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50代の疲労回復には「あえて運動」がいいワケ

せっかくの休みなんだから、何もしないでゴロゴロしていたい…気持ちはわかりますが、50代にとってそれは「いい休み方」とはいえません。体を動かすことがかえって疲労の回復を早める理由を、休養に詳しい片野秀樹先生に伺いました。疲労回復法として運動代わりに活用できる、正しい入浴の仕方も教えていただきます。

何もしないでゴロゴロ…はむしろ疲労が取れない

「休む」というと「寝る」「何にもしない」といったイメージを持つ人は多いかもしれません。
「実は休養はそれだけではなく、いくつかの種類があります」と片野秀樹先生。

 

「大きく分けると『生理的休養』『心理的休養』『社会的休養』の3つがあります。
さらにそれらを細かく分けて、私は7タイプの休養を提案していますが、それについては後述します。

 

まずはこの、大きく3つに分けたうちの『生理的休養』についてお話しします。

これは文字通り、体の機能や組織を休ませるための休養です。

生理的休養には、さらに『休息タイプ』『運動タイプ』『栄養タイプ』の3タイプがあります。

『休息タイプ』は、皆さんがイメージするいわゆる『休むこと』であり、ゴロゴロしたり寝たり、といったことです。
『運動タイプ』は、文字通り運動することで、ウォーキングやヨガ、筋トレなどですね。
『栄養タイプ』は、食べ物を食べること、栄養をとることです。

 

3つの中で『運動タイプ』については、休養とは真逆じゃないか!と思う方もいるかもしれません。

確かに、疲れているときは動きたくないという人が大半でしょう。
ですが、実は適度な運動というのは、疲労の回復を早めるのです。

 

運動をすると血流がよくなります。血液の流れが細胞のひとつひとつに酸素と栄養素を運び、血中の老廃物の除去を促進するので、疲労の回復が早まります。
また、運動で筋肉を動かすことでリンパの流れもよくなり、むくみが取れて体が軽くなる効果も期待できます。

 

何もしないでゴロゴロしているだけでは血流が滞るので、疲労の回復はむしろ遅れてしまうのです。
もちろん、翌日に差し支えるほどの激しい運動はNG。
あくまで『体を軽く動かす』程度がベストです。

 

学校の体育の授業の最後に整理体操をしたり、運動部だった方なら最後に軽くジョギングをしたり、といったことがあったのではないでしょうか。
これらはまさに、血液を体中にくまなく回すことで、疲労回復を早めるためのものです。

記事が続きます

軽い運動には、ほかにもうれしい効果があります。

それは夜の睡眠の質が上がること。

昼間に適度な運動をすると体がいい感じに疲れ、夜に副交感神経が高まることで深い睡眠を得られるのです。
休みの日は昼過ぎに起き、その後もずっとダラダラしていて、かえって夜眠れなくなってしまった…という経験はありませんか?

それでは50代の休み方としては不正解。
しっかり疲労を取るためにあえて運動をする。これが第4回でもお伝えした『活力を高めるための+α』という考え方です」

 

運動代わりになる入浴で、疲労回復にアクセルを

疲れを取るためにゆっくり入浴する方もいるでしょう。
入浴も運動タイプの休養のひとつです。

運動に相当する入浴

入浴が運動に相当する理由は、血流を促すからです

「温かいお湯で体を外側から温めることで、血液の流れがよくなるため、酸素と栄養素が細胞に届けられます。
また、お湯につかることで体に水圧がかかります。

お風呂の湯につかることによる体にかかる水圧は、体全体で計算すると350kgにもなるそうです。
それだけの水圧が外側からかかるということは、膝下やつま先など、普段血流が滞りがちな体の末端までもが、キュッと押されますね。

ちょうど着圧ソックスのように、ポンピング作用で筋肉の代わりに血液を押し上げてくれるのです。

 

本来ならば自分自身の筋肉でそれができればいいのですが、50代ともなれば筋肉は落ちてきますし、そうでなくても一日過ごせば午後は重力の影響で筋力が低下。

心臓から遠い場所ほど血流は停滞してしまうので、お湯の力を利用しましょう」

記事が続きます

 

お湯の温度は、ぬるめがおすすめです

「38~40℃のぬるめのお湯に入ることは、休息タイプの休養にもなります。
二酸化炭素など血流を促す作用がある、温泉成分入りの入浴剤などを入れるのも、休養の効果を高めてくれるのでいいですね。

近年は夏が長くなり、シャワーだけで過ごす時期も多いのではないでしょうか。
でも、疲労をしっかり取って活力を高めるには、面倒がらずに湯船にお湯をためて入浴することをおすすめします。

 

ちなみに、ここ数年で人気が定着したサウナは、休養においてはメリットとデメリットがあると私は考えます。

メリットは、冷たい・温かいを繰り返すことで血管の収縮が起きるので、入浴と同じで運動タイプの休養に匹敵する効果があること。
デメリットは、極端な熱い・冷たい自体がストレスであり、疲労につながるという点です。

第3回でもお伝えしたように、暑さ・寒さというのは物理的ストレスです。

サウナの『整う』効果を期待して行っても、かえって疲れてしまうという人はいるものです。

あくまで自分の体質に合っているかどうか、で判断するのがいいと思います」

 

【教えていただいた方】

片野秀樹
片野秀樹さん
博士(医学)
公式サイトを見る

一般社団法人日本リカバリー協会代表理事、ベネクス執行役員。東海大学大学院医学研究科、国立理化学研究所客員研究員等を経て現在は老人病研究、未病研究等に携わる。休養に対する社会の不理解を解消すべく、多方面で活躍。著書に『「休み方」を20年間考え続けた専門家がついに編み出した あなたを疲れから救う 休養学』(東洋経済新報社)がある。

 

 

イラスト/二階堂ちはる 取材・文/遊佐信子

 

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