透き通る海の恵みをいただく「塩カフェ」
リゾート列車「きらきらうえつ」は、新潟駅から村上、あつみ温泉、鶴岡、酒田、そして終点は秋田県の象潟駅までを走る快速列車で、新潟県・山形県・秋田県と三県をまたいで日本海のダイナミックな海岸線ぎりぎりを走る車窓の景色が魅力です。
旅の楽しみは、美しい風景に出合い大自然を感じることはもちろんですが、「食」を通して、その土地の暮らしの知恵や文化を感じることも大きな喜びです。今回の旅でみつけたキレイになるごはんは、海とともに生きる人達の暮らしと文化が詰まった「ヘルシーごはん」のお話しです。
新潟駅を出発した列車は、歴史と暮らしを感じる街並みが残る「村上」を経て、鮭で有名な三面川を渡ればほどなく海沿いを走ります。「笹川流れ」と呼ばれる11kmにおよぶ海岸線は、国の名勝・天然記念物に指定されていて、白浜と奇石、そして石の上に自生する樹齢何百年もの青松と海の風景が続きます。海岸ぎりぎりの景色、大きな岩をくぐるトンネル、海の暮らしを感じる漁師町、そして、笹川流れ沿いに点在する、塩づくりの工房。煙突からは白い煙があがっています。そのひとつ、笹川流れの塩工房には「塩カフェ」があるというので、立ち寄ってみました。
中へ入ると塩づくりをする工房。このエリアは農薬や生活排水が流れ込むこともなく、海水の透明度も抜群。鮑、海藻、黒鯛をはじめとする魚などが暮らす、目の前の海からくみ上げた海水で、先人から引き継いだ昔ながらの製法で塩づくりをしています。
海水を何度もさらしの布に通し、海のアクや石灰を丁寧に取り除きながら、薪で炊き続ける事15時間、塩の花と呼ばれる大きな塩の結晶が浮かび上がります。さらに、それをわらのツトで丸一日じっくり時間をかけて水分を濾し、真っ白で旨味のある塩が完成します。
工房の奥は海の見えるテラス。笹川流れを象徴する白い奇石と、岩にへばりつくように自生する青松の風景を眺めることが出来ます。真下の海を見ると、底までクリアに見える透明さ。ここで獲った海藻は、藻塩作りの材料にもなります。
隣接する「塩カフェ」(Salt&Café)のメニューはこのテラスでもいただくことが出来ます。地元の方から「笹川流れに行ったら、コレを絶対食べないと!」と教えていただいたのが「塩むすびセット」(900円)。この工房の塩を使って、地元・山北産コシヒカリでにぎったおにぎりの美味しいこと、美味しいこと。
おむすび2つに、塩釜ゆで玉子、塩引き鮭、地元野菜のお漬物、お豆腐には梅塩、海藻たっぷりのお味噌汁。「日本人に生まれて、よかった~。」と叫びたくなる、美しい海の恵みのヘルシーごはんでした。
新潟県・村上市
笹川流れの塩工房・Salt&Cafe
石井宏子
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