小さな文字が読みにくい、近くの物が見えにくい…そんな症状があったら、それは老眼かも。まずは老眼を正しく知って、正しく対処することが大切です。
Q 近視の人は老眼になりにくく、遠視の人は早くなる?
A 近視の人は気づくのが遅いだけです
「老眼は近くにピントが合わなくなる現象です。正視(目に屈折異常がない、いわゆる“目がよい”状態)の人は若い頃は遠くも30㎝先の近いところもはっきり見えます。
それが徐々に目から物を離さないと見えなくなるので、すぐに気づきます。しかし近視の人はもともと10㎝先でも見えますが、その距離で物を見る機会は少ないので、20~30㎝先に延びたところで気づかないのです」(平松類先生)
●ピントが合う距離は?
ペンなどを持って少しずつ遠ざけてみましょう。どこでピントが合いますか?正視の人の場合の目安年齢をまとめました。ご参考に!
Q 一度、老眼になったら、回復することはない?
A 心がけ次第で遅らせることはできます
「衰えてしまった毛様体筋や、硬くなった水晶体を元の状態に戻すのは難しいですが、毛様体筋の一時的な疲労は、休息させたり、ストレッチをすることで回復します。また脳の機能の低下を防ぐエクササイズを行うことで、老眼の進行を緩やかにすることは、ある程度は可能です」(平松類先生)
Q 若い人は老眼にはならないの?
A 最近はスマホ老眼になることがあります
「スマホを長時間操作するなど、手元を見る時間が長いと、若い人でも老眼のような症状になります。水晶体まで硬くなりませんが、毛様体筋が過緊張になり、一時的に機能が低下するのです。これを医学的には調整機能不全、一般的にはスマホ老眼と呼んでいます」(平松類先生)
答えてくれたのは
平松 類さん
Rui Hiramatsu
医師、医学博士。昭和大学兼任講師、二本松眼科病院副院長。目の健康YouTube「眼科医平松類チャンネル」は登録者数10万人超え。日々、無料で目の健康情報をアップしている
撮影/塩谷哲平 スタイリスト/程野祐子 イラスト/内藤しなこ 構成・原文/山村浩子