十和子道第21回「私の個性的な姑のこと」

「あなたのお母さまが今までそうして、あなたを毎日仕事に送り出していたのだから、私もやるわ」

そう言ってそれを実行してくれたのです。

 

自身もオートクチュールのサロンを持ち、目の回るような忙しさの中なのに、義理の娘の肌着を洗いお弁当を持たせ「さあ、行ってらっしゃい!今日もしっかりね!」と、仕事場に送り出してくれたのです。

 

私はそれを一生のご恩だと思っているのです。

 

義母は自分にも他人にも厳しいけれど、意地悪な人ではありません。

「ダメなものはダメ」と、正直に言うだけです。

 

もしもなんでダメなのかときいたら「なぜなら…」と、いつだって理路整然。

だから私は義母の言動に戸惑ったり迷ったりすることは、ありませんでした。

 

 

そうそう、主人は私と義母が似てるっていうんです。

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「だってふたりとも基本、中身はおっさんだから」だって。

失敬な(笑)! でも思い当たるかも…。

 

 

 

そして義母は「息子の嫁をライバル」と思うような、湿度の高い母性の持ち主ではなく、深くて強くてまっすぐ、そしてカラリとした愛情を息子に向けている人でした。

 

 

よく女性週刊誌などに“嫁姑の関係を円滑にするためのノウハウ”として「夫の悪口は言わない」「夫を褒める」なんて書いてあるそうですが、ケースバイケースだと思います。

ご家庭によって違うのかな?と…。

 

 

嫁の私が「あなたの息子は素晴らしい」と褒めたところで、嬉しがる人ではありません。

「私が育てたのだから素晴らしいに決まっているでしょ。もうひとり産んで育ててたら、もっと上手く育てられた自信がある!(笑)」とよく言っていました。

 

最近になって、子どもたちも大きくなり、義母の「愛情の本質」みたいなものが私もおぼろげながらわかってきました。

 

ベタベタと甘くて優しい言葉を並べ、なめるように可愛がり、守る。

それだけでは(もちろんそういうことが必要な時期もあります)、子どもを社会には送り出せないのだということです。

 

親の役目はひとことで言ってしまえば、子どもに社会で生きていく力をつけ、自立させることでしょう。

どんな人生にも苦しみは訪れるけれど、あなたには超えられる力があるのよ、と教えること。

 

 

そのためにはまさに獅子が谷底へ子どもを突き落とすが如く、厳しく当たらなければならないこともあるのだと思っています。

 

君島一郎と言う稀代のデザイナーと恋をし、貫いた義母。

けれどその立場に溺れることなくプライドを持って仕事をし、自立し続けました。

 

義父が突然亡くなり、会社の存続や遺産をめぐる大きな騒動に巻き込まれながらも、家業も続けることができたのは義母の精神的、経済的な支援があったからだと、ずっと後になって気がつきました。

 

義母の女としての意地と母としての愛情、働く女性としてのプライドが、主人と私たち家族の生活を守ってくれた。それは母としての息子に向けた深い強い愛の力だと今、この歳になってそのすごさを思い知ります。

 

昔、主人は言っていました。

「子どもの頃、せっかくの夏休みに田舎の祖父母の家に連れて行ってくれても、たまっていた仕事の疲れで2日も3日も昏々と眠り続ける母がかわいそうだった。大晦日も正月も友達はみんな家族で過ごすのに、仕事に出かけてしまう母が嫌だった」

 

体を張って息子を産み、育てあげた義母の愛情の本質は、人生のずっとずっと後にならないとわからない類のものなのかもしれません。

 

ある意味、損なタイプの愛情なのかもしれませんが、私は尊いと思うのです。

 

 

そんな強い強い義母が去年、突然の病に倒れました。

そして義母の入院で私たちの生活は一変しました。

 

 

※誰にも訪れる「親の老後」そして「介護」の問題…。

気になる続きは次回をお読みください。

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また書籍化決定にあたり、十和子さんから動画メッセージが届いています。

動画はこちらの記事からご覧いただけます


取材・文/稲田美保 撮影/冨樫実和 本多佳子 ヘア/黒田啓蔵


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コメント(1)

十和子さま
再び失礼いたします。
十和子道とは、義理のお母様の教えだったのですね…
その思考には、間違いは何もございません。
ある意味、義理のお母様とは、愛人という肩身の狭い方でいらっしゃったわけでございましょう?…
こんなにすてきな人間性を抱いていた方だったのですね…
私などは、義理のお母様ほどにはできてはいない人間ではございますが、生きる思考は大変によく似ているかと…
内面は確かに、女力のない「おっさん」ですもの。

十和子さんの生き方が女性として、一番幸せな生き方を実践なさっておられる幸福な生き方と思います。
とてもすてきなお父様とお母様ですもの…
お嬢様方もお幸せになるに決まっている人生の良き先輩…
これからもお幸せにお過ごしください。

薔薇 - 2016年10月11日 13:54
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