- 目次 -
下半身力アップのポイント
主要な筋肉を鍛える
下半身力に重要な4つの筋肉
下半身力に特に重要なのは、正しい姿勢と歩行に関係する4つの筋肉。
下半身力が低下する大きな要因は運動不足。問題なのは、痛みがあると動くのがおっくうになり、さらに体を動かさないという悪循環に陥ること。
「使わない筋肉は“現状維持”ではなく、“衰える”一方です。それを避けるためにも軽い筋トレは必要です。特に鍛えたいのは、内転筋、腹筋、大腿四頭筋、骨盤底筋群。筋肉は脚や腰を守る自前のコルセットと心得てください」
脱ニワトリ姿勢+歩き方で、骨格を整え、内転筋を鍛える
“たつみ式・正しい立ち方と内もも歩き”
膝の痛みを訴える人の9割がO脚。
年齢とともにO脚が進行し、膝の内側の軟骨がすり減って、骨同士が当たって痛みを発症しているのです。痛みの改善&予防に絶大な効果があるのが、この“たつみ式・正しい立ち方と内もも歩き”です。
O脚が進んできた…という人は内ももの筋肉=内転筋が弱ってきたのかも。この“内もも歩き”は内転筋を鍛え、O脚を矯正する効果があります。
O脚を予防&矯正する内もも歩き
※X脚の人には向いていません。
①
まず正しい姿勢をとる。
※たつみ式・正しい立ち方の記事は、コチラから読む事が出来ます。
②
頭が前に出ないように注意して、つま先を上げて一歩踏み出します。
③
かかとから着地したら、蹴り出すときは親指に体重を乗せます。
内転筋を使って、膝を内側に入れるようにして、小指側を少し浮かすイメージ。反対の足も同様に、“かかと着地→親指に重心”を繰り返します。
【ここに注意!】かかと着地&親指重心が基本
かかとから着地して、蹴り出すとき、親指に重心をかけて、小指側は少し浮かせるイメージ。このとき、内転筋を使って、膝を少し内側に入れるようにすると、親指重心がやりやすくなります。
しっかり歩ける脚をつくるために筋肉を鍛える
大腿四頭筋に効く“足指グー体操”
巽一郎先生によると「手術しかないと言われた患者さんでも、体重の減量と歩き方の矯正、大腿四頭筋などの筋トレを3カ月行ってもらうと、約半数の人は手術が不要になります」とのこと。今回、大腿四頭筋の筋トレ方法を教えていただきました。
座ったままで、太ももの前側にある大腿四頭筋が鍛えられる体操
①
リラックスして椅子に座り、腹筋に力を入れお腹をへこませます。
②
そのまま、片脚を真っすぐ前に上げ、足の指先をピンと上に向けます。
③
ジャンケンのグーをするイメージで、指先をすべてギュッと曲げて5秒キープ。
脚をゆっくり下ろし、お腹も緩めます。
左右の脚を交互に、それぞれ30回ずつ。
朝昼晩の3回行います。太ももの前側とお腹に効いていることを確認しながら行いましょう。
痛みがあったり、脚が上がらない場合は、できる範囲でOK。同様に指先を上に向けて、足指をギュッと曲げてみましょう
膝の軟骨を再生するのに役立つ!痛みがある人、予防したい人におすすめ
膝痛に絶大な効果あり!“足振り子体操”
膝から下を前後にブラブラと振るだけで膝痛軽減
朝起きたときや、急に立ち上がるときに膝が痛む…それは、軟骨が乾いた状態になっているから。この「足振り子体操」は、関節の潤滑液を増やして、すり減った軟骨を再生してくれる体操です。
①
リラックスして椅子に座り、片脚の膝の裏より少し上を両手で持ち上げる。
②
膝から下を前後にブラブラと振る。このとき、脚が完全に脱力していることが大切です。
両脚を同様に、それぞれ30回ブラブラさせて1セット。これを1日3セット行いましょう。
腹筋と骨盤底筋を効果的に鍛えることができる
“壁背伸び体操”
将来、寝たきりにならないためにも、40代からしっかり筋肉をつけておくことが大切です。
腰痛予防にも役立ちます
②
かかとを上げて背伸びをして5秒キープ。かかとを下ろして、全身の力を緩めます。
シンプルな動きですが、腹筋と骨盤底筋を効果的に鍛えることができます。これを10回繰り返して1セット。
1日最低1セット、気がついたときに、何回でも行って、習慣にするとよいでしょう。腰痛予防にも役立ちます。
壁につけるのは、肩ではなく肩甲骨です。肩に力を入れたり、すくめないこと。
頭が前に出ないように気をつけながら、肋骨の間隔を広げるイメージで行うのがポイントです。
背骨の自然なS字カーブを取り戻す
腰痛予防になる“CS体操”
日本人に多い腰痛の主な原因は、頭が前に出た姿勢=“ニワトリ姿勢”のせいで背骨のカーブが崩れているから、と説く整形外科医の巽一郎医師。
「私たちの背骨は頸椎、胸椎、腰椎、仙骨からなり、横から見ると緩やかなS字カーブを描いているのが理想です。しかし、ニワトリ姿勢・歩きを続けていると、そのカーブがくずれ、やがて腰や膝の軟骨がすり減り、腰や膝の痛みにつながります」
※おばさんっぽく見えるニワトリ姿勢の記事は、コチラから読む事が出来ます。
背骨の正しいカーブを取り戻す簡単な体操
Cの形
①
両脚を少し開いて椅子に座り、膝を直角に曲げ、両太ももが床と平行になるようにします。
②
骨盤の横に両手を当て、骨盤を後傾させながら、かかとを上げていき、少しふんぞり返る。
④
同時に頭を前に倒し、背中を丸めて、横から見てCの形になるように体を丸める。
元に戻り、下のS字に続ける。
Sの形
①
両脚を少し開いて椅子に座り、膝を直角に曲げ、両太ももが床と平行になるようにします。
③
骨盤は前傾のまま、上体を深く前に倒す。その時内ももに力を入れる。
⑤
さらに頭を上げて背中を反らせ、S字の形を描きます。
これを交互に3回ずつ行います。
立ち姿勢や座り姿勢を保つのに活躍
背中の「多裂筋」を鍛える“体幹体操”
多裂筋は背骨を支えるように並ぶインナーマッスル。立ち姿勢や座り姿勢を保つのに活躍しています。
多裂筋(背中)に効く体幹体操
②
片腕を前に、腕とは反対側の脚を後ろに伸ばします。伸ばした腕と脚、胴体が床と平行になるようにして5秒キープ。
これを左右交互に10回ずつ。1日1セット以上。
■教えてくれた方
専門は膝。一宮西病院整形外科部長・人工関節センター長。体への負担を最小限にする膝手術で日本屈指の技術を持つ。一方「すぐには切らない」医師として有名で、独自の保存療法(エクササイズなど)を提案し、全国からの患者が絶えない。著書に『100年足腰』(サンマーク出版)など
イラスト/green K 構成・原文/山村浩子