いし こんにちは。ぐうたらライターいしまるこです。
ハーバード大学医学部根来秀行教授のweb講座「心臓年齢を若返らせる!」の6回目ですよ。
今回も、不整脈の謎について迫っていきます。なにせ、アワエイジ世代になると、不整脈がある人は多いですからね。
根来 こんにちは。根来秀行です。
不整脈の多くは年齢に伴うものや、体質的なもの。
ですから、年をとるにつれて誰でも少しずつ不整脈が増え、中年以上では大抵の人に不整脈が見つかります。
いし つまり、アワエイジ世代の不整脈の多くは老化現象?
根来 そうですね。
いし んー、ほっとするけどちょっと複雑な気分だなあ〜。
根来 とはいえ、不整脈にはさまざまなタイプがあって、気にする必要のないものから、中には突然死につながる危険性のあるものもあります。
理解を深めるために、今回は不整脈の種類についてレクチャーしましょう。
いし よろしくお願いします!
根来 不整脈は脈の乱れ方によって、大きく3つのタイプに分けられます。
■主な不整脈は3タイプ
1 一瞬脈が飛ぶ「期外収縮(きがいしゅうしゅく)」
最も多い不整脈で、心臓を動かす電気信号が本来とは違う場所から早めに出るため、脈が乱れます。
一瞬動悸がして胸に少し痛みを感じる人もいますが、すぐにおさまるのが特徴。自覚のない人も多く、基本的に命の危険はありません。
2 1分間に100回を超える「頻脈」
運動や緊張とは関係なく、異常に脈が速くなります。
心臓を動かす電気の通り道(伝導路)に異常が生じて電気信号が空回りしたり、異常に早く電気が作られていると考えられます。
多くの場合、動悸を感じますが、発作的ですぐにおさまれば、あまり心配ありません。しかし頻脈が30秒以上続く場合は、激しい動悸や強いめまいを感じ、意識を失うこともあり、治療が必要になることもあります。
3 1分間に60回以下「徐脈」
リズムが遅くなったり、一時的に止まったりします。
心臓を動かす電気が途中で途切れたり、作られなくなっていると考えられます。拍動が極度に遅くなると、心臓から送り出される血液が少なくなってしまい、息切れやだるさがあり、脳貧血からめまいや失神を起こすことも。
また、甲状腺機能低下症が隠れている場合もあります。
根来 この3つの不整脈のタイプは、さらに細かいタイプに分けられます。
いし ふぅ〜ん。不整脈の乱れ方もさまざまなんですね。でも、多くは生理的なもので病気ではなく、放っておいて大丈夫なんですよね?
根来 そうですね。不整脈の9割くらいは放っておいて大丈夫です。
健診で不整脈だけ見つかった場合は、病気とは関係のない不整脈であることがほとんどですね。
いし よかった! じゃあ不整脈は治療しなくていい場合がほとんど?
根来 以前は不整脈を完全になくし、正常なリズムに戻すほうがよいと考えられていたんですよ。しかし、欧米の大規模研究の結果、軽症の不整脈を薬で治療することで、予後が悪くなる可能性が指摘されました。現在は、病的な不整脈でなく症状も軽ければ、生活習慣の改善などの指導で、積極的な薬物治療は行わないのが一般的です。
いし ほっ。
根来 単発的で普段は忘れているような不整脈なら、健診でほかに問題がなければあまり気にすることはありません。気にし過ぎるとストレスになり、かえって症状が出やすくなります。
いし それは本末転倒ですもんね。
根来 ただし、命にかかわる不整脈もあるので、不整脈を指摘されたら、念のため専門のお医者さんの意見を聞くと良いでしょう。
では、次回は怖い不整脈についてお話しいたしましょう。
いし 怖い不整脈……、ドキドキして脈が乱れそう。
根来 それではみなさん、今日も素敵な1日を!
いよいよ次回は、「命にかかわる怖い不整脈」についてです。お楽しみに!
取材・文/石丸久美子 撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン