最近の研究で、脳の老化を予防する食材が判明。それは「和食」にヒントがありました。
11品目を毎日の食のベースに
認知症の予防には、具体的には何を食べたらよいのでしょうか? その答えは、高齢者を対象に調査した「日本食と腸内細菌・認知症との関係」の解析結果にヒントがあります。
調査方法は、昔ながらの和食の要素で構成した「伝統的日本食」、これに現代風を意識した3品目をプラスした「現代的日本食」、さらに「コーヒーを含む現代的日本食」の3つに分け、それに含まれる食材を摂取したら、プラス1点という形で、日本食スコアを算出。その値と認知症の有無を比較しました。
「その結果、『現代的日本食』と『コーヒーを含む現代的日本食』のスコアが高い人ほど、認知症の割合が低いことがわかったのです。特に、認知機能がよい人ほど、魚介類、きのこ類、豆類、コーヒーをよく摂取していました」(佐治直樹先生)
伝統的日本食には牛や豚など肉類も含まれているのですが、その摂取はマイナス1点となるため、推奨する「新和食」の食材は11品目。3大栄養素、ビタミン・ミネラル、機能性成分、そして食物繊維が豊富な食材です。
伝統的日本食の食材に
現代的食材をプラスした11品目
黄色の枠の食材が「伝統的日本食」。これにピンクの枠の豆類、果物、きのこ類を加えたものが「現代的日本食」、さらにコーヒーを加えたものが「コーヒーを含む現代的日本食」とカテゴライズ。
認知症との関係を調べた結果、上の11品目が推奨される食材になりました。
スコアが高いほど認知症の割合が低い
●現代的日本食スコア(JDI12)の高値・低値群の背景比較
現代的日本食スコアの高い人と低い人では、糖尿病ではあまり変わらなかったのに対し、認知症では顕著に差が出ました。表中のP値は統計学的な有意差を示します。通常0.05未満を有意であると判定。
このことから、現代的日本食スコアが高い人ほど、認知症の比率が低くなるといえそうです。
認知症でない人がよく食べていた食材
認知機能がよい人は、この4品目をよく摂取していたことが判明。魚介は良質なタンパク質と脂肪酸が、きのこはミネラルや食物繊維が豊富。大豆は味噌などの発酵食品の原料にもなります。
表中のP値は統計学的な有意差を示します。通常0.05未満を有意であると判定。
監修
佐治直樹さん
Naoki Saji
国立長寿医療研究センター もの忘れセンター副センター長。兵庫県立姫路循環器病センター 神経内科(医長)、川崎医科大学脳卒中医学(特任講師・特任准教授)などを経て現職。研究内容は認知症のリスク因子と予防、腸内フローラとの関係
撮影/神林 環 構成・原文/山村浩子
◆認知症を予防する11品目を使った「新和食」レシピはこちら。