無期限休止を発表した宮沢和史さん。

事務所を解散し、自分ひとりになり、もう表舞台には立たないつもりでいた宮沢さんが、少しずつライブ活動を再開し、5月22日には3年5カ月ぶりのアルバム『留まらざること 川の如く』を発表する。その心の軌跡を聞いた。

 

撮影/萩庭桂太 取材・文/本誌編集部

宮沢和史さん

Profile

みやざわ・かずふみ●1966年1月18日、山梨県生まれ。1986年にTHE BOOMを結成。原宿の歩行者天国でライブを重ね、1989年にデビュー。『星のラブレター』『島唄』『風になりたい』など多数のヒット曲と14枚のオリジナルアルバムを残し、2014年にTHE BOOMを解散。その一方、ソロ名義で4枚、多国籍バンドGANGA ZUMBAとして2枚、アルバムを発表している。現在、「『時を泳げ魚の如く』宮沢和史コンサート 平成30年~」を開催中。5月22日には3年5カ月ぶりのニューアルバム『留まらざること 川の如く』をリリース。https://www.miyazawa-kazufumi.jp/index.html

 

 

10年以上抱えてきた持病が

耐えられないほど悪化して‥‥

 

「頸椎のヘルニアを、実は2007年ぐらいからずっと抱えていて、年に2回は発作が起きていました。どんな体勢でも痛いし、24時間痛いし、痛みなんてもんじゃないつらさなんです。スポーツマッサージに1ヶ月、10回ぐらい通ってようやく治まる感じでした」

 

特に、首を前に突き出して譜面を見るような、座って弾き語りをする体勢が一番きつく、発作と重なって地獄のようなライブの日もあったという。

 

「ステージに立つのが当たり前だったから、無意識のうちに自分の型ができてくるんだけど、ずっとやってきた型が体の不調でできなくなると、精神的にもろいというか、不安になるんです。野球のバッティングでも、優れた選手は毎シーズン、今の自分に合う型を身に着けるんだけど、忙しさにかまけて同じ型1本でいくと、壁にぶつかったときにすごく弱い。これはもう、ステージを降りて全部ご破算にしようと思いました」

 

50歳という節目を迎え、歌うこと以外にやりたいこともあった。沖縄県立芸術大学や慶応義塾大学で講師を務めたり、沖縄民謡の唄い手250人を訪ね、245曲を録音した17枚組のCD-BOX『沖縄 宮古 八重山民謡大全集(1) 唄方~うたかた~』を完成させ、沖縄の学校や図書館、海外の沖縄県人会に寄贈したりして、沖縄の文化を後世に伝えていくことにやりがいを覚えていた。

 

「けれど、やめて1年ぐらい経ったころに、昔お世話になった人から『3.11に仙台で歌わないか?』という誘いがあって。一度やめると戻るのが怖くて、声も出ないし散々な出来だったけど、すごく拍手をいただいたんです。それからいろんなところから声がかかるようになって、島に行ったり、沖縄の村祭りで歌ったり。すぐ目の前の人が喜んでくれるという、歌手としての初心というか、ありがたみを感じました。

『2曲ぐらいならいいですよ』から、『5曲なら』とか、少しずつ増えて1時間やりきれた時は嬉しくて。でも2時間は無理だと思っていたけど、体調もいいし、もう一度ツアーを回ってみようかな、だったらまとまった作品も出してみようかなという気持ちが芽生えてきたんです」

今回のアルバムの中に、「僕はもう 歌手じゃないから」と歌う『歌手』という曲がある。

復帰後のライブで初めて聴いた時は、なんとも複雑な、せつない気持ちになってしまったのですが‥‥。

 

「自分としては、全然、終わっちゃったという悲しみをかみしめているわけではなく、戻る必要のない旅に出られるし、気が楽だ、ぐらいの気持ちなんですよ。

ステージで話した、『マイクを強く握ってきたので、ずっと手のひらにあったマメが、あるとき消えていた』というエピソードも、寂しいんじゃなくて、今までのクセが全部なくなったから、また一からやればいいという、とてもすがすがしい気持ちなんです。

若い頃みたいに虚勢を張ったり、強く見せようとする必要もない。今の自分を、とてもピュアな気持ちで歌えた曲だと思います」

 

歌手じゃない自分は、歌にあるような「世間知らずの ただの男」だと思いますか?

 

「大学を卒業してすぐにデビューしましたからね。歌の世界も社会ではあるけれど、やっぱり事務所とかマネージャーとか、人に頼って生きているようなところがありましたから。今はやってますよ、自分で請求書を書いたりとか(笑)」

最後に収録されているバラード曲『Next to you』は、2017年発売のKinki kidsデビュー20周年記念ベストアルバムのボーナストラック用に書き下ろしたもの。しみじみと心に沁みる名曲だ。

 

「自由に書いてくださいってことだったので、どうしたら20年も2人でやってこられたのかな?ってことを想像して、その距離感を歌にしてみようと思ったんです。一人になりたい、顔も見たくないときもあっただろうけど、でも呼べば届くぐらいのところに、お互いいつもいたんじゃないかなと思って」

 

「君」を「歌」に置き換えると、宮沢さんと歌との関係性のようにも思えます。

 

「それが歌の素晴らしいところで、書いた人間の気持ちが正解というわけでもなく、受け手のものになっていくので、自由に聴いてもらえたら嬉しいです」

 

(病からの復帰と、現在の身体づくりについて語った、インタビュー後編はコチラ

 

『留まらざること 川の如く』

5月22日に発売される、3年5カ月ぶりのソロアルバム。歌手活動休止中に、作家としてKinki Kidsやネーネーズに楽曲提供していた作品のセルフカバー3曲に、書き下ろしのオリジナル作品5曲の計8曲を収録。(2500円+税/よしもとミュージック)

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