京都東山岡崎エリアは、琵琶湖疏水や白川沿いに咲く桜の見事さで知られます。水面に枝を伸ばす桜の美しさは、京都の春に一度は見たい景色です。特に「近代美術館」脇の琵琶湖疏水から分かれ流れる白川は、祇園へと続き、その川岸はまさに京情緒あふれる風情。
そんな岡崎エリアのお花見に訪れたら、ぜひランチに行きたいお店があります。
地下鉄東西線「東山駅」の1番出口を出て、すぐに左に入る狭い道を進むと、東側に茶色の暖簾が掛かる町家が・・・。そこが今回ご紹介する「白川 京とみ」です。
ここは、今年2月にオープンしたばかりのお店。店内に一歩入ると、落ち着いた上質感漂う設えが迎えます。
実は、このお店の本店は、京懐石の名店として評判の高台寺にある「京懐石 京とみ」。「ここを開店するのに1年以上準備しました」というご店主の富田勝雄さん。数寄屋造りを得意とする工務店に依頼し、高台寺の店同様に、細部にまで本物の素材と巧みの技を施した設えです。
ご店主の富田勝雄さんは、京都の名旅館のひとつ「炭屋」で10年間、料理長として腕を振るい、また茶懐石の分野でもご活躍。さらに平安時代、宮中で行われた式包丁「包勝一条流」のお家元でもいらっしゃいます。
そんな京都料理界で名の知れた料理人の味が、なんとここでは気軽に味わえるのは感激です。現在、昼のみの営業で、お品は、アナゴと海老の天丼です。天丼と言ってもそこは京懐石の一流料理人が作る品。選ばれた素材、軽やかな衣の天ぷら、そして天つゆの美味しさは格別なものが・・・。
ここでおすすめは、「アナゴと海老の天丼」1200円。ご飯の上には、カラリと揚がった海老とアナゴのほかに、カボチャ、しし唐などの天ぷらがこんもりと盛られます。あらかじめ天つゆが掛かった一般的な天丼と異なり、ここではそばに添えられた生姜と大根おろしに、天つゆを混ぜ、丼に好みの量を掛けたり、天ぷらだけで頂いたりと、客の自分流の食べ方で味わえる心遣いもうれしいところ。サクサクの天ぷら、そして上品な味わいの天つゆの美味しさに思わず笑みがこぼれます。
さて、さらに感激するのが、特製のだし巻き卵の美味しさ。箸で挟むと、くずれそうな柔らかさ。まさに絶品の味わい。
一緒に膳に並ぶ、香物や赤だし味噌汁も、なんとも旨味たっぷり。京都にいることを実感させる味なのです。やさしい上品な味わいの天丼セット、「これで1200円…」と、お財布にも、とてもやさしい価格です。
だし巻卵が付かない単品のアナゴ天丼は900円で。でもおすすめは、海老もアナゴもだし巻卵も味わえるセット。岡崎エリアで咲き誇る桜を眺め、そして味わう上質の天丼。
春の京都がいっそう好きになる、素敵な組み合わせです。
白川 京とみ
京都市東山区三条白川筋
☎075‐752‐8668
ランチのみの営業 11:00~14:30LO
月曜、第2火曜休み
小原誉子ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」