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そろそろ母親役も卒業…… そんな季節の心に届く本2冊

山本圭子

山本圭子

出版社勤務を経て、ライターに。『MORE』『COSMOPOLITAN』『MAQUIA』でブックスコラムを担当したのち、現在『eclat』『青春と読書』などで書評や著者インタビューを手がける。

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そろそろ夏休みのプランを練る時期ですね。最近は混雑を避けて、時期をずらして休暇をとる傾向もあるので、もしかしたら「今、リゾートにいます!」という方もいらっしゃるかも?
私は“海外欲”があまりないこともあり、たいてい近場で過ごしますが、ここ数年恒例になっているのが、富士山が目の前に見える湖畔の温泉でまったりすること。天気によっては肝心の富士山が見えないこともありますが、それはそれとして楽しめるように、少し多めに本を持って行くことにしています。

 

 

 

となると、大事になるのが本のチョイス。ちょっと長めのミステリーや旅エッセイを持って行くことが多いけれど、去年は仕事の必要があって、タブレットで槙村さとるさんの漫画を読みまくりました。こういうとき、電子書籍って便利ですね。

 

 

 

さて今年ですが、どこに行くかはまだ決めていないけれど、持って行く本はだいたい決まっています。
それは、作家の小川洋子さんとエッセイストの平松洋子さんの対話集『洋子さんの本棚』で紹介されていた本たち。おふたりの本を巡る話の深さと熱さに刺激されて、「あれもこれも読みたい!」と、少しずつ読破している最中なのです。

書評カバー

『洋子さんの本棚』
小川洋子・平松洋子 集英社 1500円(税別)
無類の本好きのふたりが、50年を越えた人生を振り返って考える、本から得たこと、感じたこととは。取り上げた本は、P・ピアス『トムは真夜中の庭で』、西原理恵子『パーマネント野ばら』、宮本輝『錦繡』など。巻末には「別れようと思ったのはどんな時ですか?」「豚小間が一パック。何をつくりますか?」「あまり好ましくはないことだけれど、やめられないことはありますか?」など、興味津々の人生問答も

 

 

『洋子さんの本棚』は、いい意味でちょっと不思議な雰囲気をまとった本です。
形式としては、それぞれが出会ったかけがえのない本を紹介しあい、事前にそれらを読んだ上で語り合うというもの。でも話は本だけにとどまらず、おふたりが自然と自分の人生について語ることになっているのです。

 

 

 

肝心なのは「自然と」という点。小川さんも平松さんも最初から自分の私的な部分を話そうとしていたわけではないし、相手のそこに踏み込もうとしていたわけでもない。
でも、人生のある時期――特に少女から大人になる時期に出会い、背中を押してくれた本について話していると、話題はいつの間にか個人的な領域に及んでいくのです

 

 

 

その自然さというか、好奇心ではない感じがとても心地いい。同時に、小川洋子さんと平松洋子さんという独自の世界を持った書き手の(凛としている、という共通した印象はありますが)、鍵となる部分を見つけた気分になります。

 

 

 

私はいつも「ここは大事」と思った箇所に付箋を貼りながら読むのですが、この本は付箋だらけになるくらい、心に響く箇所がたくさんありました。
個人的に「これって私のこと?」とドキッとするくらい共感したところも多々あって……その最たるものが小川さんが第二章で語ったこの部分。

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