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がんの痛み・つらさの解決方法は?

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いしまるこ

やる気はあるけど根気はない、自称ぐうたらライター(虚弱体質)。
お気楽道に邁進するため体と心の在り方を
模索する中で、医療・健康テーマを多数取材。
OurAgeではハーバード大学医学部 根来秀行教授の連載を担当

こんにちは、ぐうたらライターのいしまるこです。

 

 

いしまるこの緩和ケア最前線レポートもいよいよ最終回です。
今回は2月11日(建国記念日)に開催された、緩和ケアの市民公開講座に参加してきましたよ。テーマは「がんの痛み・つらさの解決方法はあります」。祝日だというのに、300名を超える参加者が集まり、緩和ケアへの関心の高さがうかがえます。

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今回の市民公開講座のパネリストのみなさん。厚生労働省の委託を受けて、日本緩和医療学会が主催

 

 

今はがんにかかってもかなり長生きする時代。現在、がんの5年生存率はトータルで約65%。10年生存率でみても60%近い数字です。

 

 

「もはやがんは特別な病気ではなく慢性病のひとつ。高血圧や糖尿病のように、長く生きればかかる可能性の高い病気です。体と心の症状を緩和し、経済的、社会的サポートも含め、その人の人生を支える緩和ケアは、今の時代に必要とされる、とても身近な医療なのです」と日本緩和医療学会の細川豊史理事長。

 

 

時代のニーズに合ったがん医療実現のために、国もがんとの共生を政策に取り入れ、緩和ケアの普及に力を入れています。「より多くの医療従事者が緩和ケアの重要性を認識し、がんと診断された時から緩和ケアが提供できるような体制の整備を進めています」(厚生労働省 益池 靖典 さん)

 

 

今回の市民講座では、実際に緩和ケアに携わっている専門家たちが、いざというとき緩和ケアを上手に利用し問題解決にあたるための方法を、とても具体的に教えてくれました。

 

 

医療用麻薬への誤解が
不要な苦しみを招いている

 

 

緩和ケア医の有賀悦子医師は、「痛みの解決方法」についてレクチャー。医療用麻薬に対する誤解が根強い日本では、痛みがあってもがまんする患者が少なくありません。けれども、アメリカで緩和ケアを学び海外の緩和ケア事情にも精通している有賀医師は、「がんの痛みは取り除くことができる症状です。海外では痛みに対しての取り組みは人の基本的な権利。痛みを放置することは人権の侵害だと言われます」とキッパリ。

 

 

「医療用麻薬は痛みがある状態で適切に使用すれば、たとえ量が増えても依存や中毒に陥ることはありません。むしろ、痛みを我慢し続けているとストレス脳になり、うつ状態に陥るリスクが高まります。便秘やムカムカ、眠気などの副作用もありますが十分対処できます。がんになっても自分らしく、しなやかに生活していくには、医療用麻薬を適正に使いこなしていくことが重要です」

 

 

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歯切れのいい語り口で理路整然と説く有賀悦子医師。帝京大学医学部緩和医療学講座教授・診療科長

 

 

適切な薬の選択をするためにも、患者が痛みをしっかり伝えることが大切。
「痛みをとる薬には、消炎鎮痛薬、医療用麻薬、鎮痛補助薬の3つの種類があり、それぞれに得手不得手があるので、併用しながら痛みを抑えていきます。ですから、痛みの場所だけでなく、痛みの強さやパターン、性質、痛みによる生活の困りごとなど、具体的に痛みを伝えてもらえると、医師も薬をどのように使うかイメージがしやすく、薬選びの助けになります」

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「“痛みの性質”を伝えましょう」

 

 

「がんに限らず、年を経ていく過程の中で困ったな、つらいなと感じることを、人の手を借りながら解決していくことは基本的な権利です。躊躇せず、〝私は困ってます〟とのろしを上げることが緩和ケアの最初の一歩です」

 

 

ストレスをためないコツは
今までと同じ生活を続けること

 

「がん体験は非常にストレスフルな体験であることは間違いありません。がんの経過に応じて、そのときそのときのつらさがある。患者だけでなく、家族にも同じくらい負担がかかってきます」
と指摘するのはがん患者の心のケアをする精神腫瘍科医の秋月伸哉医師。

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がんに関わる心理的衝撃

そこで、秋月医師がすすめる「自分でできるストレス対処法」です。

 

 

1 まずは自分でストレス状態にあるんだと気づく
「気づかないと対応できないですからね」

 

2なるべく今までと同じ生活を続ける
「体にそんなに問題がないのに、仕事を休んだり、会社を辞める人がよくいるのですが、
かえって病気のことばかり考えて不安が強くなることが多いです。痛みがある場合は、薬で
きちっと症状をコントロールして、生活のリズムをあまり変えないようにすることが大切」

 

3困っていることは相談する
「主治医にいろんな困りごとをおもんばかってもらおうと期待するのは無理。
医師にも家族にも言わないと伝わりません」

 

4 今必要で、正確な、私に当てはまる情報を得る
「まずは主治医や担当の看護師に相談を」

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わかりにくい心の問題をよどみなく解説する秋月伸哉医師。千葉県がんセンター精神腫瘍科部長

 

 

ストレスがあっても、通常は時間とともに心の安定を取り戻していきますが、がん患者の5人に1人はなんらかの手助けを必要

とするという報告も。
そんなとき助けになってくれるのが精神腫瘍科です。がん診療連携拠点病院を中心に配置されています。

 

 

「遠慮せずに心配を話せる相手や場所は意外と少ないもの。精神腫瘍科は気兼ねなくいろんな話をできる場です。
誤解に基づく心配を修正したり、不利な考え方や行動のクセを変える練習をしたり、呼吸法など体から心をリラックスさせる方法を伝えたり、必要であれば薬を使って、気持ちや生活を立て直していくお手伝いをします。
〝心の専門家〟というと引く人も多いのですが、とって食われるわけではないので、気軽に相談してもらえるとうれしいです」

 

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「緩和ケア普及啓発  市民公開講座」では、専門家のレクチャー、パネルディスカッションのほかに、 「あなたが『力づけられた』一言」が発表されました。ここでは選考を行ったキャンペーンメッセンジャーのたかまつななさんと、日本緩和医療学会理事長の細川豊史医師が進行を務めました。

 

緩和ケア普及啓発活動の一環として、がん治療の中で医療スタッフから「力づけられた」一言が募集されました。 多くの応募の中から、心温まる作品として「オレンジバルーン賞」が3作品、「たかまつなな賞」が1作品、最も力づけられた一言として「力づけられた一言大賞」が選出されました。まずは「オレンジバルーン賞」の3作品をご紹介しましょう。

 

「オレンジバルーン賞」
・何か悩んでない?話してみて
(愛知県/加藤さん)

 

31歳で早期乳がんの告知を受けた加藤さん。勇気をふりしぼって、初めて参加した患者会で先輩患者さんに「あなたは軽くていいわよね」と言われ、とても傷ついたそう。その後の治療中、「症状が軽い私がつらいと言ってはダメなのだと思い、つらいことを周りに伝えられなくなりました」。そんなとき、看護師さんから「何か悩んでない?話してみて」という言葉をかけてもらい、とても力づけられたそう。「つらいと言えないことがつらいのだと伝えたことで、その後少しずつ気持ちが軽くなり、いまも治療を続けられています」

 

看護師さんの言葉で力づけられた経験は、パネルディスカッションに参加した鈴木美穂さんもコメントしていましたね。治療時に、いちばん身近な存在になるのは、看護師さん。何か困ったり悩んだりすることがあったら、まずは看護師さんに話してみるのもいいかもしれません。

 

・3人で頑張りましょうね
(京都府/古川さん)

 

古川さんの夫が大学病院で肺がんの末期だと診断されたときに、近所のかかりつけ医が言った言葉だそうです。「夫は大学病院に入院しているのに、なぜかかりつけ医が一緒に頑張ってくれているのか。やがてその言葉の意味は夫の病状進行と共に理解できました」。その医師は最後までご夫婦に寄り添ってくれたそうです。古川さんの、医師への感謝が感じられる一言でした。

 

・今日はお母さんが楽しいことをしましょう。
お母さんが楽しいと息子さんもきっと嬉しくなりますよ
(東京都/こがねさん)

 

こがねさんは、5歳の息子さんが、がんに罹患しました。治療で付き添い入院をしていたときに、看護師さんにこの言葉を言われたそう。「自分が楽しんだりしたらいけないんだ、と、いろいろ我慢してつらくなっていたときだったので、心身に染みる一言でした。がん治療では、特に長期戦に備えるには、適度にリラックスすることが大切なんだと、気づくきっかけになりました」。今でもつらくなると、この一言を思い出しているそうです。

 

進行を務めた細川医師からは「がんの子どもさんを持たれたご家族は、何か自分が悪いことをしたから(がんになったん)じゃないかという思いがあって、自分が笑うこと、楽しむことがいけないと思い込むし、また逆に親ががんになった子どもさんは、自分がいい子でなかったから、お父さん・お母さんが、がんになっちゃった、と思うこともあります。そういった心の機微を医療者がわきまえて、一緒に楽しみましょう、と。長期戦になるんだから落ち込んでるだけではだめで、一緒にやっていきましょうねという意味も多分あったのでしょう」と、コメント。

 

そして最後に、今回の応募の中で最も力づけられた言葉「力づけられた一言大賞」が発表されました。

 

「力づけられた一言大賞」

かえられないものを受け入れる静けさと、かえられるものをかえる勇気と、
その両者を見分ける叡知をお与えください
(愛知県/薬剤師 牧野さん)

 

こちらの選考理由は細川医師にうかがいました。
「実はこの言葉は、19世紀後半のアメリカの牧師、ラインホールド・ニーバーの祈りです。元の言葉はもう少し長くて

『かえることのできないものについて、それをかえるだけの勇気を与えたまえ。かえることのできないものについては、それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。そしてかえることのできるものとできないものとを見分ける知恵を与えたまえ』

というのが原文です。

生まれついた環境や条件の中で、病気になってしまった。これはかえることができない。でもかえることができないことをずっと悩み続けるよりは、目の前の時間、自分の人生を変えることのできることによって、よりいいものにしていこうという解釈もできると思うのです。

牧野さんはご自分ががんになられて、がん患者さんに向けた講演で、この言葉を聞かれたそうです。それからのご自分の闘病に、この言葉を糧にして前向きに進まれたそうです。これは、がんだけでなく、人生そのものにも使える言葉と思い、大賞に選ばせていただきました」

 

最後に、細川医師とともに発表の進行を務めた、たかまつさんの一言を。
「緩和ケアをいろいろと取材して、それぞれの専門家の方がものすごく熱い思いを持っていらっしゃるんだなと思いました。緩和ケアをいままで自分が知らなかったことが恥ずかしいし、知らないで苦しんでいる人がいたら、とてももったいないことだなと思いましたので、地道にこれからも発信することを続けたいと思います。ぜひもっと緩和ケアが身近になればいいなと思っております」

 

みなさんもぜひこの機会に、緩和ケアについてもっと知ってくださいね。
■緩和ケア普及啓発活動公式 HP
http://www.kanwacare.net/

 

 




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